2025/04/05
COLT PYTHON プロダクションリボルバーの最高峰
プロダクションリボルバーの最高峰
COLT PYTHON
コルトパイソン
Text & Photos by Yasunari Akita
Gun Professionals 2013年6月号に掲載
リボルバーが幅広く利用されていた時代、他を圧倒する存在感を持っていたのがコルトパイソンだ。フルバレルアンダーラグとベンチレーテッドリブを持ち、ロイヤルブルーに輝く端整なその姿は、リボルバーのロールスロイスとも呼ばれた。リボルバーが公用から退いて久しい上に、コルトはもうパイソンを製造していない。コレクターズアイテムとなりつつあるパイソンに、今、改めて注目してみよう。そこには現代の銃が失ってしまった輝きがある。
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2019年の末にPYTHONは大幅にアップデートされて復活しています。
この記事が書かれた2013年にはまさかPYTHONが復活するとは夢にも思っていませんでした。
2025年4月Web Editor補足
ウォーキング・デッドとパイソン
いつも取材に協力してくれるタラン・バトラーの私有地では、銃器業界だけでなく映画やTV関係者と知り合うことも多々ある。レンジでは日米のTV番組の収録が行なわれ、有名映画監督やハリウッド大スターがプライベートで射撃をしに来たり…と、タランの顔の広さが伝わってくる。
最初にタランを取材した時に出会ったのが数多くの作品で悪役を演じてきたベテラン俳優、マイケル・ルーカー(Michael Rooker)だった。タランの古くからの友人でよくプライベートで射撃しにくるという話であった。
出演作を列挙すると「刑事ニコ/法の死角」「デイズ・オブ・サンダー」「J FK 」「クリフ・ハンガー」「トゥームストーン」「シックス・デイ」「ジャンパー」などの作品に出演し、強面キャラで通ってきたが実際にはかなりフランクな人柄で、タラン達からはマイクの愛称で親しまれている。
マイクといえば2010年からアメリカのケーブルTV、AMCで放送され大ヒットを飛ばし、2013年現在シーズン3を終えた「ウォーキング・デッド(The Walking Dead)」で凶暴なメルル・ディクソン役を演じている。弟のダリル・ディクソンを演じるノーマン・リーダスと共に登場するディクソン兄弟が同シリーズのファン達から大人気キャラクターとなっている。
何度も書いてるが、筆者はホラー映画の中で特にゾンビ映画が大好きで超ドB級から最新作までゾンビが関係する作品なら来るものは拒まず…といった感じ。勿論ウォーキング・デッドにも勢いよく飛びついた(笑)。
マイクに出会う前から見始めていたシリーズだったので取材先で本人に出会えるなんて…本当に吃驚ドッキリだった(笑)。マイクは自前の1911を貸してくれてヒップ・シューティングを教えてくれたり、大変に気さくな人でメールでもいつもフレンドリーに返事をくれるので交流が続いた。
シーズン2では夢のシーンにしか登場せず、タランと早くマイクの暴れっぷりが見たいもんだ…と話していたら、シーズン3では待ってましたとばかりにかなり大暴れしてくれた(笑)。

話がかなり銃の話題からそれたが…このウォーキング・デッドの作品の中でも色んな銃が登場する。その中でもアンドリュー・リンカーン演じる主人公の保安官、リック・グライムズがデューティガンとして愛用し、荒廃した世界でのサバイバルの旅の中でもずっと使用し続けているのがステンレス製のコルトパイソンの6インチだ。
現代を舞台にした作品で主役クラスの警官がリボルバーを愛用する姿を見るなんてかなり久しぶり。それだけにリックのパイソンはインパクトがあったし、改めてリボルバーも渋くてイイ~っとちょっと感慨深くなった(笑)。
これが大都市の警官という話なら無理があったが、ジョージア州の田舎町の保安官代理という設定だから何となく受け入れられた(実際にジョージア州警察はパイソンを採用していた時期があった)。
そんなわけでウォーキング・デッドを見続けているとリック愛用のシルバーで長い銃身のパイソンの姿が妙に心にグッと来るようになった。あえてパイソンを選んだところがウマいなあ…とか勝手に感動しながら同シリーズにハマっている(笑)。
関係ないけど「リックはパイソンを片手で持ち斜め上の角度からゾンビの頭を狙うのにどうしていつも真っ直ぐに着弾するんだろうね…?」とタランと笑いながら話していた。でも、あの独特な構え方もパイソンの姿を引き立てていると思う。ゾロゾロと集まってくるゾンビたちに対して6発は心許ないがリックは最後までパイソンを使ってくれるだろう。

現代のリボルバーたち
警官の腰からリボルバーの姿が消えてから長い日が流れた…最後にリボルバーをデューティガンとして腰から下げているオフィサーの姿を見たのはいつのことだったか…もう遠い昔で思い出せない。多分90年代半ばくらいが最後だったと思う。
80年代半ば頃からリボルバーのファイアパワー不足が問題視されるようになった。中にはリロードの最中に撃たれて殉職した人やリボルバーの2、3倍の弾数があるオートのおかげで大規模な銃撃戦を生き抜くことが出来たオフィサーもいた。こうした事例を重視した大都市の警察では15発前後のマガジン装弾数を持つオートへと切り替えを始めた。
でもリボルバーは健在だ。携帯またはバックアップ用の小型軽量モデル、そしてマグナム口径などの分野でまだまだ頑張り続けている。
リボルバーでは特にS&Wとスタームルガーが元気印であるが、コルトといえばSAA(シングルアクションアーミー)系のみを残し完全に撤退という状態だ。
(2013年当時の話です)
その昔コルト=リボルバーというイメージが強かっただけにこの衰退ぶりはちょっと残念。コルトは経営上の理由からリボルバーも含めて多くの市販ハンドガンを2000年頃を境に整理してしまったことが大きな理由だ。
DA(ダブルアクション)リボルバー競争では徐々にS&Wに水を開けられてしまったが、優れたモデルを輩出してきた。その中でやはりコルトの黄金時代を支えた名銃といえば、今日でもレジェンダリー(伝説的)な存在として人々の記憶に焼き付いているコルトパイソンだろう。



コルトの名銃パイソン
コルトリボルバーのトップ・オブ・ザ・ラインとして21世紀初頭まで強い存在感を放っていたのがパイソンだった。
入念にハイポリッシュされコルトロイヤルブルー仕上げを施されたその美しさはプロダクションリボルバー…つまり限定品ではなく市販量産リボルバーの最高峰と呼ばれた。
ブライトニッケル仕上げも発売されたが、パイソンのイメージと直結するのはロイヤル・ブルー仕上げだ。市販価格も通常のリボルバーより高価であったが、それでも十分に人々を魅了する個性があった。
その美しさにリボルバーのキャデラック、またはロールスロイスとまで評す著名人も少なくなかった。確かに実用品としてはやや行き過ぎた手間のかけ方ではあったが、開発当初はターゲットリボルバーとしての性格の方が強かった。
パイソンの人気を支えたもう1つの要素がスムーズなDAトリガープル。スーッと滑らかに引けるトリガーはパイソンならではのもので、外見の美しいイメージにマッチする、しなやかなトリガーであった。そしてパイソンのバレルは高い命中精度を持ち、見た目だけではなく高い評価を得ていた。
パイソンの魅力を知り、採用するポリスデパートメントも少なくなかった。そして数多くの熱烈なパイソンファンや愛好家、競技シューターを生み出してきた。


