装備

2023/04/26

アメリカ軍特殊部隊愛用のタクティカルギア「BLUE FORCE GEAR」【装備解説】

 

米軍特殊部隊も愛用する装備

 

 アメリカの装備メーカー、BLUE FORCE GEARブルーフォースギアは米軍特殊部隊も愛用するアメリカンタクティカルギアの1つだ。今回はその製品について解説しよう。

 

Photo by DOD

 

BLUE FORCE GEARブルーフォースギア

 

 2004年に創業したアメリカの装備メーカーBLUE FORCE GEAR(以下BFG)は、革新的で最高品質の装備の供給を社是とし、既存のデザインに囚われず斬新な装備を開発している。既存の製品デザインや品質をベースに、色やスタイルをアレンジして製品化する装備メーカーも多く見られるが、BFGは常に従来の装備よりも優れ、進化した製品でなければ世に出さないことを信条としている。それゆえ、BFGの製品は試行錯誤の上に生み出され、独自性を有しているのである。

 

Photo by DOD
BFGのテンスピードマガジンポーチは伸縮性に優れ、マガジンだけでなくフラッシュバン、小型ラジオ、ライト、その他同様の大きさのものを保持できるアイテムだ。その一方で未使用時は装着していないかのように薄くなるので邪魔になりにくい。その機能を生かして、前面に装着して使用する隊員が多い

 

Ten-Speed Double Pistol Mag Pouch
伸縮性に優れているので、ピストルポーチには1911のようなシングルカアラムマガジンから、ダブルカアラム、大型マガジンまで幅広く対応するのも魅力的だ

 

Helium Whisperヘリウムウイスパー

 

 BFGが開発した画期的なシステムの1つが、Helium Whisperヘリウムウイスパーだ。従来のMOLLE/PALSシステムは装着するためのウェビング&ループの分だけ装備の重量が増す。多くの装備を携行する兵士にとって一つ一つの装備の重量は死活問題に繋がる。これを解決したのがヘリウムウイスパーだ。新素材のULTRAcompウルトラコンプを使用することで従来のウェビングよりも圧倒的に軽量で、薄いシルエットを実現。また柔軟性に富んでいるため、縫製ミスなどで発生した幅が狭いループにも対応することができる。もちろん耐久性にも優れ、8,000回の摩耗テストをクリアするだけの性能を持っている。これによって兵士たちの悲願である装備重量の軽減に貢献し、他のメーカーでもヘリウムウイスパーが用いられるようになった。BFGのスリングやポーチの中には、アメリカ連邦機関調達品を示すNational Stock Numberナショナルストックナンバーを付与されたものもあり、米軍に認められた信頼性を誇っている。

 

ウルトラコンプは、BFG独自の高機能ラミネートで耐引裂・耐摩耗性、疎水性(液体をはじく)に優れた素材だ。作戦環境において、水に浸かるなどした際にも水分を含むことなく軽量な状態を維持することができる。ゴムベースのラミネートの特性には耐水性、難燃性もあり、バクテリアや菌類の繁殖も防ぐことができる。これにコーデュラファブリックを組み合わせることで、カラーからIR処理まで可能となる。非常に汎用性の高い素材だ。BFGの様々な製品でこの素材が使用されている

 

PICK UP ITEMS

 

Drug Mule Pouch
特殊部隊の衛生兵が使う救急医療品メーカーNorth American Rescue(NAR)のArmadillo Medication Storage Case(※)を収納することができる専用ポーチ。素材にULTRAcompを使用することで軽量かつ耐久性に優れる。ポーチ上部にチェストシールを収納できるスリット、左右には4本の胸腔減圧用針を固定するゴムホルダー、下部にはターニケットナウ!ストラップホルダーを固定可能なスロットが備えられている。装着にはヘリウムウイスパーを使用、アーマーやベルトにしっかりと薄く装着可能だ
※作戦行動中での医薬品運搬を目的に開発したケース。ステンレススチール、3mの防水性能を誇り、破損しやすい医薬品を保護することができる

 

IZLID / Suppressor Pouch
IZLID/サプレッサーポーチは、B.E.Meyers IZLID Ultraを持ち運ぶためにデザインされたポーチだが、直径1.5インチ以下、長さ7インチ以下のサプレッサーも収納できる。サイドリリースバックルは長さを調整でき、異なるサイズのアイテムを収容しても安全に携帯可能である。このような軍用アイテム用ポーチやアクセサリーがあることも、BFGの軍や法執行機関とのつながりの深さを示している

 

Trauma Kit NOW! – MEDIUM
トラウマキット ナウ!ミディアムは、アメリカ陸軍のIFAK(Improved First Aid Kit)の内容物を収納するために設計されており、ほとんどの緊急医療キットを収納できる。ヘリウムウィスパーを備えた外側のポーチの中に、メディカルコンポーネントをしっかりと収納できるポーチを内蔵。それぞれポーチは独立している。簡単に取り外しができるようにテーパーが設けられ、使用時には迅速に内部ポーチを取り出すことができる。外側ポーチの上部には1列のモールスロットがあり、そこにはシングルピストルポーチや止血帯ホルダーのTourniquet NOW! Strap Tourniquet Holderの装着が可能だ

 

Vickers Combat Applications Sling (VCAS)/Vickers Padded Sling
BFGで最も売れている製品として有名なVickers Combat Applications Sling(VCAS)は、アメリカ軍対テロ部隊デルタフォース出身で銃器開発やインストラクターとして活躍するラリー・ヴィッカーズ氏が開発に携わったタクティカルスリングだ。M4をはじめとしたカービンやライフル向けに開発された。ライフルの前後に固定する2点式で、スリングの長さを手元のスライダーで瞬時に変えられるのが特徴だ。ヴィッカーズパデッドスリングはVCASの機能はそのままに、2インチのインラインパッドが縫製されたVCASのパッド付きモデルになっている

 

 月刊アームズマガジン2023年5月号ではさらにBFGの製品について解説している。興味がある方はそちらも併せてご覧いただければ幸いだ。

 

TEXT&PHOTO:Ghost(Ghost in the Dark)

 


 

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米軍特殊部隊 ―装備と銃器―

 

「米軍特殊部隊 ―装備と銃器―」

 

 米軍特殊部隊は任務、担当地域によって部隊が分かれ、アメリカ軍特殊部隊軍に所属する人員は70,000人を超える。彼らは己の任務に適した装備や銃器を使用し、仲間や同盟国と連携して作戦を遂行する。では、その装備や銃器は一体どのようなものを選び、どのように着用しているのだろうか?
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「米軍特殊部隊 ―装備と銃器―」
特殊部隊の隊員が愛用する装備をピックアップして解説

 

「米軍特殊部隊 ―装備と銃器―」

 

この記事は月刊アームズマガジン2023年5月号に掲載されたものです。

 

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