Taran Tactical
Innovations
JW3 Combat Master
映画『ジョン・ウィック:パラベラム』に登場して大人気となった2011 コンバットマスターだが、製造メーカーのSTIがSTACCATOと名を変えて製品ラインナップを大きく変えたため、供給がいったん途絶えてしまった。
この状況にTTIは自社オリジナルの2011を製品化、ハイグレードな改良を加えてコンバットマスターを復活させている。今回は新生コンバットマスターの魅力と改良点を、詳しくご紹介したい。
Chapter2の記事はこちら
※この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年8月号に掲載されたものです
中小のカスタムガンメーカーでも自社ブランドの2011フレームや80%フレームを発売し始めた中、これまでの路線に見切りをつけ、新しい市場開拓に舵を切り直したSTIの潔さは結果を出し、STACCATOと名を改めた現在、全米280以上のポリスデパートメントでディーティガンとして使用許可が下りている。
最終的にタランは2011フレームを製造できる業者を地元カリフォルニア南部で見つけ、その業者と契約、パーツ製造を依頼して新型コンバットマスターの製品化への道筋を付けた。
筆者がTTIで新型コンバットマスターの試作品を最初に見たのは2020年7月頃だった。通常の5.4インチバージョンでステンレス素材を加工したもので仕上げはされておらず、平然とワークショップのテーブルに置かれていて最初はSTI製の特殊仕上げくらいに思っていた。
見せてもらうとフレーム真下の製造メーカー名の刻印から、STIの名前が消えていた。ダストカバーが分厚くなり、大型マグウェルなどを追加されている。その時初めて、カリフォルニア製コンバットマスターの計画をタランが説明してくれた。
スライドのフィッティングのタイトで滑らかなところはSTIとほぼ同一だった。通常は1,000発くらいのブレイクイン(慣らし運転のようなもの)を必要とするカスタムガン特有のギチギチ感がなく、ガタがないのに実にスムーズにスライドが引ける。トリガージョブもSTI製に引けを取らない切れ味で、この品質ならタランの求める基準に達していると感じた。
この新型コンバットマスターの量産体制が整い、製品版の出荷が始まったのは今年(2021年)に入ってからだ。STIバージョンとの特に大きな違いは、エクストラワイド2011フレーム、パラ/クラークタイプバレルの採用、新型アルミトリガー、アフテックエキストラクター、TTIグリップジョブ、TTIマグウェル、そしてサイトブロックバージョンも選べるようになった事だ。
価格はSTIバージョンよりかなり跳ね上がり、ブルバレル版が$5,599.99、サイトブロック版が$6,199.99となっている。しかしオリジナルのSTI版は製造中止のあおりを受けて現在オークション価格が高騰している。
筆者が見かけたものでは開始価格は$7,500くらいで落札価格は大体$8,000から$9,000弱くらいといった感じだ。最も高いもので少数製造された.40S&Wモデルが$15,000というのもあった。特に規制が厳しいカリフォルニア州では通常の9mmモデルで1万ドル前後の価格を付ける人もいる。
コレクション価値ではオリジナルのSTIバージョンの方が投資になるが、撃つための実用モデルを求める人にはTTIバージョンの登場は大歓迎だ。コンバットマスターの本当の良さは撃ってこそ理解できるからだ。
Photo&Text:Gun Professionals LA支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年8月号に掲載されたものです
『ジョン・ウィック』シリーズ最新作を観る方にオススメ!
月刊ガンプロフェッショナルズ 2023年10月号
キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックの最終決戦が描かれる第4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が、いよいよ9月22日に日本でも公開される。この映画でジョンは様々な銃を使いながら戦いを進めていくが、今月号のガンプロフェッショナルズではメインとなる3機種について、デザインを手がけたタラン・バトラーのインタビューを交えながら詳しくご紹介している。登場銃について知ることができるので、上映前にぜひご一読いただきたい。
※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。