2026/02/09
オールド・モデルガン・アーカイブ:基準を作った金属リボルバー6選【中編】
基準を作った金属リボルバー6選
モデルガンの歴史の中で、それ以降の流れを変えてしまうような画期的な製品が発売されることがある。するとその製品は新たな基準(スタンダード)となる。今回はそんな新たなスタンダードとなったモデルを、過去の金属製リボルバーの中から6機種選んでみた。
MGC ニュー・チーフスペシャル(1969年)
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S&Wのダブルアクションスタンダード!
純国産モデルガンが登場してまだ間もない1963年、MGCは初のダブルアクションリボルバーとなるチーフスペシャルを発売した。
実銃同様の操作や作動が楽しめる日本初のスウィングアウト式ダブルアクションリボルバーということから評判となり大ヒット。あまりの人気ぶりにコピー商品まで出るほどだった。ただ、その初代チーフのメカニズムは、モデルガンならではの独自のものだった。 しばらくして、MGCはチーフの金型が大量生産でヘタり始め、さらには映画やTVの影響でポリスもの人気が高まっていたことから、リニューアルすることにした。そして発売されたのがニュー・チーフスペシャルだ。
設計を手がけた小林太三(こばやしたぞう)さんは、リアルサイズで、実銃のメカニズムをベースに設計することにした。マルゴーのデテクティブ同様、モデルガンではなくても差し支えない安全機構のハンマーブロックは省略したものの、ハンマーのリバウンド機構は再現した。こうしないと火薬を詰めたカートリッジがハンマー(ノーズ)に当たって、スウィングアウトしたシリンダーを戻しにくいからだ。ただ精密で複雑な動きをするS&Wのダブルアクションは、シンプルなダブルアクションにアレンジした。そしてニュー・チーフスペシャルは1969年に発売された。
チーフは5連発シリンダーで1発ごとの回転量が多いため、6連発より回転不足が起きやすかったが、モデルガンでは勢いを付けて素早く操作するのが当時の当たり前。ファンもその辺は心得ていた。そしてそのメカニズムは亜鉛合金ダイカストで大量生産するモデルガンにはピッタリだったことから、後のS&Wダブルアクションリボルバーは、他社製も含め皆このメカニズムになった。まさにS&Wダブルアクションのスタンダードだった。
DATA
主材質:亜鉛合金
撃発機構:シングル&ダブルアクションハンマー
発火機構:シリンダー内前撃針
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬、のちにキャップ火薬
全長:16.4cm
重量:600g
口径:.38スペシャル
装弾数:5発
発売年:1969年
発売当時価格:3,200円(カートリッジ別売り)
オプション:マッチタイプグリップ500円、ウッドグリップ500円、カートリッジ1打(12発)300円
※smG仕様以前のモデルは販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。
CMC S&W .357マグナムリボルバーM-27(1976年)
3.5インチ、6インチ
(カタログでの表記の日本語訳)、3.5インチ
S&Wのダブルアクションの新スタンダード!
1970年代、日本は映画『ダーティハリー』や漫画『ドーベルマン刑事』などの影響で、マグナムブームに沸いていた。各社がこぞって.357や.44のマグナムリボルバーを発売する中、CMCでもマグナムリボルバーを作ることになり、六人部 登さんに原型製作が依頼された。選ばれたのはS&Wのモデル29とモデル27。どちらも同じNフレームで、基本的にはシリンダーとバレルを付け替えれば、.357も.44もどちらも作ることができる。.357のモデル27が、かつてはレジスタードマグナムと呼ばれた特別な銃であったことは一般のファンにはほとんど知られていなかったし、モデルガンでたとえば高級版のモデル27と廉価版のモデル28を作り分けることは難しかった。
メカニズム的には、すでにMGCがプラスチックのローマン/トルーパーのMk. IIIシリーズで安全機構のセーティコネクターを再現していたことから、CMCのM-29とM-27でも安全機構のハンマーブロックを再現することになった。量産のS&Wリボルバーとしては初。
わずかに、S&Wダブルアクションが完全には再現されなかったものの、ハンマーブロックに加えてリアルな3スクリューのサイドプレート形状の再現もS&Wリボルバーとしてはおそらく初めてで、大きなインパクトがあったことから、以後のS&Wリボルバーはここまで再現するのが当然のことになる。これがS&Wダブルアクションの新スタンダード。
ただ、その後プラスチックが主流になっていったのと、すぐにコンバットシューティングブームが起きてオートマチックが大人気となったため、リボルバーはあまり作られなくなってしまう。それでもその後のS&Wリボルバーに与えた影響は大きかった。
DATA
主材質:亜鉛合金、ベリック材(ハンマー、トリガー)、ABS樹脂(グリップ、赤茶)
撃発機構:シングル&ダブルアクションハンマー
発火機構:カートリッジ内ファイアリング
カートリッジ:インナーロッド方式
使用火薬:平玉紙火薬 2〜3粒(のちにキャップ火薬)
全長:234mm(3.5インチ)、298mm(6インチ)
重量:900g(3.5インチ)、1,020g(6インチ)
口径:.357マグナム
装弾数:6発
発売年:1976年
発売当時価格:3.5インチ6,500円、6インチ7,000円(各カートリッジ6発付き)
オプション:S&W357、44マグナム共用木製グリップ:オーバーサイズ(ローズウッド)2,500円、スタンダード(ローズウッド)2,000円、オーバーサイズ(アメリカクルミ、チェッカー入り)3,500円、スタンダード(アメリカクルミ、チェッカー入り)3,000円
※smG仕様以前のモデルは販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。
※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。
※拳銃型の金属製モデルガンは、1971年の第一次モデルガン法規制(改正銃刀法)以降に販売されためっきモデルであっても、経年変化等によって金色が取れると銀色と判断されて規制の対象となることがあります。その場合は黄色や白色、または金色の塗料を塗るなどの処置が必要です。
TEXT&PHOTO:くろがね ゆう
この記事は月刊アームズマガジン2026年3月号に掲載されたものです。
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