2025/02/06
エアガンで比較する「M16A2」vs「M16A1」
M16A1とM4A1カービンの間に存在したM16A2とは
1982年に制式採用されたM16A2(コルトM701)は、1970年代後半からアメリカ海兵隊とコルトが共同で進めていたM16の改良プロジェクト(M16 PIP=プロダクト・インプルーブメント・プログラム)に端を発している。


当時、分隊支援火器として制式採用されたFN M249 MINIMIはSS109というNATO標準カートリッジを使用していた。SS109はM16用のM193弾と同サイズながらライフリングツイストが7インチで1回転という、M16A1の12インチで1回転とは異なるものだった。そのカートリッジに適合するべく下表のような改良が加えられた。
改良は主にSS109弾への対応と耐久性、使い勝手の向上がメインとなった。1990年以降、M4A1カービン、デタッチャブルキャリングハンドル仕様のM16A4が登場し、イラク・アフガニスタンにおける対テロ戦争以降、M16A2は表舞台から姿を消している。
M16「A2」とM16「A1」の違いをエアガンで比較
このようにM16A1の改良型として1982年にアメリカ軍に制式採用されたM16A2は、M16A1とその後主流となるM4A1カービンとの間に挟まれた存在として影が薄い過渡期モデルの印象がある。ここではVFCのガスブローバックガンを元にM16A2の特徴とM16A1との違いを見て、A1からA2へどのような変更が加えられたのかを解説する。
フラッシュハイダー/バレル

M16A1はスリットが全方位にあるのに対して、M16A2は下面にスリットがない。ブルバレルを採用しているM16A2はM16A1に比べて明らかに太くなり、バレル上面の刻印も異なっている。
ハンドガード

見た目で最も異なるのがハンドガードだ。M16A1はおにぎり型の断面を持つM16特有の形状、M16A2はリブが付いた円筒形となっている。M16A1は左右、M16A2は上下に分割される。
セレクターポジション

どちらも軍用なのでオートシアが組み込まれているのがわかる。セレクター表記はM16A1はセーフ/セミ/フル、M16A2はセーフ/セミ/バーストとなっている。
レシーバー前部の形状

両銃の細かな違いとして挙げられるのがレシーバーの前後の形状の違い。M16A2はピボットピンのベースの肉厚を増すことで耐久性を向上させている。M16A1にはUS.DODマークが入っている。
ケースディフレクター

M16A2からエジェクションポート後方に左利き射手が撃ちやすいようにケースディフレクターが追加された。これはM4A1カービンだけではなく多くのM16クローンにも引き継がれている。
フォワードアシストノブ

フォワードアシストノブはM16A1はゴルフのパターのようなティアドロップタイプなのに対してM16A2はサークル状の滑り止めが施された円形に変更されている。
リアサイト

M16A1は左右の調整とL字型ブレード(アパーチャー)の切り替えのみなのに対してM16A2は上下左右どちらも指で回して調整でき、ブレードも狙いやすくなっている。
レシーバー後方の形状

レシーバー後方にあるバッファーチューブ/ストック基部の肉厚もM16A2では増されている。各部のディメンションは共通なので、A1のアッパーレシーバーをA2のロアレシーバーに装着することができる。
グリップ

M16A2はグリップ前面にフィンガーチャンネルが追加され、背面には滑り止めのセレーションが施されている。M16A1の下部先端の穴は極初期モデルではスリングスイベルが装着されていた。
ストック

M16A2のストックは全長がやや長くなり、素材も変更されて耐久性と撃ちやすさが向上している。どちらもバットプレートにはトラップドアがあり、内部にクリーニングキットが収納できる。
TEXT:毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2025年2月号に掲載されたものです。
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