2025/03/07
【Rifleman's Corner】ライフルはどこまで当たるか?

Gun Professionals 2013年1月号に掲載Gun Professionals 2013年1月号に掲載

ライフルマンなら“自分のライフルはどれだけ当たるのか?”と思うことがあるに違いない。俺のライフルはワンホールでね・・・といってもその大きさは千差万別だ。ほとんど1発にしか見えないワンホールから、5発数えられるがともかくつながっているとなれば、これも理屈から言ってワンホールだ。
普通、数発にしか見えないラウンド(円)または小さなトライアングル(3角)の弾痕をワンホールという。ライフル所持者でないとワンホールに対する拘りは理解しにくいかもしれない。
何十万円も払って所持したライフルが散弾銃バックショット並みのグループじゃ腹も立つ。ステンレスカスタムマッチバレルに交換したものの、ファクトリーのクロモリオリジナルバレルより当たらなかったとなればこれまた気分を害する。
しかし当たらない原因はいろいろあり、一概にバレル、スコープ、または弾が悪いと決め付けられないものがある。先のリポートでも述べたが、最終的にはシューター自身の射撃腕も関係してくる。本人は認めたくないだろうが。
しかし、人為的なミスを排除したらどうだろう?もしこれが可能であれば、銃本来の正確な性能を知ることができるのではないか?


通常のライフルでもっとも安定した射撃をするとなればレスト(依託)を使うしかない。現在、レストにもいろんな種類がありこの解説だけでかなりのものとなる。これについてはいずれの機会に詳しく述べたい。
レストを使えば無条件に銃のポテンシャルアキュラシーを搾り出すと考えられやすいが、実際にはここにも使い方のノウハウがあり、期待するような結果は望めないことが少なくない。
ストックを含めた完成銃をマシンに取り付けたら良いのではないか?このアイデアは少なくとも19世紀後半に既に登場している。人間の考えることは時代が変わってもそれほど差がないようだ。米軍にもこの種のテストマシンが存在する。筆者自身、HPホワイト研究所を訪ねた際、見た記憶がある。どこのバレルメーカーにとっても自社で製造しているバレルの命中精度は気になるものだ。バレルメーカーだけでなくブレット、パウダー、プライマー、スコープメーカーにとっても同じことである。

この種のテストマシンは大きく分けて2種ある。
ユニバーサルアクションを使ってのプレシャーテスト用、そしてアキュラシーテスト用のものだ。両タイプは目的からデザインが多少なり異なるため兼用というケースはまずない。妥協したとすればアキュラシーもそれに見合ったものでしかないからだ。
今回、焦点を合わせたのはアキュラシーテスト専用マシンだ。このタイプはアッパーとローアとの組み合わせで構成され、発射のリコイルでアッパーが後退する。レールを備え、後退するデザインなので通称“レールガン”と呼ばれる。火砲の原理そのままである。
バレル、ブレットメーカーは地下射場を持ち、自然界の影響を極力避けた環境でテストする。ほとんどのメーカーが持つ地下射場(トンネルレンジともいう)の距離は100ヤードだ。中には200,あるいは300ヤードの設備を持つところもあるようだがその数は少ない。筆者の知る施設で300ヤードの地下射場を備えているのはメリーランド州アバディーンにあるHPホワイト研究所だ。
もっともトンネルテスト結果が良くても自然環境の中では通用しないこともある。一つの例として、無風の中ではタイトなグルーピングを生むブレットでも横風や11時、2時方向の向かい風により広がることがあるからだ。もちろんこれには風+ツイストが関係してくることもある。いわゆるテストガンが競技用としてメーカーのトンネルレンジから野外に出たのは第二次大戦後だった。


ベンチレストライフル(BR)競技が広まりつつある中、更なる究極のアキュラシーを求める派は重量などに制限を受けない無差別クラス(アンリミテッド)を設けた。 しかし長い間、ベースはフロントとリアを別々にしなければならないなどのルールを設けたため無差別(アンリミテッド)とは名ばかりだった。本来、無差別とは安全性に
問題があったり銃規制に抵触しない限り、制限無しでなければならない。
このルールのため、当時登場したモデルは極太バレルをつけ、大きなストックとした従来型ライフルの拡大モデルでしかなかった。


今日のレールガンコンセプトが一般化したのは旧来のルールが撤廃され、真の無差別クラスが始まった1980年代初めからだ。現在、全米選手権で登場する無差別クラスガンのほとんどはレールガンコンセプトとなっている。
無差別クラスを楽しむ人口は全米で500-600名ぐらい存在するようだが、ローカルの競技を含め、参加するアクテイブ競技人口の数は200-300名と少ない。米国でも極めてマイナーなBR射撃の中、更に小さな集まりといえる。自然界で言えば絶滅危惧種に近い。
機構は写真説明を見ても判るように極めてシンプルだ。無差別といってもアクションはシングルでなければならないというルールがあり、マガジン装着は禁止だ。基本は、トップの前進ストップ位置が毎回、同じであること、そしてアッパーの後退抵抗が常に一定であることだ。何故かと言うとハンドガンで言うショートリコイルの作動初期とまったく同じだからだ。ブレットがスロート/リードに食い込みボア内を移動した瞬間からリコイルは始まる。
銃口からブレットが飛び出した瞬間、アッパーは1-1.5mm後退した位置にある。後退の抵抗力に差があった場合、ブレットインパクトに影響を与える。後退のズレを防ぐためほとんどのアンリミテッドガンには何らかの調整装置を備え、ゼロに近いセッテイングも可能だ。

