2026/01/03
【インタビュー】映画『ウォーフェア 戦地最前線』レイ・メンドーサ監督が描く“戦場のリアル”
『ウォーフェア 戦地最前線』は、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズ出身の映画監督レイ・メンドーサが、ネイビーシールズ隊員時代にイラク戦争中に起きたラマディの戦い後の2006年11月19日に経験をした戦闘を描いている。
今回、超多忙なスケジュールのレイ・メンドーサ監督にインタビューを行うことができたのでそれをお届けしよう。
過去の出来事を思い返すのはとても感情的なこと
ー本作は、当時、現場にいた人たちの記憶を元に映画の内容が決定したと聞いています。その方法は、従来の脚本家が考える物語づくりとは違いが多くあったと思いますが、作業での苦労や新しい発見などがありましたか。
まず感情面です。トラウマを抱えているとどうしても後悔が付いてきます。今回の件でも『ああすればよかった』『こうすればよかった』『なぜ救えなかったのだろう』というような後悔が押し寄せて来て、『誤った判断をしたのではないか』という感情を抱えていました。今回の映画を作るにあたり、過去の出来事を思い返して、感情を思い返して、それを共同監督であったアレックス・ガーランド(映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』監督)と話すとき、それがすごく辛かったです。エリオット(エリオット・ミラー:SEAL隊員の衛生兵でリードスナイパー)を救えなかったという罪悪感をずっと抱えていましたが、それを誰かに対してオープンに話したことがなかったから、アレックスに初めて話した時は、すごく感情的になりました。
ネイビーシールズはエリート集団であるため、お互いを褒め称えることはあまりしません。どちらかというと、より強くなるために、何かを間違えるとお互いを批判します。それは同じ部隊にいた仲間も同様で、本当に最強の軍団、エリート集団、弱さを見せない人々なので、当時の自分たちの過ちというものを互いに話し合うことは特にないです。心配とか後悔とかを仲間内で話すことがなかったので、今回この作品を作るにあたり、彼らにインタビューをして、当時何を感じていたのか、もちろん彼らがどういう役割で、何をしていたのか、20年ぶりに会って聞きました。
あの日、それぞれが失敗を犯してあのような事態になってしまったのですが、その時にどう感じたのかと聞くと、やはり『すごく恥ずかしかった』『自分は惨めだった』という反応が返ってきました。今なら、『お前は頑張った、それでもお前のことが大好きだ』という声を掛けられますが、当時はそういうことができない環境だったので、20年ぶりに聞いて、そういう風に思っていたのかということを知って、すごく心に響いて心苦しかったというのが、今回の一番の苦労だったと思います。
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競争心の高い精鋭部隊だが、ジョークも好きな仲間たち
ー現役時代の面白いエピソードや思い出話があれば教えてください。
話せないことも多くあるのですが、比較的にみんな競争心が高い集団なので、軍隊とか海兵隊とかが同じ地域にいたら、フットボールなどをして競い合ったりしました。あとは、葉巻を吸ったり音楽を聞いてリラックスしています。
ひとつ覚えているのが、冬の話なのですが、トイレに行くためにちょっと離れたところに行かなければならない構造になっている場所がありまして、靴を履いて寒いなか外に行かなければいけないので、みんな横着してボトルの中におしっこをしていて、それがやっぱり溜まっていくわけです。ある時、 1人の仲間が子供が生まれるということで、 2週間だけ帰国していた時があった時、その溜まったおしっこのボトルを彼の部屋に入れてやろうということになり、2週間分のボトルが、その中に詰め込まれていきました。結局、何百本と詰め込まれていき、仲間が返ってきたときにどんな反応をするのかなというふうにワクワクしていたりしました。
そのようなジョークをお互いにやりあったりしていました。
戦場で起こる様々な音の表現
ー本作を鑑賞して『音のすごさ』を体感させていただきましたが、本作で監督がこだわった部分はどこでしょうか?
全てにこだわったのですが、音については重要視しました。これまで参加してきた映画の中でも音を強調してきたのですが、監督の方針などもあり、なかなか納得のいく音を表すことが難しかったです。しかし、今回は自分が監督を務めているので、そこは追求しました。
銃撃の音に関しても家の中でどう聞こえるか、通りで響いたらどうなるかというのも、ものすごく細かく表現しました。光は音より早く伝わるので、遠くでマズルフラッシュが光った時に、音が後から追ってくるように聞こえるのですが、そういうディレイのところにもこだわりました。あとは音の響き方です。先ほども言いましたように家の中と外でどのように響き方が違うかなどです。音の感じ方は人それぞれ違うので、それぞれの兵士がどう感じているかというのも、それぞれに調整をしました。
僕自身の役に関していうと、通信兵だったのでヘッドホンの左右からそれぞれ違う無線の音が聞こえてきました。しかし、戦況が悪化してどちらも聞くことができなくなり、プラグを抜いてしまうのですが、後から周りの音がどんどん入ってくる感じをできるだけ表現するようにしました。そのプラグを抜いたというのは、大きな後悔のひとつでもあるのですが、その時の音の体験です。爆発が起こり撃たれる、犬の鳴き声、飛行機の飛ぶ音、ブーツが地面に擦れる音など、そういう音をできるだけ質感を出して、観客に体験してもらえるように作りました。
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ー銃や装備、突入の仕方や動きなど、当時のそれを完全再現したのか、それとも映画用にアレンジしたものなのでしょうか?
そうですね、使っている銃器や装備は、ほぼ100パーセント当時のままです。スカウトライトなどは当時の物がなかったので、今のバージョンを使ったりしていますが、M4カービンは95パーセント再現したと言ってよいと思います。エアソフトの方々はそういうところに挑まれているので、僕たちも最大限チャレンジしました(笑)。
レイ・メンドーサ監督はとても魅力的な方で、一つ一つの質問にも丁寧に答えていただいた。本作は、レイ・メンドーサ監督が語るように実際の戦闘を描いた作品であり、細部にこだわりを感じる作品だ。
ガンやミリタリー、特殊部隊を好きな方はもちろん、多くの方に“戦場のリアル”を、ぜひ劇場で迫力ある映像と音から感じてもらいたい。
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脚本・監督:アレックス・ガーランド(『シビル・ウォー アメリカ最後の日』) |
2026年1月16日(金)
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
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インタビュアー: Ghost(Ghost in the Dark)
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