2025/03/31
五つの映画と五つのガン アクション映画ロケ地巡り in New York City
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ニューヨークを訪問したついでに、懐かしの映画ロケ地巡りを敢行した。選んだ5作品中4作品が1970年代の古い映画だが、50年前後が経過した今も、ほとんどその建物が残っているところが凄い。もちろん映画に登場したのと同型の銃も一緒に紹介する。
ニューヨーク
在米生活38年、自分は遂にニューヨークの地に立った。
やっと、やっとである。これまでどうにも縁がなく、元々出不精の性格も手伝って、ついついこの歳まで行きそびれていた。
根が田舎者の自分にとって、ニューヨークは大都市というだけで魅力であり憧れが強い。気分的にはお上りさん、映画で言えば、『真夜中のカーボーイ』(1969)のジョン・ヴォイトみたいなあんばいか。
ニューヨークを訪ねた理由は、次女の引っ越しだ。話は少々ややこしくなるが、一昨年イリノイへ移り住んだ次女が一年足らずでノースキャロライナへ出戻り、その後すぐにニューヨークへ移り住んだのだかどうにも馴染めず、「もう帰る。迎えに来てえ~」と泣きつかれたというワケ。自宅からニューヨークまでは片道ざっと650マイル、11時間あまりのドライブだ。かなりしんどかったが、こーゆー絡みでもなきゃ一生行かずの可能性もあり、次女には逆に感謝しているところ。
さて、せっかくのニューヨークだ。自分は当然、タダでは帰ってこない。そう、ロケ地巡りである。ニューヨークを舞台にしたアクション映画は山ほどある。その中から五つに絞って写真を撮ってきた。それらをお見せしつつ、映画に登場した五つのガンとの合わせ技で今回は進めたいと思う。

『狼よさらば』
自分が最初に向かったのはニューヨークの中枢部、摩天楼たなびくマンハッタンだ。チャールズ・ブロンソンの『狼よさらば』(Death Wish:1974)のロケ地、リバーサイドパークという公園を目指した。
ニュージャージーからリンカーントンネルをくぐっていよいよニューヨークへ入り、ハドソン川沿いのリバーサイド通りをちょい北上した辺りで目的地を発見。
いやあ~、感動を通り越してしばし呆然としてしまったよ。中学生の頃、日曜洋画劇場で観たままの石造りの階段、映画の主人公が最初にチンピラを撃ったあの現場が今、目の前にあるのだ。ああ、生きてて良かった。


『狼よさらば』は超大好きな作品だ。何十回観直したか知れない。強盗事件によって家族をめちゃめちゃにされた主人公が一念発起、路地裏の悪人どもを次々に葬り去る姿を描いた実に真面目な社会派秀作ドラマだ。ヴィジランチ=自警団を主たるテーマとし、ガンコントロールに言及する件まで盛り込んであって、個人的にはブロンソンの最高傑作と思う。旧Gun誌時代、この映画をネタに原稿を上げた時にはさすがに遠過ぎて来れなかったが(当時はカリフォルニア在住)、そのリベンジをやっとこ果たした気分。
この公園はハドソン川の眺めが美しく、映画ほどヤバい場所には見えない。当日は極寒にもかかわらず多くの人がジョギングの真っ最中。多分日中は市民の憩いの場になっているのだろう。なお映画の後半、三人組のチンピラとの銃撃戦もこの公園の別の階段と思われるが、時間がなくて探し切れなかった。あと、主人公が住む設定の高級マンションもすぐ近くに建っていて(リバーサイド通り33番)、映画にリアリティを感じた次第。残念ながら車を止めるスペースがなく、今回は素通りで済ませたが。



そんな『狼よさらば』の主人公が撃っていたのが、コルトのポリスポジティブだ。赤いプレゼンテーションケースに入った状態では一瞬オフィシャルポリスっぽいのだが(グリップの大きさから)、その後はどう見てもポリスポジティブだった。
ご覧の個体は1927~32年期の製品。100年近い使い古しの骨董だ。99年頃に219ドルで購入した。あちこちキズキズでめっきの剥げも目立ち、普通こんなオンボロは買わない自分だが、決め手となったのは口径。.32口径なのだ。『狼よさらば』の劇中、.32口径が割とキーワードになっていたからね。
でだ。詳しい方にはバレバレだろうが、この銃は映画に出て来たものとはちょっと違う。同じポリスポジティブでも、コレは極初期の旧型にあたる。フレームがやや小さく、グリップも細長い。
1907年に誕生したポリスポジティブは、元々は.32口径の非力なカートリッジが中心であり、そのためフレームの前後幅が狭く、シリンダーも細くて短かった。それを1908年に、.32-20 WCFや.38SPLの口径に対応するようフレームを大型化し、ポリスポジティブ スペシャルの名称で売り出した。コレが我々が今日良く知るDフレームの基本形であり、映画に出て来たのもこっち。
つまり正確には、ポリスポジティブ スペシャルこそが『狼よさらば』の銃だ。改良版が出てからも旧型は同時進行で売られていたので、しばしば混同されてややこしい。そんなわけで、少々のでっち上げはご勘弁を。
見るからに色褪せてキズキズにも関わらず、コイツはまだまだ達者だ。各部の動きはシャキシャキとメリハリがある。またシリンダーにもサムラッチにも全くガタがない。元々の作りが良いのだろう。この点は職人技全開のレトロ銃ならでは。
但し、トリガープルは、コルトっぽくねっとり粘る。昔から伝統なんだね。銃が小さく、ハンマーの質量と運動量の減少分をバネ圧で補わねばならないから余計に硬い。ハンマーを起こすたびに何処かが壊れないかと冷や汗が出るほど。何しろ100年物の骨董、もう眺めて愉しむだけが無難な感じだ(でも実射編では撃ちます!)。




ともあれ、コイツを握りながら映画を観直すと、ロケ地に立った達成感も相まってホントに感無量ですよ。
ちなみに、『狼よさらば』のラストシーンには、シカゴのユニオンステーションが出てくる。映画『アンタッチャブル』の階段落ちシーンで有名な駅だ。イリノイ在住時代に写真を撮ってこようと思いつつ、ついつい流しちゃったんだよね。失敗したなあ。
