「ENFORCE TAC & IWA」編集部注目製品紹介!その2

 

LAUGO ARMS/SIG SAUERのプロモーションにも注目

 

3月にドイツのニュルンベルクで行なわれた銃器の大イベント「IWA」の模様をレポート。第2弾は、エイリアンピストルを今回初めて一般公開したLAUGO ARMSと、IWAで実際に射撃できたSIG SAUERの展示を紹介する。

 

 

LAUGO ARMS

 

 エイリアンピストルの名前を聞いて、派手なだけのピストルではないか? と浅はかにも思ってしまった。昨年9月に実際に触れた時のレポートは姉妹誌「ガンプロフェッショナルズ」で紹介したのでご存じの読者もいることだろう。一般に公開したのはこのIWAが初めてだ。

 

 

エイリアンピストル

エイリアンピストル
エイリアンピストルとはうまく名付けた。マズル付近など意図したかどうかは分からないが確かにエイリアンに見える。ハンマーも見当たらないので一見ストライカーファイアピストルにも見える。とにかく一見してただ者ではない、何かワクワクするスタイルである

 

エイリアンピストル

スライド、フレーム、グリップ部分に分けられている。実際にはハンマーが収まるトップパーツと4つに分けられている。バレルはフレーム内に収まり、スライドにはリコイルスプリングとガスピストンが収まる。そしてハンマーは上からぶら下がるようにトップパーツにある。スライド内のシステムが一般的なピストルと逆さまの構造を持つ非常にクレバーなデザインである

 

 

 まず、IPSCのプロダクションディビジョンのリストに追加されたことがニュースとなった。この銃を開発したのはCZ EVO3を設計したJan Lučanský。CZから独立しこのブランドを立ち上げて、作り上げたのがこのエイリアンピストル。確かにエイリアンのその姿に似ているようにも見える。眺めていると、バレルのロープロファイルに驚く。バレルがスライドではなく、フレームに収まっているように見えるからだ。スライドはトップ部分が固定されており両側面だけが作動する。トップ部分が固定していれば載っているサイトが射撃時に動くことがない。しかも、その内側にはハンマーなどのメカが収められている。つまり普通の銃のバレルやリコイルスプリングなどが反転した状態で配置されているのだ。バレルを固定してガス圧によるディレイド方式も前後を逆にすることで調整なしであらゆる弾薬を使用することが可能になるという、何ともアイデアのつまった銃だ。アイデアに脱帽のピストルである。

 

 

エイリアンピストル

右にあるのがスライドである。下方向がマズル側になる。フレーム側に収まる部分がかなり大きく飛び出している。ちょうどバレルを覆うようになる。その左隣の3つがアップパーツ。アイアンサイト、ドットサイト、レールと交換可能。右側にちょうど枝のようにちょこっと飛び出ているのがハンマーだ

 

エイリアンピストル

バレルの上に配置されたリコイルスプリングとガスピストンが横並びで配置されている。弾頭がバレルを出るまでの間だけガス圧でスライドをロックするので弾の威力によって調整する必要もない。バレルがどれだけ低いかよく分かるだろう

 

エイリアンピストル

マズルのパーツも交換可能。コンペンセイター付きやウェイト付きなどがラインアップされている

 

エイリアンピストル

そのマズル部分のバレルが触れる部分の径を大きくしてサイレンサーがねじ込めるようにした。バレルにスレッドを施すのが必要だが延長させる必要もなく、スタンダードなバレルを使用できる。サイレンサーはスイスB&Tのものだ

 

 

 当初はほぼ受注生産で、価格も5,000ドルを予定して始まったが即完売。最終的には予定した3倍以上のオーダーがあった。その中にはある特殊部隊が60挺オーダーしたという数字も入っている。9月に実際に射撃したのはプロトタイプだったが、今回展示されたモデルは製品版。ガスピストンの位置などが見直されて冷却効果を高めているという。

 

 

SIG SAUER

 

 米陸軍のM17/M18制式採用で大忙しのSIG。今回IWAではヨーロッパ中のSIGディーラーの中でも「お得意様」に射撃をさせる企画を展開。我々も参加することがかなった。

 

 

SIG SAUER

M17/M18で勢いづくSIG。P320のモジュラーシステムを利用してバリエーション違いのグリップやスライドを展示し、あらゆるニーズに応えられることをアピール

 

SIG SAUER

MCXなどヨーロッパではなかなかお目にかかれない製品も並ぶ

 

昨年発表されたコンシールドキャリーピストルP365

 

SIG SAUER

時間になるとSIGブースに現れるスタッフ。“SIGは射撃をしている”とアピール。ただしその対象は事前に招待されたディーラーのみ。しかし我々も特別に参加させてもらった!

 

SIG SAUER

地下にある射撃場はピストル専用の25mレーン。一般のピストルではなく、マスターショップの手によるワンランク上のピストルを射撃できた。レンジに並べられたその銃の充実ぶり。宝石がちりばめられているようだ

 

 

 ディーラー向けということで今年のSIGの展開方針はマスターショップ。SIGの中でもマイスター・ガンスミスによるカスタムモデルだ。基本的にはカスタマーの希望に合わせたカスタムがメインだが、3つのラインSPORT、PRESTIGE、INDIVIDUALに分けてカタログモデルとして展開する。表面処理や彫刻などの外観は、もちろんスムーズでキレのある作動をさせるためメカニズムを磨き込んでいる。MCXなどのアサルトライフルやSMGではないところがSIGらしい展開だろう。

 

 

SIG SAUER

SIGP210といえばもうそれ自体がすでにワンランク上のピストル。それをマスターショップが手がけたのだから極上のピストルに仕上がっている。渡辺編集長はSIG MASTERSHOPのSPORTモデルP210 SKELTONが気にいったようである

 

 

 普段手にすることはなかなかないマスターショップの銃。手の込んだモノでは500万円を超えるという代物だ。それらを手にしてドイツのクラフトマンシップに触れられたことは素晴らしい経験となった。

 

 

REPORT:櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年6月号 P.127~128より抜粋・再編集したものです。

 

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