2025年9月号

2025/07/27

【NEW】タナカ コルトパイソン 357Magnum 6" R-modelステンレスフィニッシュ

 

 

コルトを代表するダブルアクションリボルバー、パイソンの歴史は1955年に始まった。そのパイソンがこの70年間に、いつ、どのようにバリエーションを追加していったのか、そのことをシンプルにまとめた資料は意外なことに見たことがない。

 

 第二次大戦終結以降、コルトは新しいことにほとんど挑戦しないメーカーになってしまったように感じる。1946年以降の大きな動きは、1955年にパイソンを発表したことと、1959年にフェアチャイルドからAR-15の製造権を買い取り、これをM16に発展させたことぐらいだ。1969年に新たなミディアムフレームリボルバーとしてMk-IIIを発売したこともそれに加えても良いかもしれない。しかし、Mk-IIIとその発展型であるMk-Vは成功作とはいえない製品だった。
 1970年代末のワンダー9の流行への対応が遅れた結果、XM9トライアルに早期敗退してしまったし、1972年から始まった.44マグナムブームにも乗らず、ビジネスチャンスを逃した。コルトが.44マグナムのDAリボルバーを出したのは、なんと18年後の1990年だ。ステンレス化も遅かったし、いまだにダブルスタック1911を出していない。コルトは1911やM16、パイソンの成功に安住し、新しいトレンドを追いかけることを怠った結果、衰退してしまった老舗メーカーだといえるだろう。
 コルトを代表するダブルアクションリボルバーは何かと聞かれれば、誰もがパイソンを挙げるはずだ。20世紀後半にコルトが発売したリボルバーで、ほぼ唯一の成功作がパイソンであり、多くの人がパイソンについて、その魅力を語っている。

 しかし、パイソンが約半世紀の間、どの時期にどのようなバリエーションを加えていったのかをまとめて伝えている記事は見たことがない。そこで今回は、パイソンのバリエーション展開について、シンプルかつ時系列的にまとめてみた。

 

▲パイソンの魅力は、バレル先端部まで伸びたフルレングスアンダーラグと、ベンチレーテッドリブだ。6インチバレルは、それが最もバランスよくデザインされている。


 1955年に発表されたパイソンは、6インチバレルの.357マグナムリボルバーだった。1961年に4インチ、1962年に2.5インチが追加されている。これ以降、この3つのバレルバリエーションで製品展開がおこなわれたが、1980年に.38Special専用の8インチバレル仕様がPython Targetとして少数作られた。そして1981年にはハンドガンスコープを載せた8インチモデルがPython Hunterなどの名前で登場、これ以降、8インチバレルも標準仕様に加わっている。

 

▲オリジナルパイソンのダブルアクション トリガープルは、最初は軽く引けるが、引いていくとスタッキングが起こる。すなわち、とどんどん重くなっていくのだ。そしてそれがピークに達したとき、ハンマーが落ちる。タナカはその感触を再現した。


 パイソンの表面仕上げは、最高レベルのポリッシュドブルードフィニッシュで、これはコルトロイヤルブルーと呼ばれていた。これにブライトニッケルのメッキ仕上げが、1963年に加わっている。それ以前にも特注で対応したことはあったようだが、正式な発売は1963年からだ。これ以降、ロイヤルブルーとブライトニッケルの2系統でパイソンは販売された。
 Coltguardと呼ばれるサテンフィニッシュの無電解ニッケルメッキのパイソンが1981年に登場したが、1984年にステンレスパイソン、1985年にはこれを磨き上げたアルティメイトパイソン(ブライトステンレス仕様)が加わり、パイソンにおけるニッケルフィニッシュの時代は終わった。
 1988年には3インチバレルのCombat Pythonが限定生産されている。但し、3インチバレルは特別仕様で、ごく少数しか作られていない(2020年以降は別)。

 

▲ハンマーの形状や網目のようなパターンの再現も素晴らしい。そしてパイソンのシングルアクションは極めて滑らかだ。コルトがこのトリガーをデザインした19世紀末、基本的にシングルアクションで撃つことを想定していたのだと推測できる。

 

 パイソンの口径は357マグナム仕様をスタンダードとし、他にはすでに述べた38Special専用モデルが1980年に少数生産されたのと、256WinMag.仕様が1961年に試験的に製造されただけだ。それ以外の口径は市場に出ていない。実際には、22LR, 22WMR、41Magnum仕様が試作されたが、市販されていない。 但し、これらの口径のパイソンはごく少数存在する。それらはガンスミスが既存のパイソンを改造して作り上げたものだといわれている。
 1997年、パイソンは需要低迷により通常の生産ラインを離れ、コルトカスタムショップ扱いに移管された。そして2005年までPython Eliteとして限定生産が続く。そんな中、2003年には3インチのステンレスパイソンがごく少数生産された。
 1955年から2005年までの約半世紀間に、パイソンのコメモラティブモデルやリミテッドエディションが数多く作られており、その種類はかなり膨大だ。その中には、5インチバレル仕様やイライアソンサイトを載せたチューンナップモデルなどもある。
 パイソンの歴史は2005年にひとまず終わったが、2020年(正確には2019年の終わり)以降、新しいパイソンが作られるようになった。内部メカが改良され、細部もかなり異なるが、パイソンとしてのテイストはアップデートした形で継承されている。当初はブライトステンレスの6インチと4.25インチが作られ、2022年に3インチが追加された。2023年にブラストステンレス仕様のMattモデルが加わり、2024年に5インチと8インチ、その後にブラック仕様であるBlued Pythonが加わっている。
 以上がパイソンの様々なバリエーションに関して、いつ何が作られたかを追ったものだ。

 

▲ステンレスボディは落ち着いたシルバーポリッシュで、ニッケルメッキのようなミラーフィニッシュではない。タナカのステンレスフィニッシュはそれを再現している。但し、実銃にはブライトステンレス仕様のアルティメイトパイソンも存在する。


 コルトを代表するDAリボルバー パイソンは、1969年にMGCがモデルガン化し、日本でも人気が高い。これ以降、たくさんのメーカーがパイソンをトイガン化してきたが、モデルガンで供給しているのは現在タナカだけだ。そのタナカパイソンは、2016年にR-modelにアップデートされている。
 タナカのパイソン“R-model”は、シャープなサイトピクチャーを約束するフロント&Accroサイト、ベンチレーテッドリブが作り出す独特のシルエット、エッジの効いたハンマー、そしてリアルな刻印など、外観的なパイソンの特徴はもちろん、強度をアップした2ピースインナーシャーシとメタルサイドプレートを採用してる。これにより剛性と耐久性を大幅に高めつつ、コルト独特のDAトリガーフィーリングを再現したものだ。モデルガンとしては、究極の完成度に達しているといえるだろう。
 そんなタナカパイソン6インチのステンレス フィニッシュが加わる。1984年に登場した6インチバレルのステンレス仕様をモデルガンで再現するのは今回が初めてだ。 

 ニッケルメッキとはまた異なる、ステンレス調仕上げはシャープな輝きに満ちている。そんな6インチ パイソンの魅力にぜひ酔いしれて頂きたい。

 

 

タナカ
コルトパイソン .357マグナム 6インチ “Rモデル” ステンレスフィニッシュ


全長:294mm
重量:約685g(カートリッジ込)
装弾数:6発
主要材質:ABS樹脂(ステンレス風メッキ)+亜鉛ダイキャスト
仕様:7mmキャップ火薬使用発火式モデルガン
価格:¥42,680(税込:.357マグナム発火カートリッジ6発付属)
8月発売予定
お問い合わせ先:タナカ
 

 

TEXT:GPW Editor

 

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