2026/03/12
オールド・モデルガン・アーカイブ:金属リボルバー対決「70年代M29 vs 80年代M29」
人気モデルはよく競作になる。かつて金属モデルガンの時代にも競作となったモデルは数多い。そんな中から、興味深いリボルバーを3機種選び、対戦形式で比較してみることにした。
第2ラウンド
70年代M29 vs 80年代M29
CMC S&W .44マグナムリボルバーM-29(1976年)
4インチ、6.5インチ、8 3/8インチ
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リアルを追求した最初の44マグナム!
1970年代くらいまでの金属モデルガンの多くは、上から見るとバレルと一体のフレームが反っているものが多い。金型から出した後、冷える過程で形状や厚みの違いなどによって温度差ができ、早く冷えたところにゆっくり冷える部分が引っ張られるからだ。そのため、高い精度が必要とされる実銃のダブルアクション機構をそのまま再現するのは非常に困難で、ラフな精度でも作動するメカニズムが考案され、採用されていった。S&Wのダブルアクションメカは、MGCが1969年に発売したニュー・チーフスペシャルで採用されていたメカがモデルガンにはピッタリだったことから、他社でも採用されスタンダードとなっていた。
そこへ一石を投じたのがCMCだった。2026年3月号の当ページで取り上げた金属製のS&W M27と、このM29のNフレームリボルバーで、ほぼ実銃どおりのメカを実現したのだ。初めてトリガーを引ききらない限りハンマーがカートリッジ(プライマー)を打撃しないという安全機構のハンマーブロックが再現された。これは広告やカタログでもアピールされていたが、さらにリコイルシールドがフレーム側にあるというリアルな3本スクリューのサイドプレート形状もキッチリとリアルに再現されていた。MGC方式が当たり前と思っていた多くのファンには衝撃的な出来事だった。モデルガンでここまでできるのか!
おそらく金型から出した後の変形を防ぐためのいろいろな施策が行なわれていたのだろうが、その1つが分解しやすくするためという取り外し可能なトリガーピンだったのではないか。フレームが完全に冷えて変形や歪みが生じなくなってから穴を開けてピンを立てれば、確実にフレームに対して90度で取り付けることができる。ハンマーとの位置もかなり正確に決められ、しかもピンは同一の太さなのでよりスムーズにトリガーが回転できる。1970年代の頂点に立つモデルガンだった。
DATA
主材質:亜鉛合金、ベリック材(ハンマー、トリガー)、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングル&ダブルアクションハンマー
発火機構:カートリッジ内ファイアリング
カートリッジ:インナーロッド方式クローズドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬 2〜3粒(のちにキャップ火薬)
全長:247mm(4インチ)、310mm(6.5インチ)、358mm(8 3/8インチ)
重量:980g(4インチ)、1,150g(6.5インチ)、1,250g(8 3/8インチ)
口径:.44マグナム
装弾数:6発
発売年:1976年
発売当時価格:4インチ7,000円、6.5インチ7,300円、8 3/8インチ7,800円
(各カートリッジ6発付き)
オプション:S&W357、44マグナム共用木製グリップ:
オーバーサイズ(ローズウッド)2,500円、
スタンダード(ローズウッド)2,000円、
オーバー・サイズ(アメリカクルミ、チェッカー入り)3,500円、
スタンダード(アメリカクルミ、チェッカー入り)3,000円
※smG規格(1977年)以前のモデルは販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。
コクサイ S.&W. ニューM29 .44マグナム(1985年)
4インチ、6インチ、8 3/8インチ
マニアをも唸らせた.44マグナム!
いつしかリボルバーのコクサイと呼ばれるようになっていたコクサイが、1985年からスタートさせた新たな金属モデルガンのリボルバーシリーズ、リアルメカ、フル機能、美麗半つや消し仕上げなどを特徴とする高級路線の第2弾として発売したのが、S&WのM29だった。第3弾のコルト・パイソン同様、過去の自社製M29と区別するためニューM29と名付けられた。
以前の金属製のM29は、1975年の国際産業ブランド時代に発売されていた。その後プラスチック製のM29が1979 年に発売され、そのリアル化版プラスチック・ニューM29が1982年に発売されている。
金属ニューM29は、リアルなプラスチック・ニューM29をベースに、さらにブラッシュアップして完成されたということができるだろう。そのため実銃を取材した当時のM29(M29-2)がそのままモデルガン化され、バレル長は6.5インチではなく6インチになっている。6.5インチが廃止されたのは1979年のことだ。一方、シリンダーのカウンターボアードとバレルのピン留めが廃止されるのは1982年のことであり、コクサイのニューM29にはそれらがあるから、1979年から1982年の間に製造された29-2ということになる。
設計を手がけた岡田節雄(おかだせつお)さんによれば、S&Wのダブルアクションメカは、わずかゼロコンマ数mm変わっただけで動かなくなってしまうそうで、設計も難しく、タイトな製造公差も必要だったそう。
苦難の末に完成した金属ニューM29は、S&Wのダブルアクションメカを完全に再現していた。ハンマーピンやトリガーピンがフレームと一体であるにも関わらず、高い精度で作動する。確実にシリンダーがロックされてからハンマーが落ちた。その再現度に驚かされたファンは多いが、残念なことに時代はすでにエアソフトガンが主流となっていて、大きな話題にまではならなかった。
DATA
主材質:亜鉛合金、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングル&ダブルアクションハンマー
発火機構:シリンダー内前撃針
カートリッジ:スプリング内蔵インナーロッドタイプ
使用火薬:5mmキャップ
全長:244mm(4インチ)、295mm(6インチ)、355mm(8-3/8インチ)
重量:1,100g(4インチ)、1,200g(6インチ)、1,400g(8-3/8インチ)
口径:.44マグナム
装弾数:6発
発売年:1985年
発売当時価格:4インチ9,600円、6インチ9,800円、8-3/8インチ9,900円
(各カートリッジ6発付き)
オプション:木製グリップ(ウォールナットウレタン仕上げ)4,500円
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。
※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。
※拳銃型の金属製モデルガンは、1971年の第一次モデルガン法規制(改正銃刀法)以降に販売されためっきモデルであっても、経年変化等によって金色が取れると銀色と判断されて規制の対象となることがあります。その場合は黄色や白色、または金色の塗料を塗るなどの処置が必要です。
TEXT&PHOTO:くろがね ゆう
この記事は月刊アームズマガジン2026年4月号に掲載されたものです。
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