2025/08/29
【NEW】S&W モデルCS9 チーフスペシャルの名を冠した9ミリDAオート【動画あり】
チーフスペシャルの名を冠した9mm DAオート
CS9はS&Wのサードジェネレーションの片隅に属するサブコンパクトだ。同社がダメダメだった時代に登場している。だからというわけではないが、この銃はひたすら見栄えが悪い。とはいえ、S&Wの金属フレーム9mmDAオートの中では最小型であり、前から気になる存在ではあった。
先月号の『亜米利加ガンショー徒然日記』をお読みになった方なら、きっと今頃、「だと思ったし」と笑っておられることだろう。
そうだ。Greenvilleのガンショーで見掛け、いったんは買わずに帰ったS&WのCS9を、自分は結局手に入れた。翌日、我慢できずに再びショー会場まで激走。運良く残っていた。もう、心から大喜び。
が、だ。自分という人間はそのまま素直には買わない。「コレ、少し負からんの?」と何とはなしにテーブル主に訊ね、「じゃあ10ドル引いて439ドル」と言うのを「20ドル引きでどう?」、「よっしゃ」と言わせるまで持っていってようやく商談成立。我ながらなかなかにセコい人生で。
箱と取説は揃うが、マガジンの予備がないのは残念(本来は予備1本が付く)。そして、自宅でベタベタの油を拭き取ったら、スライドの先端に少々のホルスター負けと、恐らくスライドキャッチの脱着に失敗したであろう擦り傷をスライドの縁に発見。さらにスライドの後面を見ると、エジェクターとファイアリングピンセイフティリフターがぶつかったキズも付いている。コレはS&WのDAオートではあるあるの症状。慣れないヤツがスライドを組むと絶対にやる。残念。まあね、中古だからね。どれもギリギリ、諦め切れるレベルかな。
自分にとってCS9は、ちょっとだけノスタルジーを誘う一挺だ。
Turkさんがこの銃を記事にした旧Gun誌1999年2月号で、自分はリポーターデビューを果たした。当時はさすがに嬉しくて、隅から隅まで何度も読み返した。Jackさんが撮ったグロック34の青バックの表紙も目に焼き付いている。
あれから既に25年以上。未だにこの業界にお世話になっているなんて、信じられませんよ。この先何年、居座るつもりか(笑)。
まあそんなワケで、以来ずっと気にはなっていたCS9。でもさ、たまにガンショーとかで見掛けても、いつも買い切れなかった。だってコレ、見るからにカッコ悪いでしょ。おかげで今回も売れずに残ってたってことなんだろうけど。
CS9
CS9が登場したのは1998年だ。サードジェネレーションの9mmシングルカラアムをばっさり詰めたモデルがコレになる。
名称のCSは、Chiefs Specialの略。1950年に世に出た、S&Wが世界に誇る誉れ高き38口径のスナブノーズ。その名声にあやかって付けられた。
サードジェネレーションのコンパクト版であるモデル3914に比べて、バレル長はさらに0.5インチ短い3インチ。マガジンの装弾数も1発少ない7発だ。ハッキリ言ってほぼ限界の極短極小状態。姉妹品として、45口径のCS45と40口径のCS40もあった。
彫刻刀で彫り抜いたような荒いセレーションが特徴的なスライドに、フロントサイトとノバック風リアサイトがダブテイルで載る。後面にはボブドのハンマーが面一で収まるが、アクションはDAOではなくトラディショナルなDAだ。フレームは例によってアルミ合金を使用し、グリップはレギュラーの樹脂ではなくホーグの2ピース式ラバーが付く。
こんなところがCS9のアウトラインだ。スライドにガタは無く、引きに雑さも感じない。トリガープルも昔のモデル39辺りに比べたら雲泥なほどDAもSAもスムーズ。文句はない。
のではあるのだが、それでもこのCS9、前章で述べた通り何だかカッコ悪い。スッキリ感が無い。見ようによっては後にパフォーマンスセンターから出たモデル945のコンパクトに似てないこともなく、スライド先端の面取り加工や全体のずんぐりむっくり感からきっとデザイナーは一緒なんじゃないかと勘繰る筆者だが、根本的にこっちは言い知れない安っぽさがそこかしこに滲み出ている。どうにもこうにも、イケてないのだ。