2019/09/19
エアガンで再現する「ベレッタM92G SD」
心を揺さぶるカスタムガンは人それぞれにあるが、それが必ずしも製品化されているわけではない。例えばたった1枚の写真からその銃の背景を探り同じものを造ってみることもカスタムなのだ。ここでは有名、無名にかかわらず気になった銃を製作、紹介したい。
Wilson Combat 92G Brigadier Tactical
メタルオートの逆襲!
カスタムメーカーの巨匠が愛したベレッタM92のレジェンドモデル
ウィルソン・コンバットのCEOであるビル・ウィルソンは、ファクトリーオートピストルとしてM92が最高であると公言し、自身でも1997年のIDPAナショナルチャンピオンシップでM92を撃ち、ストックサービスピストル部門で2位のマスターを獲得するほどのヘビーユーザーであるのだ。ウィルソン自身がベストの9mmのセミオートマチックピストルとしてM92を選択するほど惚れ込んでおり、1911はモチロンM92のコレクションも膨大でどちらもよく撃つと言っていることから、ベレッタの関係者とも近くなり、ベレッタシューティングチームの一員であるウィル・フェネルとパーフェクトなM92について話し合い、その中で名前の上がった「92G SD」で意見が一致、そこからM92G SDを復活させる計画が誕生した。
ベレッタM92G SDとはブリガーディアスライドにアンダーレールのついたフレームを組み合わせたもので、タクティカルインストラクターのデイブ・ハリントンの意見を取り入れた「スペシャルデューティー」バリアント(別名スーパーデイブバリアント)として2001年から2005年のわずか4年間だけ製造された伝説のM92だ。このM92G SDを多くのアクションシューティングでチャンピオンを獲得したマスターベレッタチューナーのアーネスト・ラングドンの協力を経て2014年にWilson CombatからM92Gブリガーディアタクティカルとして復活した。
今回このモデルを製作するにあたりベースガンとして選んだのはブリガーディアスライドを持つ東京マルイの「サムライエッジ・ハイグレード」。それとレールドフレームのM9A1用フレームを別に用意した。
アウターバレル先端をカットしステップドクラウン処理を行なった。ファイバーサイトはABS材と1.5mmファイバー棒を使って製作
リアサイトの「ベレッタバトルサイト」はABS材からの削り出しで高さは0.3インチをチョイス。高さは0.27インチから0.3インチまで4パターンあり20ヤードでの着弾点が1.7インチずつ上がるという
ウィルソンのメダリオンが付いたG10グリップはNOVA製のものをチョイス。スライドストップはサムライエッジのロングタイプを流用した
スケルトンハンマーはKM企画製をチョイス。スライド後部が華やかになったのでアクセントを付けるためにシルバーにした
サムライエッジのスライドにはオリジナルの刻印とフロントセレーションが付いているためこれを埋めてフラットに仕上げる必要があったのだが、レーザー刻印が必要なため素材より硬くなってしまうと刻印にムラが発生してしまう。そのためプラリペアは部分的しか使用できず硬化しても固くなり過ぎないラッカーパテを兼用した。
スライド側面はプラリペアとパテを使ってフラットにし、レーザーを使って各部に刻印を新たに入れてある
「ウィルソンコンバットMagガイド」自体はABS材からの削り出しで、アクリル棒を使って本体のハウジング部に固定している
トリガーガードを削り込んでラウンドに変更。削る際にはトリガーガードの肉厚に気を配りバランスを取るように削るのがポイントだ
アンダーレールのスリットを1本から2本に増やしウェポンアクセサリーの選択肢を拡げている。トリガーガード前の窪みはM9A1のフレームを削り込んだものだ
フレーム側の加工は、ほぼ切削だけであり、中心となったのはトリガーガード周辺でヤスリとリューターを使用している。フロント、リアサイトはパーツがないためフルスクラッチとなったが、ウィルソンのM92を作るとなれば、ここは外せないポイントであった。細かい部分にこだわったことで再現性の高いものとなっている。
TEXT:IRON SIGHT
この記事は月刊アームズマガジン2019年10月号 P.116~117より抜粋・再編集したものです。