エアガン

2024/06/02

ベトコンたちが使った謎のトカレフ型拳銃を再現「共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン」

 

出自を隠しきれないものの、なお謎多きM20ピストル

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン

 

 第二次世界大戦後、中華人民共和国は社会主義の同盟国であるソ連の制式拳銃であるTT-33トカレフをベースに自国生産した「五四式拳銃」を採用。中国国内の軍・警察関係にとどまらず海外にも流出し、様々なバリエーションが存在する。日本で一時話題になったトカレフ型拳銃もこの五四式拳銃が元とされている。そんな五四拳銃と類似性が高いとされているトカレフ型拳銃が、ベトナム戦争時に南ベトナム解放戦線(通称ベトコン)が所持していたM20ピストルである。

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン

 

 スライド上面に「M20」と製造識別番号が打刻され、グリップ中央のマーク(五芒星)が削り取られているものの、トリガーガード右側に刻まれている「A」の刻印から五四式拳銃と共通の「66」工場で製造されたものであることを示している。1956年から1960年にかけて表面化した中ソ対立により、ソ連が北ベトナム軍への軍事援助の増大に対抗するために非正規にベトコンに供給したものと推測される。

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
M20ピストルであることを示すスライド上面の「M20」の刻印とシリアルナンバー

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
フレーム右側にはTT-33トカレフは複数のマークが入っているものの五四式拳銃にはトリガーガード根元に「A」の刻印以外は何も入っていない

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
出どころがわからないように五四式拳銃の特徴であるグリップ中央の五芒星が削り取られている

 

 このミステリアスなM20ピストルを、トイガンの流通問屋である共栄通商が、タナカのモデルガン「アンマークドヘイシン(黒星)ピストル」をベースに加工を施して限定販売する。数種類存在するM20ピストルのバリエーションの中でも1965年以降と思われる6桁シリアルナンバー仕様をチョイス。M20とともに刻まれているNからはじめる「019704」は共栄通商の創立年月(1970年4月)を示す記念番号となっている。もちろん五芒星のないグリップも忠実に再現されている。

 

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
ガバメントのようにバレルブッシング(トップリンク)が備わったマズル周り。バレルには強化樹脂が使われている

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
ロープロファイルのフロントサイトにハイプロファイルなリアサイトのコンビネーションもトカレフ型拳銃の特徴

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
トカレフ型拳銃に共通するラウンドタイプのハンマーは意外とコッキングしやすい

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
フレーム左側のシリアルナンバーは共栄通商の創立年月(1970年4月)を模した「019704」となっている

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン
装弾数8発のマガジンの表面には発火による錆びを防ぐSQP(イソナイト)処理が施されている

 

 その他の特徴はタナカのTT-33/五四式拳銃から継承。各所に衝撃を緩和するパーツ(リコイルバッファー、ハンマーバッファーなど)を組み込み耐久性を向上。実弾は貫通力が高いとされる7.62mm×25弾をイメージしたカートリッジは主要素材に超ジュラルミンを採用、快音トップによる抜けのよい発火音が体感できる。まさに謎多きトカレフ型拳銃を象徴するかのようなM20ピストル。コレクションに加えておきたい1挺だ。

 

共栄通商 M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン

 


 

共栄通商
M20ピストル ヘビーウエイトモデルガン

 

DATA

  • 全長:210mm
  • 全高:128mm
  • 全幅:30mm
  • 重量:540g
  • 装弾数:8発
  • 価格:予価¥38,280
  • お問い合わせ先:共栄通商

 

※記事中の価格表記は掲載時点でのものであり、特に記載のない限り税込みです。また、物価や製造コストの上昇、為替レートの変動により記事中に記載の仕様、価格は予告なく変更される場合があります。あらかじめご了承ください。

 

TEXT:毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年7月号に掲載されたものです。

 

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