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2026/05/28

むらの鍛冶屋、健在 大月刃物工場【ナイフダイジェスト・アームズマガジン版】

 

 人類最古の道具とも言われる刃物。その中でも、実用性と収集性が並び立つアイテムである「ナイフ」にフォーカスして、最新情報をお届けしよう

 

 

TOPIC

 

むらの鍛冶屋、健在 大月刃物工場

 

大月武志さん。80歳になった今も日々、鎚を握る。彼にしかできない細かなオーダーも多い

 

かつて日本の集落ごとに鍛冶屋がいた。


野鍛冶とも呼ばれる彼らは、土地の気候や植生に合った農具をはじめ、生活に不可欠な鉄製品を作り出してきた。


大量生産品の普及や、農業の機械化などでその数は大幅に減ってはいるものの、その火は消えていない。


今も残る凄腕の「むらの鍛冶屋」を訪ねた。

 

 

「まだまだ体が動くうちは仕事をするから」

 

 岡山県高梁市。中国山地ののどかな里山の一角に、昔ながらの手鍛ちで刃物を作る鍛冶屋がいる。
 大月刃物工場。大月武志さんが息子の恵智さんの二人で作り出す刃物は、鍬や鎌に代表されなたる農具、鈍をはじめとする山林道具に加えて、包丁や彫刻用の馨といった道具類も手がける。かつては集落ごとにいて、その土地に合った刃物道具を作っていた「野鍛冶」と呼ばれる職人として、貴重な存在だ。

 

「これは先掛けをした鍬だよ」

 

 大月さんがそう言って見せてくれた鍬は、先端の鋼の部分が見新しい。
 硬い鋼と柔らかい地鉄を組み合わせて、長持ちする刃物にするのが、日本の伝統的な鍛冶の製法。先掛けは使用していくうちに減ってしまった鋼を改めて地鉄に継ぎ足すこと。貴重な鉄を長く使い続けるために生み出された技術だ。農作業の多くが機械化される中、今でも大月さんの作った鍬を、鋼を継ぎ足してもらいながら、使い続ける農家があること自体が奇跡のようなことである。

 

使い減った鋼を継ぎ足した「先掛け」をした鍬(くわ)。今でも大月さんの技術を頼りにする農家が何軒もある

 

「独立してもう40年以上になるね」

 

 そう振り返る大月さん。新見市にある鍛冶屋のもとで修業をした。鍛冶の仕事は嫌だと感じたことが一度もないという。ものづくりが性に合っていたのだ。御礼奉公込みで約13年勤め上げてから、奥さんの実家のある高梁で独立を果たした。当時は高梁だけで10軒ほど鍛冶屋があったという。激戦区だけに、近隣の鍛冶屋にきちんと開業の挨拶をしてから始めた。

 

「それが、うちだけになってしまった」

 

 後継者がいないことが彼らの廃業の理由。大月さんの場合は、恵智さんが継いでくれたことで、地域、いや日本全体でも貴重な先掛けもできる鍛冶屋として残ることができた。

 

「これは、蓮根を掘る鍬、これは、測量の際、山に入っていくために使う鈍……」

 

 特徴的な形状をした刃物の数々は、人々の要望に沿って作ったいわばオーダーメイド。中には海沿いの町からやってきて注文をする団体も。「断りきれないんよ」と大月さんは、それらのオーダーにこまめに対応する。

 

3本の刃がある「備中鍬」。土を耕すために古くから使われてきた形状だ

 

注文で作った藪漕ぎ用の鎌

 

神楽で使う面を作る際に使う鑿(のみ)など

 

測量の際に使うための鉈

 

鎌から小刀までレパートリーは幅広い

 

多岐にわたる注文に応えることで品種も増えた

 

「いい鋼を使えば切れ味がよくなる。鍛造をきちんとやれば切れ応えがよくなる。熱処理を丁寧にやれば研ぎやすくなる。その3点に気を配っている」

 

 極意は、黙々と仕事を続ける恵智さんにも20年かけて伝授したという。その恵智さんが主となって手がける包丁は、海外向けのショップでも人気だ。

 技術と応用力の高さで唯一無二の存在となっている大月刃物工場。
 仕事場が開いている時だったら、直接手に取って刃物を購入することも可能だ。

 

「まだまだ体が動くうちは仕事をするから」


 80歳になった大月さんはそう笑って、来てくれたら歓迎するよ、と続けてくれた。

 

近年は包丁の需要が多いという

 

