装備

2025/04/19

「LE」をテーマに集ったリアルとフィクションの大規模な装備系イベント「EULEN2024 /#JPNLEM」

 

「LE」をテーマに集ったリアルとフィクションの交流会

 

 

日付:2024年12月7日・8日
主催:EULEN マルメの鷹(独SEK)(X:@boomerang_sg)

/ #JPNLEM yoh(横浜市警察(ハマポリ))(X:@yoh_ill)
場所:ホテルワイナリーヒル中伊豆(静岡県伊豆市下白岩1434)

 

 

About “EULEN2024 /#JPNLEM”

 

 EULEN2024 /#JPNLEMは、ヨーロッパLEの装備系イベント「EULEN」と架空国内LE装備系イベント「#JPNLEM」の共同開催による大規模な装備系イベントだ。
 昨年に引き続き2回目となる今回のイベント。前回同様、広大な敷地を有するホテルを丸ごと貸し切って行なう贅沢な撮影会となった。


 ホテルの客室や駐車場、敷地内道路、会議室、普段は立ち入れないバックヤードなど変化に富むロケーションをフル活用して行なわれた。さらに今回はホテル所有の大型バスを使用し、緊迫感のあるバスジャック想定シーンの撮影も行なわれた。
 参加した各組織は、自分たちのプランをしっかり準備して、それを基にして日没後も撮影を行なっていた。その甲斐あって本物の報道写真と見紛うほど真に迫った写真が数多く撮影された。

 

2日間の貸し切りイベントだから、夜間の会場で撮影も可能。夜の強制捜査を行なうシーンの撮影が行なわれた

 

ホテル所有のバスで、バスジャックに対応をする警察特殊部隊の活躍が撮影された。バスの中でのこういった状況を撮影することはなかなかできない。参加者たちにとって貴重な体験となった


 多くのメンバーは前回も参加しており、よい撮影ポイントを把握していたことも大きく、経験を踏まえてテキパキと撮影をする姿が印象的だった。
 夜はホテルのレストランでビュッフェスタイルの料理と飲み放題のワインを味わいながらの懇親会が行なわれた。営業中のホテルだからこその贅沢なオプションを参加者は楽しんだ。さらに個人的にホテルに部屋を取り、イベント前日から現地入りしてホテルでの撮影を堪能する猛者も多数見られた。

 

EULENと#JPNLEMの両者合わせておよそ100名が参加。前回よりも参加者が増えており、大規模な撮影会イベントになってきている

 

参加組織

EULENサイド

 ・ドイツ............... バイエルン州SEK、バーデン=ヴュルテンベルク州SEK

 ・イギリス............CTSFO

 ・フランス............GIGN、AGIGN、BRI

 ・オランダ............DSI

 ・オーストリア....EKO Cobra、WEGA 

 ・ポーランド........Policja CPKP BOA

 ・ロシア............... ロシア内務省 モスクワ州SOBR “Bulat”、ロシア連邦保安庁特殊任務センター A局

 ・アイルランド.....Garda ERU

#JPNLEMサイド

 ・DCSS 田園調布保安局
 ・FNCA 福生麻薬取締局
 ・横浜市警察
 ・呉東市警察
 ・成田市警
 ・琉球警察

 


 

PHOTO BY Tomoyuki Hasegawa

 

欧州LEの会/ EULEN

 

 2018年にスタートした欧州LEの会/ EULENは、マルメの鷹さんとF (X:@prinzwitt)さんが主催となって毎年開催しているヨーロッパ法執行機関の装備撮影会イベントだ。
 ヨーロッパ系法執行機関の装備は、日本ではアメリカ軍やアメリカの法執行機関系の装備に比べて比較的マイナーな分野と言える。しかし、このカテゴリーは熱量のあるユーザーが多いのが特徴で、北は北海道から南は沖縄まで、年に1回集まって装備撮影会を行なっている。


 欧州LEの会/ EULENのイベントの特徴は、装備を着て撮影するだけではなく、銃を扱う人たちから見ておかしくないポーズや動きを知るために現実の特殊部隊の動きや考え方を学ぼうとしているところにある。
 そのためにスタート当初から専門誌でも活躍しているプロカメラマンのトモ長谷川さんから本格的な警察特殊部隊の動きを学び続けている。その成果は、写真や動画の中の動きにも反映されているのでご覧いただきたい。

