装備

2025/08/16

自衛隊装備の参加者が全国から集う大型イベント「Japan Force Meeting 03」

 

Japan Force Meeting 03

 自衛隊好きによる自衛隊好きのためのイベント 

 

 

About Japan Force Meeting

 

 “Japan Force Meeting(以下JFM)”は自衛隊装備で交流やゲームをしたい参加者が全国から集う大型イベントである。もともとは自衛隊を愛する者たちが想定戦を行なう陸自迷彩オンリーイベント“JSOL”の派生イベントとしてスタートした。東北で開催された前回のJFMは本誌記事でもご紹介させていただいたが、今回は場所を千葉県山武市のサバゲーパラダイス(以下サバパラ)に移しての開催となった。装備ユーザーが好むフィールドとして有名なサバパラならではの車両や煙幕などを使用した緊張感漂うイベントとなった。

 

 

主催の飛龍堂さんが、随所に自衛隊用語を盛り込みながら参加者にイベント内で行なう状況戦についての説明や参加者からの質疑応答を行なっていた

 

自衛隊千葉地方協力本部成田地域事務所から広報官が参加。ブースには、即応予備自衛官や予備自衛官補などの募集案内資料や20式5.56mm小銃の訓練装備品が展示されていた。参加者たちは資料を受け取り、20式5.56mm小銃の訓練装備品の実物を見られたことに感動していた

 

サバパラの駐車場に設置された物販とキッチンカーエリアには、100名近い参加者の食欲と物欲を満たす魅力あるショップが多数参加していた。セーフティエリア内には参加者が持ち寄った物品販売のフリーマーケットもあり、ゲームイベント以外にも楽しい催しが終日行なわれた

 

●キッチンカー
沖縄キッチンカー/どらやきまるまる/ trest kitchen /暇人珈琲焙煎所
●物販ショップ
IRODORI MILITARY /南蛮堂/ Stagehand Tactical /エイトボール商会(順不同)

 

 

 

 

 自衛隊式の開始式で士気も上がる 

 

 開会式はJFMでは恒例となった自衛隊式による訓練開始式が実施された。まず主催の飛龍堂さんによる挨拶と訓示があり、続いてサバパラ管理人で特殊戦をサポートするハンセンさんから挨拶と注意事項の説明が行なわれた。地本(自衛隊地方協力本部)や出展者の挨拶も自衛隊式の待機で聞くことで参加者の士気も高まったところで状況(ゲーム)が実施された。

 

 

 

 まずはゲームで肩慣らし 

 

 1中隊(赤マーカー)と2中隊(青マーカー)に分かれてサバパラ未経験者のフィールドの把握や準備運動を兼ねたゲームが行なわれたが、JFMはゲーム主体のサバイバルゲームイベントではない。午後に実施される状況戦のために、フィールドの地形を把握しつつ同じ部隊の隊員たちといかに連携していくか無線機を使って調整する参加者もいた。

 

 

 

 近接航空支援 

 

 サバパラならではというべき近接航空支援(Close Air Support、以下CAS)ありのフラッグ戦も実施された。無線機で特定陣地に対して航空支援を要請して敵チームへの攻撃ができる特殊ゲームだが、ここで航空支援のやり方と回避方法を学ぶことで、その後に行なわれる状況戦で活躍するための練習ともなった。
 CASでは、細分化されたマップを見つつ無線で的確に攻撃場所を報告しなければならない。そのためゲーム開始前にセーフティエリアでCAS講習が行なわれ、支援要請の手順や回避行動についてマニュアルを見ながら丁寧な説明を受けていた。
 作戦開始後もマップを見て無線機で仲間と情報交換をしつつ、本部に航空支援を行ない、航空機の飛行音に回避行動をとった。その姿は、実際の演習をみているかのようであった。

 

 

 

 訓練展示 

 

 イベント前半の締めとなるサバパラ保有の車両及びJFMの参加者による駐屯地記念日で実施される訓練展示が行なわれた。
 訓練展示は自衛隊が日頃の訓練成果を公開することにより各種装備の能力や連携を垣間見ることができる。

 

 

仮想敵である隊員たちは、識別のために顔を隠すバラグラバに黒や迷彩柄の被服に装具を着用。少数ながら地元武装勢力らしい手練れの動きで攻撃していた

 

訓練展示においては、国土防衛作戦の攻撃のワンシーンをフィールドの地形にあわせて実施された。今回のJFMの訓練展示では偵察班、迫撃砲による火力支援班、小銃班に分かれて編成し偵察班による武装勢力の不穏な動きを察知。偵察班による要請により火力支援班が展開し、迫撃砲による火力支援を実施した後に小銃班が迫撃砲の援護射撃を受けつつ突撃を行なった

 

自衛隊側の隊員が横一列に並び、一斉に目標を攻撃する横列射撃から前進していくことで、武装勢力の動きを封じ航空支援によって拠点を撃破された抵抗勢力は壊滅した。途中、指導員からの爆音注意の警告が入ることがあり、本物の訓練展示を疑似体験することができた

 

