エアガン

2023/01/29

大胆な創意工夫で進化したSAA、発売間近「タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン」

 

毛野ブースカも惹かれるペガサス2の魅力とは

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン

 

 月刊アームズマガジン本誌で発表以来、多くの反響を呼んでいるタナカの次期新製品・コルトS.A.A.セカンドジェネレーション・ペガサス2ガスガン(以下ペガサス2)。2022年11月に実射可能なサンプルがトルネード吉田さんに手渡されてサバゲーイベントなどに実戦投入されており、2023年春頃の発売に向けて着々と製作が進んでいる。以後も何らかのかたちでペガサス2をフィーチャーしてきたが、今回は私がエアガンとしての特徴・魅力を探ってみたい。

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン

 

大絶賛で迎えられたペガサスリボルバーにも難点があった

 

 ペガサスリボルバー第1弾のコルトS.A.A.が発売されたのが2000年。それまでガスリボルバーといえばライブカート式がほとんどで、実銃同様にカートリッジの装填・排莢が行なえるメリットはあったが、実射性能に関してはお世辞にも優れているとはいえず、またガスタンクをグリップ内に収める関係で実物グリップが装着できないデメリットがあった。そんなガスリボルバーに風穴を開けたのがペガサスを搭載したガスリボルバーだった。
 二重構造になったシリンダー内にガスタンクとガス放出バルブ、マガジン(コルトSAAは除く)を組み込んだガスチャンバーを内蔵するという画期的な構造により、ライブカート式ガスリボルバーを超える実射性能を実現。カートリッジの装填・排莢は行なえないものの、リアルな外観とスムーズなアクション、高い実射性能、実物グリップが装着可能、豊富なバリエーションから多くのファンの心を掴んだ。
 シリーズ第1弾として発売されたコルトS.A.A.の初期型はシリンダーが取り外せなかったが、のちにベースピンを抜くとシリンダーが取り外せるデタッチャブルシリンダーモデルが登場した。シリンダーが取り外せることでBB弾の装填やガスの注入がやりやすくなったが、その反面シリンダーの固定が甘くなり、実射性能や操作性、耐久性に影響を及ぼした。そのため、実射性能が安定している初期型を使い続けているユーザーもいるという。また固定式のホップアップのため弾道の調整がしにくいというデメリットもあった。

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン
ペガサス2はデタッチャブルシリンダータイプに比べて剛性はもちろん重量感もアップしている。シリンダーやトリガー&ハンマー周りの作動フィーリングもスムーズそのものだ

 

ペガサス2がガスリボルバーの常識を再び覆す!

 

 そんな背景から今回ペガサス2が開発されたわけだが、単なるコルトS.A.A.のバージョンアップではなく「ペガサス2」と銘打たれているのは、従来のペガサスの構造を大きく変える画期的なシステムが採用されているからだ。
 撃つたびに回転する外側のシリンダーとは別に内蔵されているペガサスのガスチャンバーは、構造上フレームにしっかり固定されるほうが安定した実射性能を生みやすい。しかし、ガスチャンバー内に水平に設置されたガス放出バルブを開放するためにガスチャンバー中心にノッカーが組み込まれている。そのためシリンダーとガスチャンバーを貫通させるようにベースピンが組み込めない。初期型のS.A.A.もベースピンは貫通しておらず、前後2カ所で支えていた。この点、ヨーク部分でシリンダーが固定されるダブルアクションリボルバーは有利である。
 もしベースピンを貫通式にする場合、構造上の大転換が必要になる。そこでタナカはベースピン内にノッカーを組み込むことを考案。ハンマーによって押されたノッカーがベースピン内に設けられたバルブリフターを押し上げて、バルブリフターがガスチャンバー内に垂直に設置したガス放出バルブ(メインバルブ)を押し上げるシステムを作り上げたのだ。従来はノッカー、メインバルブともに横方向の動き(ノッカーが前進するとメインバルブを後退させてガスを放出する)だったのに対して、横方向の動きを縦方向の動きに変換させることでメインバルブを開放するという、まったく異なるシステムが搭載されている。
 この特許取得済みのシステムにより、貫通式ベースピンの実現と安定した実射性能、さらに初弾発射時にメインバルブが張り付いて充分に開放されないことから弾速が落ちるトラブルの解消にも一役買っている。

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン
コルトS.A.A.といえば腰だめ射撃だろう。これだけ命中精度が高く、作動も確実だと撃っていて楽しい。連射にもしっかり追随する

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン
アームズマガジンオリジナルプロダクツのイースト.A別注コルトSAA対応早撃ちナイロンホルスター「ネオ・カウボーイ」(¥4,730)にもぴったり収まる

 

大胆な創意工夫により可変ホップアップを実現

 

 ペガサス2ではさらにインナーバレル周辺も大きな改良が施されている。フレームやバレル内にスペースが少ないリボルバーは可変式のホップアップが組み込みにくい。しかしタナカは大胆にフレーム上部に細長いホップアップスクリューを組み込み、ホップアップスクリューの回転にあわせてチャンバー上部に設置したホップアップカムを前後させることでホップアップを調整するシステムを採用した。さらに面ホップタイプのホップアップパッキンやホップアップローラーによりガスリボルバーの常識を覆す命中精度を実現している。バレルハウジング後部に前後にわずかに可動することで気密性を確保するギャップシールが採用されているのも見逃せない。

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン
20m先にあるA3サイズのターゲットに撃ち込んでみたところ。前後サイトは精密射撃には不向きだが、0.25g弾を使用して10発中7~8発は命中させることできた

 

不可能を可能にしたのは、圧倒的な緻密さと製品への情熱だった

 

 実銃のS.A.A.はハンマー、トリガー、ボルト、ハンド、ハンマースプリング、トリガースプリングだけでシリンダーを回転させてハンマーをコックし弾を発射している。いたってシンプルな構造だが、タナカはトイガンとしての機能性と作動性、耐久性を向上させるために何点もの新規パーツが組み込まれている。実際に分解してみると実銃の何倍もあるパーツ点数に驚いてしまう。これだけパーツのバランスを取って組み込み、正確に作動させることは難しいことだ。ヘタをするとバラバラに動いてまったく機能しなくなる可能性もある。ユニークなアイデアと緻密な設計のもと巧みに組み込まれており、約150年前にS.A.A.を開発したコルトの設計者が見たら驚くのではないだろうか。

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン
月刊アームズマガジン2023年3月号ではより詳しく構造を解説している(P.62~65)。気になる方はぜひ本誌をチェックしていただきたい

 

 トルネード吉田さんいわく初期型かデタッチャブルシリンダーを使っているユーザーがペガサス2を手にしたら驚きを隠せないはずだという。S.A.A.ユーザーではなくとも、いちエアガンマニアとしてペガサス2は非常に興味深い。ペガサス2はとにもかくにも手にして撃てば納得の1挺である。

 

タナカ コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン

 

*写真は試作品です。実際の製品とは異なる場合があります


 

タナカ
コルトS.A.A.セカンドジェネレーション ペガサス2ガスガン

 

DATA

  • 全長:260mm
  • 全高:132mm
  • 全幅:42mm
  • 重量:822g
  • 装弾数:15発+10発(エジェクターチューブ内)
  • 価格:¥36,080(2023年3月発売予定)
  • お問い合わせ先:タナカ

 

TEXT:毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2023年3月号 P.60~61をもとに再編集したものです。

 

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