2023/07/10
サイガのメカニズムを徹底解剖「東京マルイ SAIGA-12K ガスブローバックショットガン」
精緻なメカニズムに東京マルイの妥協なき姿勢を見た
発売が延期されていた東京マルイ初のガスブローバックショットガンSAIGA-12K(以下サイガ)がついに発売された。東京マルイのお家芸ともいえる3発同時発射をガスブローバックガンで実現し、実際に発売された製品を手にして完成度の高さをあらためて実感した。今回は過去のレポートで触れられなかった内部メカを中心に解説する。
■ブローバックユニット&チャンバー
サイガはAKシリーズをベースにしているため操作方法や分解方法は基本的にAKシリーズと同じ。レシーバーカバーロックボタンを押しながらレシーバーカバーロックを押してレシーバーカバーを外すと、AKらしいボルトアッセンブルとリコイルガイドアッセンブルが現れる。両アッセンブルは実銃同様の方法で取り出せる。
ロングストロークピストンまでしっかり再現されたボルトには直径約19mmの大型ピストンを採用したサイガ専用ブローバックエンジンを搭載。通常のガスブローバックガンの場合、シリンダー先端にノズルがあり、それがチャンバーへ直接BB弾を給弾している。しかしサイガはインナーバレルとチャンバーが3つにわかれているため、シリンダーとチャンバーの間に給弾ノズルを採用。これがボルトの動きにあわせて前後動することでチャンバーへBB弾を送り込んでいる。
シリンダー先端部分は開口部が大きく、左右に溝が設けられている。この溝と給弾ノズル内側に設けられたプランジャーが噛み合うことでシリンダーの動きがロックされ、シリンダーが後退する際に「タメ」を効かせてシリンダーの後退タイミングをずらすことで、大きなボルトを効率よくブローバックさせている。
■システマティックに実現したオートストップ機能
同社のガスブローバックガンAKMに採用されたオートストップ機能がサイガにも搭載されている。しかしAKMとは作動方式が異なる。マガジン内の残弾が空になると、給弾ノズル内に設けられたBB検知パーツがチャンバー内にBB弾がないことを検知。マガジン側に設けられたBB検知パーツと連動してフォロアーリンクを持ち上げる。
持ち上がったフォロアーリンクはハンマーダウンにより前進したノッカーが放出バルブを叩かないように放出バルブの後方を塞ぎ、ハンマーがダウンした状態となる。弾が装填されたマガジンを入れ、ボルトを引けば発射可能になる。
ハンマーをコックした状態でチャンバー内にBB弾がない場合でも、オートストップ機能を作動させた場合、マガジンを入れただけではトリガーを引いても作動しない。ボルトを引いてチャンバー内にBB弾を送り込むことで作動できる。これは実銃のアクションを忠実に再現しており、各パーツがシステマティックに作動してオートストップ機能を実現させているのだ。
■ショットガンならではの「安全対策」も
さらに、先ほど述べた給弾ノズル内のBB検知パーツはもう一つ別の機能が加えられている。マガジン内の残弾が4発として、3発発射後にチャンバー内に残弾が1発だけ残ったとしてもそのままの状態でオートストップ機能は働かず、残った1発分にガスが過大に流入しない(=初速が極端に上がらない)ように制御しつつ、3発発射状態より低めの初速で発射後、オートストップ機能が働くようになっている。
つまり1発だけ装填した場合に初速が上がらないように工夫されており、3発もしくは2発の状態で正常な初速によって撃ち出されるようになっている。また、オートストップ機能を作動させた状態で1発だけ装填してもオートストップ機能が働いて発射されない。ガスブローバックショットガンならではの作動性能や命中精度、リアルさだけではなく高い安全性も追求されているのだ。
■専用マガジン――良好な作動に欠かせない温度管理が可能に
ボックスタイプマガジンは樹脂製ケースとマガジン内部の二重構造。マガジン内部はワンタッチで取り出すことができ、ガスタンク背面には温度測定シールが備わっている。初の試みだが、良好なブローバックアクションに温度管理は欠かせないため、このシールは非常にありがたい。装弾数は45発で3発同時発射なので合計15ショット分発射できる。
期待を裏切らない完成度を誇る東京マルイのSAIGA-12K。撃てばきっとガスブローバックショットガンの虜になるはずだ。今後のバリエーション展開にも期待大だ。
東京マルイ
ガスブローバックショットガン SAIGA-12K
DATA
- 全長:666mm/908mm(ストック展開時)
- 全幅:220mm
- 全高:72mm
- 重量:3,140g(空マガジン含む)
- 装弾数:45発
- 価格:¥60,280
- お問い合わせ先:東京マルイ
TEXT:アームズマガジンウェブ編集部
MODEL:白川のぞみ(Nozomi Shirakawa)
PHOTO:須田壱
HAIR&MAKE UP:西田聡子
撮影協力:バトルシティ
この記事は月刊アームズマガジン2023年8月号に掲載されたものです。
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