自衛隊と仮想敵を担った皆さん。それぞれの役割に応じた練度の高い動きのおかげで、迫力ある訓練展示を見学することができた

 

 

 状況戦 

 

 

 状況開始前から、公式Xで告知されたJFM想定付与は以下であった。

「中南米に所在するバルデルデ島において2027年5月某日、反政府デモが発生し、現地警察及び軍が出動し多数の犠牲者が発生した。また、反政府デモ以降、治安が悪化し警察署、役所等に対し自爆テロ行為及び犯罪行為が多発しており、バルデルデ島政府は厳戒令を達した。当該事案に関し、日本政府は情勢悪化に伴いバルデルデ島に在住する日本国籍保有者数十名に対し日本に避難するように勧告を行なうとともに、在外邦人等の保護措置及び輸送を閣議決定し国会の承認を得て自衛隊の一部に派遣を命じた。
 2027年6月○日、バルデルデ島空港に空自機の輸送機が到着。在外邦人数十名が搭乗し日本へ向け離陸した。大きな混乱等もなく清々と任務を完了し輸送機は帰投の途についた。輸送機が離陸して数時間後、空港において大規模なテロが発生し、管制塔、滑走路等の重要施設が破壊され外部との行き来を拒むほどの甚大な被害を受けた。バルベルデ空港におけるテロ行為が発生後、外務省に1本の電話が入った。内容によると日本大使館所属の数名がまだ取り残されており、バルデルデ島の情勢悪化に伴い一刻も早い救出を望んでおり、外務省を通し防衛省に対し在外邦人の保護及び輸送を要請した。内閣総理大臣は本状況下における情勢悪化及びテロ活動が高いと判断し、在外邦人の輸送が下達された。
 今回の事態に対し、防衛大臣は陸・海・空自衛隊統合任務部隊に編成を命じるとともに今回の任務については第36戦闘団に派遣を命じた」。

 

お昼休憩後に状況戦が開始された。セーフティ内で状況戦命令下達と迫撃砲などの攻撃に対する回避行動の実演が行なわれ、参加者たちはその説明に真剣に聞き入っていた

 

武装勢力(仮想敵)に捕らわれた邦人人質の救出を任務とし自軍陣地(スタート地点)から車両と徒歩での移動を開始した

 

救出ヘリの待機時間内に武装勢力の攻撃を退け、設置された爆弾を解除して人質を救出して脱出しなければならない

 

人質となった民間人を速やかに救出して安全な車両に移送し、輸送するヘリコプターが到着する場所まで護送していく

 

敵の襲撃からピックアップポイントのランディングゾーンを死守すべく部隊長の命令に従って周囲警戒を行なう。民間人ふたりをランディングゾーンに無事に連れてきたところで状況は終了となった

 

 JFMでは、無線機や声がけなどを活用して部隊内の情報交換を終始行なうことが目標達成の重要要素となる。特に最後の状況戦では、部隊内の連携が重要なのでコミュニケーションを図り、部隊全員が戦況を把握していかなければならない。人質救出と脱出を行なうために人質がいる敵陣営に猛襲を掛けなければならない場面があったが、イギリス特殊部隊SASの標語「Who Dares Wins(危険を冒す者が勝利する)」どおり勇猛果敢に挑んだことで成功した。この成功体験は、多くの困難に立ち向かうための経験値として大きな糧となる。このような貴重な体験をすべくJFMは不定期開催だが、次回開催の際には是非参加をしてみてはいかがだろうか。

 


 

 PICK UP of JFM 

 

 JFMは、自衛隊と自衛隊迷彩や装備が好きな人たちが集う装備系イベントである。今回の取材で陸海空の自衛隊だけでなく自衛隊迷彩を使う法執行機関やそれに類する方々、創作系のスタイリングまでジャンルが多岐にわたることがわかった。ここでは会場内で見かけたアイテムやスタイリングの一部をご紹介していこう。

 

JFMのロゴマークには自衛隊好きのイベントらしい深い意味が持たされていた。そのデザインパッチも受付で販売され、購入した参加者の上腕や装備に装着されていた

 

迷彩効果の高い自衛隊迷彩に加えて人工植樹を用いた偽装装具を装着した参加者もいたが、その姿はフィールドの植生に溶け込んでいた

 

参加者たちはセーフティエリアでの小銃を置く場所にもこだわっている。駐屯地祭に行ったことがあるプレイヤーならば、その再現度に思わずニヤリとしてしまうだろう

 

JSDF STYLING

 

 親子やカップルの参加者。キッズサイズの自衛隊迷彩ウェアとプレートキャリアを着装した子供の隊員とWAC、装具の色を統一したバディスタイルなどそれぞれの関係性を生かした自衛隊迷彩スタイリングを見ることができた。

 

 

 

TEXT&PHOTO:Ghost(Ghost in the Dark)

日付:2025年6月7日(土)
主催:飛龍堂 (X:@HIRYU_TACTICS )
場所:サバゲーパラダイス(千葉県山武市大木470-1)

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年9月号に掲載されたものです。

 

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