2025/07/05
【NEW】トイガンラボ 161 WA M45 MEU PISTOL GENERATION-1
USMCが使い続けた伝説的な.45オート、Marine Expeditionary Unit (Special Operations Capable):MEU(SOC)ピストル。ウェスタンアームズは今回初めて、その最初期型ジェネレーション・ワンを製品化した。
伝説
1985年、アメリカ軍の制式軍用拳銃が9mmのベレッタM9に決定したとき、海兵隊の精鋭部隊である海兵遠征隊(MEU)のサブユニットなどでは.45口径の1911オートをアップデートして使い続けることを決定した。そして保管されている1911オートから程度の良いものを選別し、市場にあるカスタムパーツと換装するなどの改造が施された。それが通称MEUピストルだ。正式にはM45 MEUSOCというらしい。
日本では2004年に出たホビージャパンのムック『ELITE FORCES アメリカ軍 Part2』で紹介されたあたりから大きな話題となり、ボクも色々調べたりしてちょっとのめり込んだ。
最初は海兵隊のRTEショップ(Rifle Team Equipment shop、1999年にPWS=Precision Weapons Sectionに改称)が、必要に応じて手作りしていたため部品の互換性はなかったとされる。そして製造時期ごとに仕様の違いがあるようで、大まかには4つのバリアント(ジェネレーション)があるらしい
その後2004年ころ、部隊員の増加に伴い必要数が増えると、手作りではなく、市場にあるモデルが採用されることになり、第1分遣隊(Det-1)用に暫定近接戦闘用ピストル(ICQB)としてキンバーのMARSOCを限定採用する。さらに2005年にはスプリングフィールドアーモリーのプロフェッショナルモデルをこれまた限定採用したとされる。
2010年、M45の代替モデルのトライアルが行なわれ、2012年、コルトの1911レイルガンが選ばれてM45A1 CQBP(Close Quarter’s Battle Pistol)となった。
しかしそのM45A1も老朽化のため、2016年ころからSOCOMの標準ピストルとなったグロック19に切り替えが進められ、2021年頃からはSIGのM18への切り替えも始まり、2022年10月には完了したとされる。つまり.45口径1911オートは、一部の特殊部隊などを除いてほぼ姿を消したわけだ。ガンファンとして一抹の寂しさを感じてしまうのはボクだけではないと思う。
ウエスタン アームズ(WA)は、すべての.45口径1911オートのMEUピストルをマグナブローバックで発売してきたと思っていたのだが、まだ手を付けていないモデルがあったらしい。それが軍用のM1911A1をベースにカスタム化された最初期型(ジェネレーション・ワン)のMEUピストルだという。コレクターやファンがMEUピストルをコンプリートするには、ぜひとも手に入れなければならないモデルと言えそうだ。

口径:6mmBB
全長:約220mm
銃身長:約114mm
重量:約896g
装弾数:23+1発
機構:固定ホップアップシステム、トランスファーハンマーver.3
主要材質:カーボンブラックHW樹脂、ブルーイング(黒染)仕上げ
対象年齢:18才以上
価格:¥49,500(税込)【限定生産品】




ディテール
カーボンブラックHW樹脂なのでズッシリと重い。黒染めされた表面は軍用らしいツヤ消しで、重厚な渋さを醸し出している。金属パーツも違和感なく溶け込んでいて、WAらしい高級感のある仕上がりだ。
最初期型ということで、スライドとフレームはミリタリーモデルのものが使われている。刻印類も1911A1のミリタリータイプのままで、プルーフマークやインスペクターマークも打たれている。これらはミリタリーモデルからの流用ではなく、今回新たに彫刻機で刻んだものだそう。そこにシリアルナンバーの下4桁マッチングナンバーが追加されている。
ちなみに、第二次世界大戦後、技術の進歩により可能になった完全に熱処理された1911オート交換用の通称ハードスライドがコルト社から軍に納品されており、実銃のMEUピストルGen1ではそれが使われていたそう。





フロントサイトは背面に反射防止のセレーションが刻まれたミレットのデュアルクリンプサイト。リアサイトは標準のサイトカットに合わせて海兵隊のRTEショップで製作されたというオリジナルデザインのものが使われている。後のモデル(ジェネレーション)と比べると若干ノッチが浅い気もするが、意外と見やすく狙いやすい。
エジェクションポートは低く広げる加工は施されているが、フレア加工(ケースロールオーバーノッチ)などはなし。
バレルはバーストのセミフィットバレルが採用されていたので、メタルチャンバーカバーにはBAR STO 45 ACPの刻印が入れられ、メタルアウターバレルもちょっと長めで、ブッシングよりわずかに飛び出している。
ハンマーはMGW(Maryland Gun Works)のコマンダーハンマー(実銃ではハードシアも)で、ビーバーテイルグリップセフティはウィルソンコンバットのWilson 66タイプを装着。ハンマーバイトの心配なくハイグリップができる。
メインスプリングハウジングはA1ミリタリーのオリジナルのアーチ形をRTEでフラットな形に削り、20lpi(ラインパーインチ)のセレーションを刻んだものを再現。軍用なのでランヤードループもそのまま残されている。
トリガーはヴィデッキの3ホールロングトリガー。実銃では、オーバートラベル調整用のねじを外して穴が溶接されていたという。確実性を取ったらしいが、ありがたいことにWAのものは調整可能になっている。
サムセフティは、グリップパネルに干渉しないキングスの201-Aアンビデクストラスサムセイフティが再現されている。指を乗せる部分が細身で長く伸びているタイプだ。
グリップはパックマイヤータイプのラップアラウンドラバーグリップが装着されている。実銃ではパックマイヤーのシグネチャーグリップが取り付けられていたとされるが、現在のパックマイヤーの親会社ライマンの公式サイトによると、このタイプはすでに製造中止となっているらしい。その情報が正しければ、現在市場にあるのは流通在庫か中古ということになるので、欲しい人は見つけたら買っておいた方が良いかもしれない。
余談だが、隊員の多くはグリップ下部の鍔のような部分を切り取っていたそうで、WAでは最初からそれのないタイプを装着している。
実銃のマガジンはウィルソン コンバットのステンレス製7連発の47マガジン。ウィルソンタイプのマガジンはWAのマガジンとしてはポピュラーなもので、厚めのポリマーベースパッド付きが付属する。実銃でもウィルソンマガジンは評判が良かったようで、M45A1まで使い続けられることになったという。
外観の完成度は高く、納得のいく仕上がりになっている。グリップをパックマイヤーの実物に付け替えればさらに満足感はアップするだろう。
付け足しておくと、分解の際、バレルブッシングは高級カスタムガン並みにタイトにフィッティングされているので、ブッシングレンチを使わないと分解できない。というか素手ではビクともしない。ここまでとは、正直驚いた。





