2025/05/27
【NEW】タナカ コルトポリスポジティブスペシャル 4インチ 3rdイシュー “R-model” ニッケルフィニッシュ
コンパクトなDフレームリボルバーでもバレルが4インチになると、ガラリとその印象が変わってくる。すらりと伸びたバレルにより、ディテクティブとは全く違う雰囲気が漂うのだ。ニッケルフィニッシュだと、このことをより強く感じる。
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アメリカの警察官がリボルバーをキャリーしていたのは1980年代までの話だ。80年代後半にセミオートをキャリーする警察官が増え、90年代には、バックアップとしてキャリーする場合を除き、リボルバーはほぼ公用から一掃された。
ダブルアクションリボルバーが全盛だった20世紀初頭から1980年代半ばまでの間、アメリカの制服警官は、ほとんどの場合、4インチ、または6インチバレルのリボルバーを使用した(それほど多くないが5インチもあった)。
“6インチリボルバーではなく、ほとんどが4インチだったのではないか”、という意見もあるだろう。確かに4インチの方が多かったと思われるが、6インチモデルをそのポリスデパートメント(PD)のスタンダードとして採用していたという例は確実にある。
そして、1950年代中頃まで、制服警官がキャリーするリボルバーの主流は、ミディアムフレーム、またはスモールフレームが圧倒的多数だった。具体的にはコルトのポリスポジティブスペシャルとオフィシャルポリス、S&Wではミリタリー&ポリスだ。
コルトは1907年にスモールフレームのポリスポジティブスペシャル、1908年にミディアムフレームのアーミースペシャル(のちにオフィシャルポリスに名称変更)、1909年にラージフレームのニューサービス改良型(のちに消滅)をリリースして、ダブルアクションリボルバーのラインナップを固めたが、警察官の多くはスモールフレームかミディアムフレームを好んだ。制服警官は勤務中、常にリボルバーを携帯しているため、コンパクトで、軽いことが望まれたからだ。
S&Wの場合、警察用は1899年登場のKフレーム、すなわちミリタリー&ポリスのほぼ一択だった。1908年に登場したNフレームは大きすぎるし、1903年登場の改良型Iフレームでは小さすぎる。

1935年にS&Wから供給が始まった.357マグナムだが、警察官がこれを勤務中に数多く使用するようになるのは、1950年代以降の話だ。高価で、大きくて重いS&W 357マグナム(のちのモデル27)を私物として購入、勤務中にこれを使用する警察官は、ごくわずかしかいなかった。S&Wが廉価版357マグナムとして、ハイウェイパトロールマン(のちのモデル28)を発売したのが1954年で、この頃から.357マグナムリボルバーが警察用として使用され始めたようだ。その翌年には、Kフレームのコンバットマグナム(のちのモデル19)が登場している。
.357マグナム対応で遅れをとっていたコルトも、1953年に改良強化型ミディアムフレーム(のちのIフレーム)のコルト357を発売、これが1955年にパイソンに発展した。
しかし、そんな.357マグナムリボルバーを採用するPDや、個人的に購入する警察官は、依然としてごく一部で、圧倒的多数の制服警官は、手頃な.38スペシャルのミディアム、もしくはスモールフレームのリボルバーを装備していたと思われる。
多くの警察官がマグナムリボルバー、または.38スペシャル+P対応のリボルバーを装備し始めるのは1960年代以降のことで、これが“アメリカの警察官=リボルバー”という時代の最後を彩った。
いずれにしても、コルト ポリスポジティブスペシャルとオフィシャルポリス、S&Wミリタリー&ポリスは、1950年代半ば頃まで、アメリカンポリスのスタンダードリボルバーであったといっても良いだろう。
その時代、ニッケルメッキのリボルバーがかなり普及していたという話は、先月号のディテクティブスペシャルご紹介記事の中でお伝えしている。ならば、アメリカの警察官もニッケルメッキ仕様のリボルバーを装備していたのだろうか?
その答えは、“ニッケルメッキのリボルバーを装備した警察官もいた”となる。但し、その絶対数はあまり多くないようだ。オークションサイトには時々、警察がかつて公用として使用していたリボルバーが競売に掛けられている。そしてそのごくごく一部に、ニッケルメッキ仕様がある。
警察官はあらゆる天候状態においても、リボルバーを腰に装備して勤務しなくてはならないため、耐腐食性に優れたニッケルメッキは便利だったという意見もある。しかし、実際には、その数はあまり多くないようだ。また、ニッケルメッキリボルバーは目立つため、警察官が銃を抜いたことを被疑者が認識しやすいという効用もあるという記述を読んだこともある。犯罪は昼間よりも夜により多く発生する。黒っぽいスチールブルーの銃だと闇の中に溶け込んでしまうが、ニッケルメッキなら目立つというわけだ。しかし、実際には、1960年代頃までに、ニッケルメッキリボルバーを公用として採用したPDは少なかったようだし、個人でニッケルメッキリボルバーを購入して使用した警察官もあまり多くなかったようだ。なぜかははっきりしないが、“警察官の銃=スチールブルー仕上げ”というある種のコンセンサスが、当時はあったらしい。しかし、公用として使用されたニッケルメッキリボルバーは、数が少ないものの存在する。
その一方で、明確にニッケルメッキのリボルバーを禁止したポリスデパートメントもあった。ニューヨーク市警(NYPD)では、ニッケルメッキのリボルバーを持つ私服警官を、制服警官が容疑者と間違えて射殺してしまうという事故が複数回発生し、最終的に警察官のニッケルメッキリボルバー使用を禁止している。この時、誤射した警察官に“ニッケルメッキのリボルバーを装備する警察官はいない”という先入観があり、それが原因で私服警官を犯人と間違えて撃ってしまったのだ。
もっとも、その後にステンレス製リボルバーが登場し、これが広く普及したことで、“警察官のリボルバー=スチールブルー”という概念は消えていくことになる。

右:エジェクターロッドヘッドの形状は、1952年以降のデザインを正確に再現している。
タナカが今回発売するポリスポジティブスペシャルは、20世紀半ばまでの古き良き時代に主流だったコルトのコンパクト(D)フレームリボルバーのモデルガンだ。Dフレームとしては2インチバレルを持つディテクティブの方が有名だが、実銃の場合、実際に使用することを考えれば、4インチのポリスポジティブスペシャルの方が使い易いし、汎用性がある。ニッケルメッキ仕上げは、警察組織での使用は限定的だったが、一般市場ではかなり人気があった。ニッケルメッキは当時において、最高の防錆対策であり、その被膜は均一で美しいからだ。
タナカのニッケルメッキも、実銃に限りなく近い色と美しさを再現している。またR-model化により、コルトのダブルアクションメカを忠実に再現しつつ、作動安定性を確保した。
先月ご紹介のディテクティブスペシャルと同様、ニッケルフィニッシュのポリスポジティブスペシャルが “R-model”として製品化されるのは今回が最初だ。20世紀半ばのアメリカンダブルアクションリボルバーの雰囲気を、このニッケルメッキモデルでたっぷりと味わっていただきたい。
タナカ
コルトポリスポジティブスペシャル 4インチ サードイシュー
“R-model” ニッケルフィニッシュ
全長:241mm
重量:約420g(カートリッジ込み)
装弾数:6発
主要材質: ABS樹脂(ニッケルメッキ)+亜鉛ダイキャスト
仕様:7mmキャップ火薬使用発火式モデルガン
付属品:.38スペシャル発火カートリッジ 6発
価格:¥41,580(税込)
2025年6月発売予定
お問い合わせ先:タナカ
TEXT:GPW Editor
Gun Pro Web 2025年7月号
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