Heckler & Koch
HK45
Compact Tactical
ネイビーシールズも採用したHK45のコンパクトタクティカルモデル
ヨーロピアンガンメーカーは.45ACP対応ハンドガンの開発にあまり積極的でない場合が多い。しかし、ヘッケラー&コッホはP9Sの時代から.45のバリエーションを加え、米国市場へのアプローチを続けてきた。現行のHK45は同社の.45オートの完成形であり、そのコンパクトモデルはNAVY SEALsも採用するなど、高い評価を獲得している。
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HK45
HK45 Compact Tactical
- 口径:.45ACP
- 全長:201mm
- 全高:140mm
- 全幅:39mm
- 銃身長:116mm
- 照準線長:152.5mm
- マガジン装弾数:8/10発
- 重量:826g
- メーカー希望小売価格: $1,029
HK45
- 口径:.45ACP
- 全長:204mm
- 全高:150mm
- 全幅:39mm
- 銃身長:113.5mm
- 照準線長:168.5mm
- マガジン装弾数:10発
- 重量:885g
- メーカー希望小売価格: $849
P30の開発が進む一方で、新型.45ACPモデルの開発も進められ、それが最終的にはHK45となった。しかしこれは当初、全く別の企画として始まったものだ。
2001年11月、H&Kは元デルタフォースのラリー・ビッカーズ(Larry Vickers)と米陸軍特殊部隊出身のケン・ハッカーソン(Ken Hackathorn)の両人を招き、技術者との意見交流を行なった。そこで両人はH&K版1911の製品化の提案をする。H&Kの技術力と設備を持ってすれば、ある程度価格を抑えつつカスタム1911を量産ラインにのせる事ができるのではないかと考えたからだ。
しかしH&Kがこの案に興味を示さぬうちにS&Wなど競合他社が次々と1911の製品化を行ない、完全にタイミングを失ってしまった。そこで今度は評価の高かったUSP45を改良する形で、.45モデルの新型を打ち出していこうということになった。
内部構造的には信頼性の高さが充分に証明されていたUSP45だが、最大の弱点は大きすぎる事にあり、ラリー・ビッカーズとケン・ハッカーソンはH&Kにスリム化と操作性の改善を要求した。具体的にはP2000の側面を傾斜させて先細りにしたスライドに注目、高く評価する一方で、P2000で省略されたUSPのコントロールレバーは継続すべきだと主張した。またマガジン装弾数をUSP45の12発から、必要じゅうぶんな10発まで減らす事でグリップのスリム化も提案した。
両人は思い描いたモデルを技術者に理解してもらうようにデジタル画像でグラフィックを作り、プレゼンテーションを重ねて開発を進行させた。同時にP3000(P30)の開発も進んでいたため、両者は兄弟のような関係で全体的に改良点を分かち合っている。
2005年の末に米軍がM9を置き換えるJoint Combat Pistol(JCP)プログラムを発表。しかし実はこの1年前にはUSP45の発展型のデザイン案はかなり絞り込まれ開発は進んでおり、JCPのために開発が始まった訳ではなかった。しかし、結果的にはJCPで開示されたトライアルの要求スペックを参考にしてHK45は完成している。
翌年にはJCPはキャンセルされてしまったが、HK45は市販が開始された。そしてこのモデルは2008年に稼働が開始したニューハンプシャー州ニューイントンの新工場で最初に製造されたアメリカ製H&K製品となった。
フルサイズと共にバレル長を4.46インチから3.9インチへと短縮し、グリップも小型化し8連マガジンを備えたコンパクト版のHK45Cも登場、USP45CTと同様にスレデッドバレルとサプレッサーサイトを組み合わせたHK45CTも加わった。
2011年、米海軍Naval Special Warfare Commandは大型で旧式化したMk 23 Mod 0の後継として、HK45CとHK45CTをMk 24 Mod 0として正式に採用し、NAVY SEALs チーム6などの特殊部隊によって運用されている。
DA/SAトリガーに左側のコントロールレバーはデコック機能のみのV3仕様が選ばれた。これはNAVY SEALsで長年運用されていたP226と同様の操作性を継承するためと伝えられている。クリムソントレースも契約を結びウオータープルーフIRレーザーシステムを納入し、AACサプレッサーと組み合わせて運用されているという。
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Photo&Text:Gun Professionals LA支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2020年8月号に掲載されたものです。
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