2025/04/15
Smith & Wesson Model 351C
.22マグナム7連発の護身用リボルバー
Smith & Wesson
Model 351C
Text and Photos by Terry Yano
Gun Professionals 2016年7月号に掲載
コンシールドキャリー用のリボルバーといえばS&Wの小型.38口径5連発がポピュラーだが、同社は他口径の小型護身用回転式拳銃も製造している。リムファイアの.22マグナム7連発、モデル351Cもそのひとつだ。
.22マグナム
今日、慣習的に.22マグナムと呼ばれているリムファイアカートリッジの本来の名称は.22 WMR(Winchester Magnum Rimfire)で、1959年にウィンチェスターによって発表されたものだ。それまでの.22 WRF(Winchester Rim Fire)の改良版で、当初は小型獣向けのライフル用カートリッジであったが、すぐにS&Wやルガーが同口径のリボルバーをラインナップに加えており、20世紀で唯一成功したリムファイアカートリッジと紹介されるほど一般的になった。登場から57年が経過した現在も根強い人気を誇り、25~50グレインの弾頭重量をもつアモは各種スモールゲームのハンティングに適しているほか、近年には護身用ハンドガンでの使用を前提としたディフェンス用アモも増えている。
.22マグナムのハンドガンは当初、比較的長いバレルをもつモデルが多かったが、後には短銃身でも作られた。AMTのオートマグⅡはその一例だ。

ステンレススティール製バレル(ライナー)の先端部は、フレームへの取り付け時に用いられる特殊工具に対応した形状となっている。

グリップフレーム後面には軽量化の一環と思われるグルーブがあり、下部の切欠きにはランヤードを装着できるように工夫されている。

小型の護身用.22マグナムハンドガンでは、ハイスタンダードのダブルデリンジャーがよく知られている。3.5インチ銃身をもつ上下二連ピストルで、ダブルアクション(以後はDAと略す)オンリーのトリガーで2連射できるというものだ。ディフェンス用ハンドガンのカートリッジとしては9×19mmや.38スペシャルに敵わない.22マグナムだが、バックアップ用として評価する人は少なくない。S&WにKフレームと.357マグナムの組み合わせを提唱し、“Combat Magnum”(後のモデル19)の開発に貢献したU.S.ボーダーパトロールマンのビル・ジョーダン(William Henry “Bill”Jordan)もそのひとりで、1965年の著書“NO SECOND PLACE WINNER”において、.22マグナムの軽量小型リボルバーは理想的なハイドアウトガン(コンシールドキャリーガン)になるだろうと述べている。
近年で話題になった.22マグナムのハンドガンとしては、KEL-TEC(ケルテック)のPMR- 30が記憶に新しい。見た目が安っぽいのはともかく、マガジン装弾数が30発というのは衝撃的で、長い間入手困難な状態が続いていた。

トリガーガード下面中央にも、グリップフレーム後面と同じようなグルーブがある。

モデル360Jを含めた近年のS&Wセンターファイヤの軽合金フレームリボルバーには、シリンダーギャップからの高温ガスでトップストラップがダメージを受けないようにブラストシールドをもつモデルが多いが、モデル351Cには備わっていなかった。

S&Wの.22マグナムリボルバー
S&Wはこれまでに多くの.22マグナムリボルバーを製造している。Kフレームではモデル48とそのステンレス版であるモデル648、Jフレームではモデル51とそのステンレス版モデル651、そしてフィクストサイトを備えたモデル650などだ。
Jフレームのモデル651が1999年に製造中止となって以来、しばらくはKフレームのモデル648がS &W 唯一の.22マグナムリボルバーとなったが、2005年に製造中止となる直前のSHOT SHOW 2004で、モデル351PDという.22マグナムの7連発リボルバーが発表されている。外装式ハンマーをもつJフレームの軽量モデルで、HIVISのファイバーオプティック付きフロントサイトを備えた1-7/8インチ銃身と木製グリップが特徴であった。
モデル351PDのハンマーを内装し、細部を変更したバリエーションがモデル351Cで、SHOT SHOW 2010で発表されている。しかし、この年はS&Wがポリマーフレームの護身用ハンドガンNEW BODYGUARD(ボディガード)シリーズ(. 380 ACPのセミオートハンドガンと.38スペシャル+Pのリボルバー)を発表したこともあり、モデル351Cを含む他の新製品は影が薄くなってしまった。

この2種類の現行センテニアルで特筆すべきは、インターナルロック機構(キーロック)が備わっていないことだ。私のように、それだけで購買意欲が出てくる人もいるだろう。
モデル351Cの特徴
センテニアルエアライトのモデル351Cは、内装ハンマーをもつ軽量.22マグナム7連発と要約できるが、外装ハンマーのモデル351PDに備わっていたインターナルロック(キーロック)が廃止された点も注目されるべきであろう。
フレームやバレルシュラウド、そしてシリンダーの材質はアルミニウム合金だ。軽量がセールスポイントであるエアウェイト/エアライトシリーズでも、センターファイアカートリッジを使用するリボルバーではシリンダーには各種スティールか、スカンジウム添加アルミ合金が用いられている。S&Wはかつて、フレームはもちろんシリンダーまでアルミ合金製とした.38口径の軽量リボルバーを米空軍向けに開発したが、強度が十分でないと判断されて廃棄処分を余儀なくされたという苦い経験をもつ。アルミ合金製シリンダーは.38口径では強度不足だが、.22 LRや.22マグナムでは十分と判断されたのであろう。 閑話休題、ディフェンス用やトレイルガンでは軽いことは重要で、未装填重量が323g(実測値)しかないモデル351Cは携行していても重さを感じない。
護身用を意識したリボルバーらしく、フロントサイトには近距離での素早いエイミングに適したXSサイトシステムズのホワイトダットが採用された。フレーム上部を削り出して設置されたリアサイトは、フロントサイトに対応させた“U”ノッチとなっている。
