エアガン

2026/08/09

オールド・モデルガン・アーカイブ:ナカタからひとつかみ【Part.2】

 

 ナカタ(中田商店)が生み出した名銃モデルガンから、普段あまり取り上げられるこのない名モデルをチョイスしてご紹介。やっぱりナカタはスゴかった!

 

ナカタ

フレンチM1935A(1971年)

 

ナカタ(TRC)製フレンチM1935A(Photo by Keisuke.K)

 

最後を締めくくったフランス軍の軍用拳銃!

 

 ナカタは1969年でモデルガンの新規製造を止めた。その年はすべてのモデルガンに対して王冠マークを付ける行政指導が行われた年でもある。モデルガンの悪用事件などが問題となりつつあったのだ。そして、ナカタの目標であった「第二次世界大戦時の世界各国の軍用銃をモデルガン化する」も、拳銃に関しては、N.K.G.(日本高級玩具組合)グループ内でほぼコンプリートしていた。
 わずかに中田が担当であったらしいフランス軍のフレンチM1935Aがモデルガン化されずに残っていたが、どうやら設計はすでに終わっていたらしい。専門誌1968年4月号にはナカタがフレンチを製作中という記事がある。そして1968年の12月号から、六人部さんが独立して立ち上げたカスタムモデルガンメーカー、六研の広告が始まるので、その時には原型製作は完了していたと思われる。


 その後ナカタのモデルガン部門が独立してTRC(東京レプリカ・コーポレーション)という新会社を立ち上げ、ナカタのモデルガンを引き継いだ。
 そんなこともありフレンチは発売が遅れた。正確なところはわからないが発売されたのは、最初のモデルガン法規制が施行された1971年10月20日よりもちょっと前であったらしい。ギリギリ黒い本体で、発火ガスが銃口から抜けるモデルがあったようだ。ナカタ製で販売元がTRCという形だった。
 前述のように原型製作は六人部さん。トカレフ同様、アメリカ空軍ガンクラブのマンカレラ氏が実銃取材で協力してくれた可能性はあるが、これまた明らかになっていない。ただ、アメリカ空軍立川基地は1969年末には活動を停止してしまったので、ガンクラブもなくなってしまったのではないだろうか。であれば、もう協力は仰げない。
 様々なことが重なり、ナカタブランドの新規開発モデルガンはなくなってしまった。最後を飾ったのがフレンチだった。

 

王冠マークは行政指導により1969年から付けられることになった。バレルが引っ込んでいるのはガタがあってスライドとバレルがちゃんとかみ合っていないため

 

セーフティをオンにした状態。カートリッジを叩くファイアリングブロックが後退しロックされているが、ハンマーはトリガー引くと落ちる

 

スライド上面にあるのは残弾インジケーター。外装式のエキストラクターはダミーで、実際には内部のファイアリングブロックに取り付けられている

 

機関部はシアが簡略化されているもののほぼ実銃どおり。ハンマーブロックは一体ですっぽりと抜くことができる

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングブロック
作動方式:手動
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬
全長:194mm
重量:734g(のちに640gに修正)
口径:7.65mm
装弾数:7発+1(薬室内)
発売年:1971年
発売当時価格:3,800円(カートリッジ7発付き)

 

※表面を白・黄・金色などに着色し、銃口を閉塞していれば所持可。
※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

ナカタ(TRC)

シュマイザーMP41(1972年)

 

ナカタ(TRC)製シュマイザーMP41

 

NAKATAブランド最後の量産モデルガン!

 

 MP41サブマシンガンは1941年に開発されたが、軍に制式採用されることはなく、主に警察や治安維持部隊などで使用された。MP28に代わる銃として、MP40とパーツ互換性を持つサブマシンガンをヒューゴ・シュマイザーが設計したとされる。ただ、軍用銃と呼ぶには微妙なポジションで、ナカタとしては作るつもりはなかったのかもしれない。おそらく六人部さんが製作したであろう一点もののサンプルが古いカタログに載っていただけ。
 それが、1971年のモデルガン法規制で金属製ハンドガンはすべて黄色や金色にして銃口を閉鎖しなければならなくなった。その反動で規制対象外だった長物(ながもの=ライフル、カービン、サブマシンガンなど)に注目が集まり、各社がこぞって新しい長物モデルガンを発売し始めた。TRCでも新しい長物を作ることになったものの、完全新規では予算も期間もかかることから、MP41を作ることにしたらしい。MP41ならベースとなるナカタのMP40があったし、MP41も六人部さんが作ったサンプルがあった。それがセミ/フル切替機構まで再現されていたかわからないが、MP28と同じ形式であり、それほど再現は難しくなかったと思われる。おそらく社内で設計されたのではないだろうか。


 ただ、ブローバックは国本圭一(くにもとけいいち)さんが考案したパワー・シール方式で、切削加工によるチャンバーと、カートリッジ共に高い工作精度が求められるものだった。ナカタブランドで作られ、発売元が中田商店、販売元がTRC、製造元がマルシンという形だったが、かつてのナカタクォリティではなかったかもしれない。
 専門誌の広告には六人部さんが作った一点ものの写真が使われていたようで、量産品とは少し違いがあった。そしてスタンダード(手動)ともブローバックとも記載されていなかった。

 

ボルトハンドル部分はMP40のまま。2ピース構造は省略されたが、レシーバー側のノッチは再現されている

 

スチールのプレス成形を亜鉛合金ダイキャストでリアルに再現。ただレシーバーキャップキャッチはダミーで、押し込んで分解することはできない

 

トリガーの根元にあるのがクロスボルト形式のセレクター。MP28と同じ方式で、右側に突き出た状態がフルオート

 

ナカタのMP40はシングルカラム、シングルフィードだったが、MP41ではリアルなダブルカラム、シングルフィードに改められている

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:オープンボルト、セミ/フル切り替え式
発火機構:前撃針
作動方式:表記なし(ブローバックのような形式にはなっている)
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬
全長:86.4cm
重量:3.7kg
口径:9mm
装弾数:32発
発売年:1972年
発売当時価格:17,500円(カートリッジ15発付き)

 

※smG規格(1977年)以前の模擬銃器(金属製モデルガン)は販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年9月号に掲載されたものです。

 

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