2025/03/13
マシンガン事情USA AKS-47S Krinkov Chapter 2
マシンガン事情USA AKS-47S“Krinkov” Chapter 2
7.62mm×39口径の短縮モデル
後編
Text & Photos by E. Morohoshi
2012年3月発売 Gun Professionals Vol.2(5月号)掲載
前編ではAK系短縮モデルの開発経緯、アメリカ国内におけるフルオートAK系銃器の実情、更にAK系フルオートコンバージョンなどについて触れた。
今回は7.62mm×39口径のAKS-47Sに的を絞り、その細部に目を向けてみたい。
AKS-47S各部の解説
●マズルデバイス
マズルブースター:AK系のように、ガスポートから抽出した発射ガスの一部をピストンに吹き付けて機関部を駆動するガスオペレーション銃器においては、作動の信頼性を確保するために一定以上のガス圧とガス量が必要となる。
ところが短銃身モデルの場合、銃腔内の容積が通常のバレル長の銃器よりも小さいことから、スムーズな作動に必要なガス量を確保することが難しい。
そこでAK系短縮モデルでは、特殊なシリンダー型マズルブースターが考案された。このデバイスは、チャンバー状のシリンダー内部の空洞に発射ガスが溜まり、ちょうど小学校で習う教材ポンプの空気室のように、ピーク時のガス量を一定時間持続させる働きをするというものだ。
ところが外国の文献、あるいはただ単にそれらを翻訳したと思われる日本の文献の中には、このシリンダー型マズルブースターのことをフラッシュハイダー(消炎器)と呼び、その効能は、強大なマズルブラスト(爆風)、マズルフラッシュ(発射炎)、及び発射音の軽減にあるとされている。
果たして本当にそうなのだろうか?そこで実際にマズルブースターを外して射撃を行ない、作動、発射炎、発射音などが装着時とどれほどの差異を生じるか試してみることにした。
まず作動だが、何らマズルデバイスが無くとも、セミ、フルとも100%の稼働率をキープすることが分かった。それではマズルブースターは全く不要な備品かというと、連続使用からくる機関部の抵抗増大や、低圧カートリッジ使用などに対応するための保険的な意味で、ブースターとしての存在意義があるのかもしれない。
またマズルフラッシュは確かに発生するが、炎の大きさはマズルブースター装着時の方が遥かに強烈である。デバイス装着により発射炎が明らかに増幅されるということは、これをフラッシュハイダーと呼ぶには無理がある。
驚いたのはその射撃音だ。ただでさえ7.62mm系は5.56mm系などの小口径カートリッジの甲高い発射音に較べ音量が太い。そこへ更に短銃身、マズルデバイス無しという条件が重なると、音量は一気に5割増しにも感じられ、正に轟音という表現がふさわしい。耳栓をしていても耳が痛くなる程だ。サウンドサプレッサーという程の消音効果はないにしても、マズルブースターにより発射音がマイルドになるのは確かである。

4ピースフラッシュハイダー:シリンダー型ブースターから発生する、余りに大き過ぎるマズルフラッシュを軽減するため開発されたマズルデバイスがこれだ。4ピースフラッシュハイダーは、サイクル駆動に必要なガス量を確保しながら、高い消炎機能も持つ。
