実銃

2023/06/30

【実銃】SWATのために作られたBCM製16インチライフルの魅力【前編】

 

BRAVO COMPANY
RECCE-16 BCM4

Police Carbine

 


 特殊なデザインや機構に走るのではなく、とにかく“高品質かつ酷使に耐える”というプロフェッショナルのためのM4/AR15プラットフォームライフル製造で知られているのがBCM(Bravo Company Manufacturing, Inc.)だ。今回は、ローカルポリスデパートメントのために組み上げられた2挺のARを撃ち込んでみた。

 

BCM RECCE-16 MCMR
全長:826mm(32.5inches)
重量:2,767g(6.1lbs)
バレル:16インチ Government profile
ツイストレート:1/7”
口径:5.56×45mm
作動:ダイレクトインピンジメント セミオート ミッドレングスガスシステム
メーカー希望小売価格:$1475.00

 

 

品質の高さがひしひしと伝わってくる佇まい

 

「ヘイ、ヒロ。テスト用のBCMカービンが2挺手に入ったぞ。撃ってみるかい?」

 

 またまたジェイソン・デイヴィスからの嬉しいお誘いだ。彼はLA郊外のPD(ポリスデパートメント)のルテナントで、200人以上いるオフィサーのファイヤーアームズインストラクターであり、SWATチームのコマンダーの1人でもある。よって彼の元には、全米のマニファクチャーからテスト用装備品が送られてくるのだ。

 

アッパー/ロア レシーバーの連結は完璧で、ガタ一つない。品質の高さの証明でもある。使用されている操作系コンポーネンツはミルスペックのスタンダードなものだ


 今回のBCM社製カービンは、SWATチーム用に組み上げた16インチバレルと、パトロールオフィサー用の14.5インチバレルだという。

 BCM社は、2005年に海外で任務に就くプライベートセキュリティプロフェッショナルのために、ミリタリーグレードの高品質ライフルを供給すべく、元海兵隊員のPaul Buffoni(ポール・バッフォーニ)氏によって起業された。

 

BCM Gunfighter MOD 3 Pistol Grip
立ち気味のアングル、オーバーサイズ、表面のテクスチャー、ビーバーテイルなど、よく考えられている

 

 当初はその信頼性の証であるミリタリースペックのパーツを使って、自らが定めた厳しいクオリティコントロールに基づき、アッパーグループなどの完成品をリリースしていたが、その完成度を向上させるべく、徐々にバレル、レシーバー、ボルトキャリアグループといったパーツを自社生産するようになっていく。

 

レイルパネルはGeissele社製だ。軽量ハンドガードは、1マガジンでも連射するとガスポート近辺から熱くなってくる


 BCM社の品質向上に対する意欲は旺盛で、いつしか“BCM Gunfighters Program(ガンファイタープログラム)”と呼ばれるプロフェッショナル達のリンクまで構築していくようになった。これは業界の優れたプロフェッショナルとのコラボレーションを積極的に進め、彼らからのインプットを自社製品に反映させていくという、まさに画期的なプログラムなのだ。

 

 このプロフェッショナル達の顔ぶれがまた凄い。Pat Rogers(パット・ロジャース)、Travis Haley(トラヴィス・ヘイリー)、Pat McNamara(パット・マクナマラ)、Larry Vickers(ラリー・ヴィッカース)といった錚々たるメンバーが、数々のコラボレーションを含めたBCM社に対するインプットを重ねていったのだ。

 

 

ウェポンライトは最新のシュアファイア製スカウトライトプロを載せている。トップレイルの​​​脇、45°の位置にぴったり装着できる。左利き仕様だ


 但し、BCM社のカービンは何か特別な仕様、もしくはスペシャルなパーツを売りにしているかというと、その答えはノーだ。500ヤードまでの必要十分な精度と徹頭徹尾ミリタリースペックにこだわった信頼性と堅牢性、そして徹底的なクオリティコントロールによる完成度の高さこそがBCMカービンの魅力なのだ。

 

サプレッサーを装備するために、マズルデバイスはシュアファイア社製SOCOM3フラッシュハイダーを装着、ハンドガードは“BCM Gunfighter MCMR-15”と呼ばれる軽量モデルだ


 そこで今回の2挺の仕様を、詳しく見てみたい。16インチバレルの方はジェイソンがSWATチーム用のセットアップを施しているので、いうなればDMR(Designated Marksman Rifle:近距離から中距離までをカバーできるライフル)風なパーツ構成がなされている。

 

VORTEX Raszor HD 1-6×24mm
レンズのクリアさには定評がある。1-6倍なので、CQBから中距離まで使用可能だ

 

スコープマウントはGeissele社製Super Precision

 

  • スコープは、VORTEX Raszor HD 1-6×24mmを装着

 

  • サプレッサー装着を想定しているため、マズルデバイスはシュアファイア製SOCOM 3を選択

 

  • トリガーグループは自分の好みにぴったりのGeissele(ガイズリー)社製の2ステージに換装。トリガープルは、約2.5lb(1,134g)

 

 と、これはもう高度な訓練を施されたエリートオフィサーのみが使いこなせる仕様になっている。

 

続きはこちら

 

Photo&Text:Hiro Soga

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年5月号に掲載されたものです。

 

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