大月恵智さん。「丁寧な仕事をする」と父親の武志さんも目を細める

 

 大月刃物工場 

 岡山県高梁市川面町1108-5

 営業時間:8:30~18:30(土日祝日・不定休)

 URL:https://otsukihamono.jp/

 

 

REPORT

 

2026 JCKM/JKG 鍛造ナイフ部会 合同カスタムナイフショー

 

 2026年の4月19日( 日)、東京の銀座にある「時事通信ホール」にて、JCKM/JKG鍛造ナイフ部会 合同カスタムナイフショーが開催された。合計45ブースが参加し、クオリティの高い作品が展示された。来年も4月18日(日)に同じ場所で開催の予定。

 

レジェンド作家の加藤清志さんの作品。ため息が出る美しさ

 

駅からのアクセスも良い時事通信ホールということもあり大勢の来場者で賑わった

 

●上列左から:長田渓/堀英也/奈良定守/九鬼隆一
●中列左から:露田雅彦/多松国彦/吉川英治/三泉商店
●下列左から:王涵/浜田智成/横山哲夫/武市広樹

 

 

詳細レポートは
こちらでご覧いただけます

 

 

2026GW 竹芝ブラックホール

 

 2026年の5月2日(土)、東京の浜松町にある「都立産業貿易センター浜松町館」にて、2026GW 竹芝ブラックホールが開催された。軍装品や玩具銃、美術刀剣の展示販売会である同イベントだが「ナイフォークション」も行っている。今後はナイフ関係も充実させていくとのことなので、興味のある方は足を運んでみてはいかがだろうか。次回は8月2日(日)に開催の予定。

 

 

 

Column

 

限定発売!!コラボモデル好評予約受付中!!

 

世界で注目されている日本のナイフ作家たち。
その中でもひときわ目立った活動を行っている新進の作家、

石崎祐也、市川志郎、萩野カ

彼らとホビージャパンのコラボナイフ、予約受付中だ。

 

 

石崎祐也 ISZナイフ

 

「212CK-T」

全長:232mm
ブレード長:120mm
ブレード厚:2.9mm
ブレード材:VANAX SUPER CLEAN
ハンドル材:ブアナラッダクイズドチタン
価格:92,400円(税込)

 

https://hobbythepeople.shop/items/69cce25bff9a53245a4f9b77

 

 

市川志郎 I川商店

 

「Core Breach」

全長:270mm
ブレード長:135mm
ブレード厚:5mm
ブレード材:MAGNACUT
ハンドル材:ドライカーボン
価格:99,000円(税込)

 

https://hobbythepeople.shop/items/69cce39ae351903842348969

 

 

萩野 力 Asurah Knives

 

「Monolith Prime」

全長:150mm
ブレード長:70mm
ブレード厚:3mm
ブレード&ハンドル材:EXEO-CR20
価格:55,000円(税込)

 

https://hobbythepeople.shop/items/69cce0fe7d2c4c7c6857b8f

 

 

*いずれのモデルも2026年7月末まで予約受付予定。予定制作本数に達した時点で締め切ります。制作は予約受付後に始めます。

*写真のナイフはいすれもプロトモデル。

 

 

NEWS

 

‘26年8月までに開催予定のナイフショー

 

●T-0D GEAR SPOT
■日時:2026年6月6日(士)10:30~
■会場:サンシャインシティ会議室ルーム15(東京都豊島区東池袋3-1)
■問合せ:X @od_spot


●銀座ブレードショー2026夏
■日時:2026年7月5日(日) 10:30~16:00
■ 会場:時事通信ホール(東京都中央区銀座5-15-8)
■ 問合せ: mnarasada@gmail.com(銀座ブレードショー事務局)
■URL:https://www.ginzablade.jp/


●松本ナイフショウ2026
■日時:2026年

 8月22日(土)10:00~17:00
 8月23日(日)10:00~16:00
■会場:四柱神社参集殿2階大講堂(長野県松本市大手3-3-20)
■URL:https://712.jp.net/show/index.html

 

 

 速報 「銀座ブレードショー2026夏」にホビージャパンも参加!!

 

 

 2月の「2026冬」に続き、2026年7月5日(日)に開催の「銀座ブレードショー」に出展する。時事通信ホール(東京都中央区銀座5-15-8)で10:30~16:00。ぜひお会いしましょう!

 

 

構成:服部夏生(刃物専門編集者)

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年7月号に掲載されたものです。

 

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