2025/04/27
【NEW】TANAKA コルトディテクティブスペシャル 2インチ R-model ニッケルフィニッシュ
*写真のディテクティブは試作品です。製品版とは一部仕様が異なります。具体的には、製品版のトリガーはセレーション入りとなります。
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ニッケルプレーティング
タナカから、ディテクティブスペシャルR-modelのニッケルフィニッシュがモデルガンで登場する。1965年以前に生産された2インチモデルの完全再現だ。クラシックなデザインを持つディテクティブには、このニッケルメッキ仕上げがとても良く似合う。
カーボンスチール(炭素鋼)の製品は表面仕上げをせずそのままの状態にしておくと、空気中の酸素と水分とに反応して錆(サビ)が発生しやすい。錆とは酸化還元反応で、炭素鋼が酸素と結びついて安定した状態に戻ろうとすることで発生する。そんなカーボンスチールの表面にFe3O4(マグネタイト)の皮膜をつけたもの、これがガンブルーだ。表面がある程度錆びた状態を作り出し、この酸化被膜によってこれ以上、錆を進行させないようにしている。但し、この防錆効果はそれほど高くない。
したがって、ガンブルー仕上げの銃を日々扱っていく上では、時々オイルで磨いたりした方が良い。人間の汗は通常酸性だ。汗をかいた手で銃に触れ、それをそのまま放置しておくと、表面が腐食したりする場合がある。実際にはそう簡単に錆びたりはしないのでそれほど神経質になる必要はないのだが、手で触れた部分は、そのあとに薄くオイルを塗っておくと安心だ。雨に濡れたりした場合は手入れをするべきだし、潮風に触れたらオイルで拭っておかないと錆びる。

右:コンパクトでも6連発であることが、Dフレームの魅力だ。またエジェクターロッドが長いことも利点だろう。
ガンブルーに比べると、ニッケルメッキ仕上げは銃の防錆性能が圧倒的に高い。こまめにオイルで磨いたりしなくても、通常なら大丈夫だ。20世紀半ばまで、ニッケルメッキは銃に用いることができる最高の対腐食防止対策であった。クロームメッキでも良いのだが、ニッケルの方が安価にできる。
コルトがリボルバーにニッケルメッキを施すことができるようになったのは、1873年頃らしい。それから数年後には量産にも対応可能となった。それ以前のコルト製品にシルバーカラーのパーツが使われてる場合、それらは銀メッキだったはずだ。黒色火薬が使われていた当時、現在より腐食対策は重要だった。従ってニッケルメッキの技術が普及すると、銃の分野にも急速に広まっていく。

1965年にステンレススチールのリボルバーが登場し、それ以降、この錆びにくい新素材が少しずつ普及していった。その結果、かつては盛んに作られたニッケルメッキのハンドガンは減少し始める。その後、対腐食性に優れ、更なる付加価値を持ったコーティング技術が次々と登場してきたことも、ニッケルメッキハンドガンの減少を加速させた。セラコートやDLCは、ブルー仕上げやニッケルメッキ仕上げとは比べ物にならないほど高機能だ。他にもガンメーカー固有の呼称を持つコーティング技術がいろいろ生まれている。
とはいえ、ニッケルメッキ仕上げが持つ“少し温かみを感じるシルバーカラー”は、クラシカルな銃にとてもよく似合う。また現代でもニッケルメッキ加工を請け負うガンスミスがおり、それなりの人気を得ている。

右:1966年以降、Dフレームのグリップ部分はすべて短いものとなり、ディテクティブスペシャルはウッドグリップの形を変えてそれまでと同じ長さにしていた。したがって、タナカのディテクティブは1965年までのモデルを再現しているということになる。
タナカが今回製品化するディテクティブスペシャル“R-model”ニッケルフィニッシュは、1946年から1972年まで製造された2ndイシューリボルバーの再現だ。まさにニッケルメッキ仕上げが盛んに用いられていた時代の銃で、少し温かみを感じるシルバーカラーがとてもよくマッチしている。フロントサイトやリアサイト部分の反射防止溝や、トリガーの滑り止めセレーションの再現も当時の実銃の仕様に忠実だ。
グリップはプラスチック製Colt Woodではなく、ウォルナットタイプを再現していることから、2ndイシューの中でも、最初期型ではない。また1966年以降のコルトDフレームは、すべてショートグリップフレームとなり、ディテクティブスペシャルは、グリップ自体を長く下に延ばして従来と同じ長さにしていた。タナカの2ndイシューは、ロンググリップフレームなので、1965年以前のモデルというわけだ。
ちなみに1960年におけるディテクティブスペシャルの価格はブルー仕上げが$67.85、ニッケル仕上げは$74.60と、その差はわずか$6.75だった。
タナカがディテクティブスペシャルのモデルガンを製品化したのは2010年春のことだ。ニッケル仕上げの製品もその後に発売している。但し、当時のタナカDフレームリボルバーは完璧といえるものではなかった。コルトのダブルアクションメカニズムを忠実に再現しようとした結果、シリンダーロックアップ現象(トリガーの動きとシリンダーの回転とのタイミングが変化してしまう)という問題を抱えていたのだ。しかし、当時の技術ではそれが限界だったといえる。
2023年にタナカはディテクティブスペシャルを “R-model”に進化させた。リバウンドレバーを強固なプレス製とダイキャストの2ピース構造に変更、これによって作動タイミングのズレを防止している。また内部パーツのかみ合わせも見直しし、コルト ダブルアクションリボルバーの作動をしっかりと再現させることに成功した。
ニッケルフィニッシュのディテクティブスペシャルが、“R-model”として製品化されるのは今回が最初となる。完璧な作動性能を持ったDフレームリボルバーを手にすることで、1950年代から60年代半ばまでの古き良きアメリカの香りを存分に楽しむことができるだろう。
タナカ
コルトディテクティブスペシャル 2インチ “R-model”ニッケルフィニッシュ
全長:175mm
重量:約410g(カートリッジ込)
装弾数:6発
主要材質:ABS樹脂(ニッケルメッキ)+亜鉛ダイキャスト
仕様:7mmキャップ火薬使用発火式モデルガン
価格:¥41,580(税込:.38スペシャル発火カートリッジ6発付属)
5月発売予定
お問い合わせ先:タナカ
TEXT:GPW Editor
Gun Pro Web 2025年6月号
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