 

 

Garda Emergency Response Unit

 

 Garda ERU(緊急対応部隊)は、アイルランド国家警察Garda Siochanaの警察戦術部隊である。対テロ任務や人質救出などハイリスクな任務を主として行なうため軍特殊部隊とも訓練を行なう。H&K HK416やSIG MCXなどを携行しアイルランド法執行機関の中での武器使用レベルで最高位を持つ部隊である。

 

Counter Terrorism Specialist Firearms

 

 イギリスのロンドン警視庁所属のCTSFO(対テロ対策銃器専門官)は、2012年7月にロンドンで開催された夏季オリンピックのために創設。高度な訓練を受けた警察官たちで構成され、重大犯罪や対テロ作戦を任務とするテロ対策部隊だ。ウェアや装備に青みがかったグレーが特徴のウルフグレーカラーを使用しているのが特徴だ。

 

Einsatzkommando Cobra

 

 オーストリア連邦内務省の対テロ特殊部隊であるEKO Cobraは、対テロ捜査班、爆発物処理班、監視チームが編成されており、武装凶悪犯の逮捕、対テロ対策及び人質救出など高度な事件への対応を任務である。

 

Wiener Einsatzgruppe Alarmabteilung

 

 全身黒装備のWEGA(Wiener Einsatzgruppe Alarmabteilung)は、オーストリアのウィーンにあるオーストリア警察の特別部隊で、オーストリア最古の警察特殊部隊である。その任務は、凶悪犯の逮捕や強行捜査などのハイリスクな事件を担当する。今回、オーストリア全体のTier1対テロ部隊EKO Cobraとウィーン限定の対テロ部隊WEGAが揃った貴重な回となった。

 

Politie Nederland & Dienst Speciale Interventies

 

 オランダ国家警察の制服警官は、ブルーにイエローラインが特徴の制服を着用。着用する帽子や上腕のパッチや背中にはPolitie(警察)の文字が表記されている。SIGMCXを手にするのは、オランダ国家警察の国家捜査介入ユニットであるDSI隊員だ。テロ攻撃や通常の警察では対処が難しい暴力的な混乱に対して、秩序や治安を安定させるために迅速かつ適切な処置を行なう。

 

Spezialeinsatzkommando

 

 ドイツ地方警察特別出動コマンドSEKは、都市部での武装をした凶暴犯の逮捕、反政府活動の取り締まりや危険度の高い法及び逮捕状の執行、人質の救出、VIPや目撃者の警護を行なう。SEK隊員は、作戦遂行時には防弾バイザーが邪魔にならないようになったストックを装備したMP7とそれを構えて活動ができるデザインの防弾シールドを用いる。

 

Groupe d’intervention de la Gendarmerie nationale・Une antenne du GIGN・Brigade de recherche et d’intervention

 

 フランスは警察特殊部隊を多数保有するが、フランス国家憲兵隊の警察戦術部隊GIGNその中でもテロ対策、人質救出、政府要人保護などを行なう部隊である。大都市圏を含む各地に常駐するAGIGNはGIGNの地域介入ユニットとして出動30分以内に勤務できる状態で待機している。フランス国家警察の犯罪捜査部局BRIは、強盗や誘拐、人質立てこもりのような凶悪犯罪捜査を行ない、ギャング対策部隊としても知られる。

 

Biuro Operacji Antyterrorystycznych

 

 ポーランド中央警察のBOAは、テロ行為の頻発に対テロ部隊の必要性を感じて1976年に組織され、地域安全及び組織犯罪に対して逮捕行動や犯罪者の護送などの任務をこなすテロ対策部隊だ。ATLAS Network(EU諸国対テロネットワーク)のメンバーでもある。対テロ部隊らしくH&K HK416に重装備で任務に参加する。

 

Special Rapid Response Unit・CSN FSB of Russia A

 

