実銃

2023/12/10

【実銃】「S&W Model 66」新旧モデルで実射!! S&Wリボルバーの性能を確かめる【後編】

 

NEW vs OLD

 

Smith & Wesson
Model 66 Combat Magnum

 

 

 モデル66が初めてリリースされたのは、もはや半世紀前の1970年のことであった。インスタントヒットとなったモデル66であったが、時代の流れとともにその存在感は薄れていき、2005年にはS&Wカタログからも消滅してしまった。

 それでも、2014年には4.25インチバレル、2017年には2.75インチバレルのモデル66-8がリイントロデュースされ現在に至っている。今回は、このNew モデル66-8を新たに手に入れた友人に登場を願い、新旧モデル66を比較してみた。

 

中編はこちら

 

 

レンジ レポート

 

 今回の実射は、ポリスデパートメントのインドアレンジを使用して、時間に限りのあるテストとなったので、主にモデル66-8の方を中心にテストした。

 まずはアキュラシーテストだ。25ヤード(約22.9m)の距離から、レストを使って、精度では定評のあるSpeer社のGold Dot .38Special +P 135gr GDHPを5発撃ち、内4発のグルーピングを計測した。

 

これはFIOCCHI 142gr .357マグナムのファイアボール

 

レストを使い、Speer社の135gr Gold Dotを使用した

 

インドアレンジ25ヤードのアキュラシーテスト

 

 結果、2.75インチバレルの方が2.75インチ(約70mm)、4.25インチバレルの方が3.15インチ(約80mm)ほどであった。これはアモを変えて撃ち込んでいけば、より良い結果が出そうだったが、アモ不足の昨今では突き詰めたテストは少々厳しい状況だ。

 

4.25”のグルーピング。8cmほどに集弾した。他のアモなど、いろいろトライすればもっと良い結果が期待できそうだ

 

 ディーンいわく

 「必要十分以上の精度は確実に出ている」とのこと。旧モデル2挺の方は、事前に私がテストしてあったので、ここで報告しておく。

 ただしこちらは使用したレンジの関係上15ヤード(約13.7m)からのテストとなった。モデル66-1 2.5インチの方が1.75インチ(約44mm)、モデル66 4インチの方は2インチ(約50mm)という結果で、グルーピングに関しては新旧大差ないという結果になった。

 

モデル66-1

 

2.5”バレルのアキュラシーテスト。レンジの関係上、旧モデルのテストは15ヤードからとなった。1.75インチほどに集弾した


 あとはディーンと二人で、.357マグナムと.38Special+Pの2種類を4挺で撃ち比べてみた。もちろん旧モデル2挺に関しては貴重なモデルなので、.357マグナムは数発に留めたが、こと撃ち心地に関しては、モデル66-8の方がリコイルが軽く感じられた。理由としては重量がほんの少し新モデルの方が重い(2.75インチが約90g、4.25インチの方は約30g)のと、ややフロントヘビーに感じる重量バランス、そしてラバーグリップによる感覚的なものであろう。

 

Super Vel 90gr JHPを2.75インチバレルから撃つとこうなる。リコイルはそれほどでもないが、音はバカでかい。フォージングコーンから横方向へのブラストが凄い

 

 しかし、連射を含めたコンバットシューティングと考えると、トリガープルがスムーズな旧モデルの方がはるかに撃ち易く、グルーピングもまとめやすいというのがわかった。今後、この新しいモデル66-8のトリガーチューン方法が煮詰められてくれば、この撃ち易さも旧モデルと同等以上になる可能性がある。

 

 さて、それではこの新しいモデル66-8、現代の世相においてどのような出番があるか、というハナシをディーンとしてみた。

 

PMC/ELDORADO .357マグナム 150gr JHPによるブラスト。不思議と前方へのマズルブラストはそれほどでもない。横方向は派手だ

 

うーん、プライマリーのデューティハンドガンとしては、やはり装弾数6発というのはかなり厳しいね。.357マグナムの威力は魅力的だが、貫通力を考えると、第2次被害を考える必要性が出てくる。すると装弾数を多くできる9mmピストルに軍配が上がってしまう。特に4.25インチバレルの方はコンシーラビリティ(秘匿性)から見てやや厳しいな。ただ、オフデューティやバックアップとしては、Jフレーム(装弾数5発)を選ぶくらいなら、50ヤードまできっちり狙えるKフレームはまだまだ可能性を秘めていると私は思うね。135gr .38Special +Pなら、そのポテンシャルは高い

 

4.25インチからSuper Velを撃つとこんな感じになる。バレルの長さによってブラストの派手さはかなり違う


 長い間リヴォルヴァーをキャリーしてきたディーンの言葉だけに真実味がある。今日のディーンのいでたちは、以前DEA(麻薬捜査局)の私服オフィサーとして出向していたころを彷彿とさせるもので、なんとリヴォルヴァー3挺立てであった。

 

 ジャケットに隠れた右腰にはモデル66-8の4.25インチ、左足首にはアンクルホルスターに収めた2.75インチバレル、そして右ポケットに、ポケットホルスターに収めたモデル66の2.5インチ、ズボンの左ポケットにスピードローダー2個、ジャケットの左ポケットにもスピードローダー2個と、.357マグナムを合計42発も携行していたのだ。

 

おもむろにポケットに手を入れた

 

ポケット内ではポケットホルスターにガンが収まっているので、問題なく引き抜くことができる

 

なんとモデル66-1をキャリーしていた。やはり旧モデルも一通り所有している

 

1990年代に入ると、DEAもやっとセミオートを認可しだして、私は1911の3挺立てになった。フルサイズ1911をメインに、足首とポケットにオフィサーサイズの1911を2挺、予備マガジン4本の55発体制になったんだ。時代の流れだね

 

もはや美しいSuper Velの輝き。ただし吹き戻しなども多いようで、カートリッジの抜き出しなどにはかなりの抵抗がある。プライマーを見るとプレッシャーも高めのようだ

 

「この2.75インチはかなりいい。CCWとして使うかもしれない」とディーン


 もしあなたがリヴォルヴァーファンで、箱出しの状態で実用として使えるガンを探しているなら、このモデル66-8は向いていないといわざるを得ない。Ruger GP100の3インチWiley Clappエディションあたりが800ドル以下なので、こちらを選ぶべきかもしれない。

 

 ただあなたがS&Wファンで、多少のモディフィケーションは厭わないというのであれば、このモデル66-8は今でも手に入るKフレームとして格好の素材といえるだろう。

 

バリケードの左から撃つ際は、左目を使う。さすがにディーンは要所にテクニックをちりばめてくれるので、撮影がはかどる

 

「どっちを選ぶかって? 野暮なこと聞くんじゃない。実用にするならモデル66-8、セイフクイーン(金庫の女王)にするならヴィンテージモデル66だな。華奢なモデル66もかなりいい」

 

トリガープルさえ改良すれば、モデル66-8(右)はかなり出来が良い。実用に使える可能性大だ

 

Photo&Text:Hiro Soga

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年7月号に掲載されたものです

 

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