2018/08/21
KRYTAC KRISS VECTOR 製品レビュー 【2017年7月号掲載】
KRYTAC
KRISS VECTOR
実銃メーカーであるKRISS USAのトイガン部門「KRYTAC」より、クリスベクター電動ガンが日本国内でもいよいよリリースされることになった。SF映画から飛び出してきたかのような近未来的なフォルム、コンパクトな銃身が叩きだす驚異的な命中精度、そしてMOSFET電子トリガースイッチなど、数々の注目ポイントを引っ提げて現われたこの銃を、今月の第2特集では徹底フィーチャー。国内正規代理店LayLaxご協力のもと実施されたモロ☆によるクリスベクター電動ガンレポートをはじめ、実銃、登場映画&アニメ、そして1:12『LittleArmory』など、多方向からクリスベクターの魅力に迫ってみよう。
※実射インプレッション動画はこちらからご覧いただけます。
唯一無二のデザイン
それにしても、すごいデザインだ。もちろんこれには意味がある。“反動を抑制する”というフルオートウェポンの命題に敢然と立ち向かうべく採用された作動システム「クリス・スーパーV」を収めるために、レシーバーが上下方向に大きなデザインとなっているのだ。一般的なSMGにおいては、前後動するボルトを収めるためレシーバーは前後方向に長くなる。ところがこのシステムでは、ボルトが上下に作動するのだ。特徴的なレシーバーのデザインは必然から産まれており、決して奇をてらったモノではない。それゆえ完成したこのデザインは間違いなく銃器史に残るだろう。
フロントには大きく「V」のロゴマークが。アッパーレールはレシーバーと一体に
フラッシュハイダーは14㎜の逆ネジ仕様で、イモネジで固定
特徴的な折りたたみ式の大型コッキングレバー。スプリングが入っており、コッキングアクションもできる
ボトムと右側面にレールを配置。左側面への付け替えも可能だ
ロアレシーバー前面には細かいリブが設けられており、ここをサポートハンドで支える形となる
セレクターは上からセミオート、2発バースト、フルオートの3ポジション。サポートハンドの親指で操作できる配置だ
セーフティとセレクターが独立した方式はクラシカルな印象だが、発射モードを切り替えることなくセーフティオンできるのは便利
バレルは低く、グリップは高く
フルオート射撃時、グリップの位置よりも上にある銃身の軸線で発生する反動が、グリップする手を軸に銃そのものを跳ね上げようとする。この軸線を下げれば、グリップの真正面に反動がかかり、そのエネルギーは腕へと逃げていく。そのため銃口の跳ね上がりを抑えることができるのだ。競技用拳銃のごく一部では採用されているデザインだが、SMGでの採用例としては初めてのようだ。また、重心はフロント寄りとなるので、構えるとサポートハンドで銃を支える形となり、正しい力の要れ具合で銃を構えることができる。さらに、サポートハンドの位置はピストルグリップより低くなるので、長時間でも構えやすいポジションになっているのだ。これは実に理に適ったデザインである。
トリガーは、Gen2のピボットタイプトリガーを再現。フィンガーへのフィット感がいいトリガーもベクターの撃ち味を支えている
折りたたんだストックはトリガーに干渉しない。ストックは軽量なため畳んでもバランスに影響しないのも好印象だ
折りたたんでストックをロックした状態。側面のレールとも干渉していない
折りたたみ時、バットプレートはマガジンハウジングより少し前方に出るため、ハウジングと共に握り込むこともできる
ストック基部に設けられたロック解除ボタン。ブラインド操作も可能なサイズで使いやすい
ストック折りたたみ時の固定フックは、レシーバー右側のエジェクションポート下部に配置
バットプレートは幅も充分で肩への当たりもよく、ガッシリと銃を構えられる
ストックの中ほどにはスリングスイベルを備える。スナッグプルーフされたスリムなデザイン
前後アイアンサイトはフリップアップタイプを装備。リアサイトはプレートを180°回転させることでピープを切り替えられる。側面には左右調整用ダイヤルも
エジェクションポートカバーは開閉可能。内部にはKRYTACのロータリーホップアップシステムを備えており、ホップ調整はカバーを開けて行なう
マガジンハウジング後方に、メカボックスへのアクセスパネルが。内部機構がどうなっているのか、興味は尽きない
グリップはバッテリーハウジングになっており、下面のロックを解除するとキャップがせり上がってくる
収納されていた7.2V 2050mAhバッテリー。装着の際には、コネクターを先にグリップ奥に押し込んでから挿入する
実銃ではグロック22と共用できるというマガジン。電動ガンバージョンでは100発強の装弾数を実現
コンパクトなメインアームとしてのベクター
さて、満を持して電動ガン化されたKRYTACのクリスベクター。今回は国内正式代理店であるLayLaxの協力で、実射可能なサンプルをお借りしてテストすることができた。その性能のほどはデータをご覧いただきたいが、この集弾性は驚異的である。なぜなら、この銃はピストルグリップより前に機関部がある構造上、全長を抑えるためには銃身を短くせざるを得ないからだ。資料によると、インナーバレル長は155mmとある。インチに直すと6インチ程度のバレル長は、同じくサブマシンガンであるMP5Kよりは長いもののMP5A5の2/3程度に留まる。それでいて、初速も集弾性も立派にプライマリーウェポンとして通用する数値を叩きだしているのだ。特に集弾性に関しては、構えやすいデザインの影響もあるだろう。安定した初速は、特徴的な構造が一役買っているのかもしれない。
フロントサイト。上下調整はこちらの調整用ダイヤルで行なう
構造的にもチャレンジングな一挺
一時、この電動クリスベクターのものと思われる設計図がネット上に出回り、話題になっていた。ご覧になった方もいるかもしれないが、それによるとこのクリスベクターは、マガジンとシリンダーを平行に配置した構造であると推測される。電動ハンドガンでは採用されている構造だが、ショルダーウェポンとしてはこのクリスベクターが初であろう。今回分解することは叶わなかったが、独立したセーフティをオンにすると逆回転防止ラッチが解除されたり、MOSFET電子トリガースイッチとバースト制御の両立など、機構的なトピックも多い。発売前からセンセーショナルな話題にこと欠かなかったクリスベクター。その期待を裏切らない性能を目の当たりにした身としては、製品版を手にするのがとても楽しみである。
DATA
- 全長:445mm / 665mm(ストック伸長時)
- 全高:180mm
- 重量:2,600g
- 装弾数:100発強
- 平均値 86.8m/s(0.75J)東京マルイベアリングバイオ0.2gBB弾使用
- 集弾性 63mm(20m)
- 価格:¥62,800(税別)
- お問い合わせ先:LayLax
初速(m/s) | |
1発目 |
86.2 |
2発目 |
86.3 |
3発目 | 87.7 |
4発目 | 87.5 |
5発目 |
88.0 |
6発目 | 86.3 |
7発目 | 87.7 |
8発目 | 85.9 |
9発目 | 86.5 |
10発目 | 86.2 |
TEXT:モロ☆