 ロシア連邦を構成するモスクワ州のSOBR(緊急対応特殊課)“Bulat”は、武器や麻薬の密売など都市での組織犯罪組織取り締まりに従事する。ロシア連邦保安庁特殊任務センターは、FSB(ロシア連邦保安庁)の特殊部隊を管轄する機関で、A局は5課からなる旧アルファ部隊(対テロ特殊部隊)である。凶悪犯罪やテロ対策に出動をするため、光学機器やライトなどを装着したカスタムAKシリーズと重武装で治安維持活動を行なう。

 

アグレッサー(仮想敵)や容疑者役の参加者の活躍が撮影会を大きく盛り上げていた

 

 マルメの鷹さんによると、EUELNは2025年にも新たな撮影場所を探し、より迫力のある写真と動画撮影のできるイベントを目指すという。その過程として、トモ長谷川さんのプロカメラマンとしての知見を講習会で共有したり、イベント前にタクティカルトレーニングで参加者のレベルを上げたり、もろもろ企画予定を計画しているとのことだ。今後の動向に期待したい。

 


 

#JPNLEM

 

 ジャパニーズ架空LE(JPNLE)は、日本に存在する架空の警察組織をテーマにしたスタイリングとして「ハマポリ」こと横浜市警察から始まり、今では全国に組織が存在する。#JPNLEMは、全国からJPNLEスタイリングプレーヤーが集うイベントとして、今回で8回目の開催となった。会場の各所で日本らしい風景を生かして、臨場感のある撮影を行なった。ここでは#JPNLEMで参加した捜査官の一部をご紹介しよう。

 

 

 

ハマポリ

 

 ハマポリプレーヤーのスタイリングはSWAT、私服の上からプレートキャリアを着込んだIRU(特殊班)、メディック隊員、レイドジャケット姿の捜査官、スーツ姿の刑事など幅広い。

JPNLEは全国に展開するため、例えば琉球警察の現場に横浜市警察が映り込んでしまうという設定上苦しいことが起きる場合もある。そこで琉球警察の提案で「合同捜査本部」というコンセプトの撮影をJPNLE各組織に呼びかけ、広域犯罪の対策本部ということで各地の組織が顔を揃えての撮影になった。対策本部会議だが、ドラマの撮影現場のように本格的な小道具も揃えたことで、臨場感ある写真が撮影された

 

呉東市警察

 

 海岸の街の犯罪に対応するカジュアルウェアに装備を着用した呉東市警察の捜査官は今回初参加だ。

 

成田市警

 

 国際空港を持つ場所なので凶悪犯対策の防弾盾にバイザー付きヘルメットなどで防護した装備の成田市警の捜査官のように管轄地域に即した個性的なスイリングである。

 

DCSS(田園調布保安局)

 

 DCSSは、JPNLEでは珍しく民間組織であり、89式小銃にプレートキャリアと防護カバンを装備して要人警護や地域警備を中心に活動する。彼らの創作活動は、リアルさだけではなくドラマ風の世界観を目指す動画での絵作りにこだわっており、その作品を彼らのページから見ることができる。(https://note.com/dcss_note/n/n5a2464c86818

 

FNCA(福生麻薬取締局)

 

 DEA(アメリカ麻薬取締局)の日本版ともいえるFNCAは、スーツやレイドジャケット姿の捜査員と89式小銃を手に陸自迷彩の戦闘服にレンジャーグリーンの装備を着用した戦術法執行部隊「T-LET」の隊員や、ODの戦闘服に黒の装備を着用した隊員を有する大所帯の組織である。

 

琉球警察

 

 前大会より沖縄から参加している琉球警察は、所属するpatton(X:@tapatton2323)さんが今回は合同捜査会議シーン総指揮を行なった。琉球警察の刑事組は現場や捜査本部のセットを組んだ撮影を行なってきた経験を生かしつつ、実際の捜査協力のように各部署と調整を行い実現した。袖に「琉球警察」とプリントされたトップスによる揃いのスタイリングのESU(Emergency Service Unit)がイベントでも活躍したのであった。

 

 

TEXT:Ghost(Ghost in the Dark)
PHOTO: MIYA / toben /トルトン/柞村ざくろ/けぃ。けいごん/くらりくふで/シオン/COM /舞香/模範囚


この記事は月刊アームズマガジン2025年5月号に掲載されたものです。

 

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