2025/09/23
ミニリボルバーNAA-22MS vs. スミス&ウェッソンモデルS&W500【動画あり】

Text and Photos by Yasunari Akita
Gun Professionals 2017年11月号に掲載
世界最小のリボルバーはノースアメリカンアームズが製造供給する一連のミニリボルバーだ。全長11.7cmというこの銃について、その操作性や実用性能をテストしてみた。せっかくなので世界最大のリボルバーにも登場して貰い、その大きさと威力を比較する。
ポケットリボルバーの最小単位
SHOT SHOWに毎年決まって顔を出しているユタ州プロボのNAA(ノースアメリカンアームズ)は小型リボルバーやガーディアンシリーズのポケットオートで知られるメーカーだ。
その中でもNAAの顔と呼ぶべき商品なのがSA(シングルアクション)のミニリボルバーたち。Jフレームのスナブノーズレベルのコンパクトさではなく、手の平にすっぽり収まるほど小型で、実際にベルトのバックルに納まるほどのミニサイズなのだ。
選ばれている口径は.22WMR(ウインチェスターマグナムリムファイアの略で単純に.22マグナムとも表記される)や.22LR、.22ショートといった小口径で護身用として持ち歩くにはちょっと心許ないはずなのだが、これが実際よく売れている。
それらの小型リボルバーは、このぐらいの値段ならシャレのつもりで買ってもいいかな、と思わせる低価格(種類によるが200ドル前後から)、充実した付属品、シンプルな構造と錆びにくいステンレス製、パワーはちょい弱いが、もともと弾代が安くてかなり普及している.22口径リムファイアならプリンキングにも使えるので何となく持っておこうか、と感じさせるところなど様々な理由で安定したセールスを維持しているようだ。
NAAは1972年にロッキーマウンテンアームズとして出発したが、2年後に経営者が変わり現在の名前を授かった。現在ラインナップされているミニリボルバーは本来フリーダムアームズが1990年まで製造したモデルで、その製造権利を買い取って引き継いだものである。
その後に携帯時の安全性を高めるために各シリンダーのチェンバーの中間にセイフティスロットを追加することで、安全にハンマーをレストポジションに置いた状態でキャリー出来るようになった(過去の製品の改良も請け負っている)。
ステンレス製でサイドワインダーを除き、他は全てシリンダーピンを抜いてシリンダーを分解して装填、空ケースのエジェクトを行なう単純極まりない設計になっている。
シリンダーは5連発で1.125インチが基本バレル長となっている。.22ショートのNAA-22S(年間製造数は限られている)や、最も人気のある.22LRのNAA-22LR、1.625インチバレルのNAA-22LLR、そしてグリップ部をフォールディングナイフのように動かせてトリガー部をカバーする(ホルスターグリップ)HGなど様々なバリエーションがある。
今回ご紹介するのは.22WMRのNAA-22MSだ。この.22WMRのモデルもポーテッドバレルのポーテッドマグナムシリーズ、ベンチレーテッドリブ、スケルトナイズドハンマー、ラバーグリップ、独特なラインの入ったシリンダーとシリンダーピンを持つWasp Magnum(ワスプマグナム)シリーズとに分類される。
さらに.22WMRフレームの派生バリエーションは多い。1インチヘビーバレルを組み合わせたNAA PUG(パグ)はXSまたはトリチウムサイトと大型ラバーグリップが付属する。Black Widow(ブラックウイドー)ではベンチレーテッドリブ付きの2インチバレル、ブルシリンダー(ノンフルーテッド)、ブラックラバーグリップ、マーブルアームズ製フィクスド、またはアジャスタブルサイトが付属する。またさらに4インチバレルに延長したミニマスター(.22LRモデルもある)。
そしてクラシック路線の1860シリーズとしてThe Sherriff(シェリフ)、The Earl(アール)、The Hogleg(ホグレッグ)の3種類があり、通常モデルを木製ケースに納めたコレクター向け商品まである。この超小型SAリボルバーだけで、ここまで商品展開をしている(それだけでビジネスが維持されている)力強さには驚かされる。
今回は色々な標的を撃ってみてNAA-22MSの短いバレルから撃ち出す.22WMRのパワーを.22LRのX-Ringカービンと共にテストしてみたい。ゲストに2003年に世界最強のプロダクションハンドガンカートリッジとしてデビューした500S&Wマグナムを撃つS&W500を用意した。あえて両極端なサイズとパワーのモデル同士を並べてみて、市場にあるリボルバーの幅広さ(レンジの広さ)をみていこう。



