ハンドガン選びで気になるのが、使い勝手に直結するスライドやフレームの形状、トリガーの形式などの使い心地だ。今回は前回紹介した8挺の東京マルイ製ガスブローバックハンドガンにフォーカスして、前後編2回に渡りそれぞれの使い心地を細かくレポートしていく。ハンドガン選択の参考にしてみてほしい。
東京マルイ製ガスブロハンドガン8選はこちら
マズル/スライド/フレーム
アンダーレールやサイレンサーが装着できるスレッデッドバレル付きが最近のトレンドとなっている。トリガーはグロック19やM&P9のようなトリガーセーフティ付きのシングルアクションが一般的になりつつある。
グロック19 Gen.4
角ばったスライドデザインは誕生当初から変わっていない。セレーションはリアのみ。ジェン3以降ユニバーサルスペックのアンダーレールを標準装備。マガジンキャッチは大型化されて押しやすくなっている。トリガーにはセーフティが備わっている
M&P9
スタイリッシュなデザインと鱗状のセレーションが特徴のM&P9のスライド。アンダーレールは汎用性の高いピカティニースペック。2分割式のトリガーは引くと下半分が下がることでセーフティが解除される。トリガーはシングルアクション
HK45タクティカル ブラック
USPをベースにデザインされたスライドにはセレーションが前後に入れられている。このモデルはバレル先端にネジが切られたスレッデッドバレル仕様。アンダーレールはピカティニースペック。トリガーはシングル/ダブルアクション
FNX-45タクティカル
ガッシリした印象のスライドにはセレーションが前後に入れられている。バレルはスレッデッドバレル仕様。ピカティニースペックのアンダーレールを標準装備。小ぶりのスライドストップは指に近い位置にある。トリガーはシングル/ダブルアクション
ハイキャパD.O.R
エッジをカットしてセレーションが追加されたスライド。バレルはブッシングレスのブルバレルタイプ。アンダーレールはオプション。スライドストップはエクステンデッドタイプ。ストレートタイプのトリガーはシングルアクション
コルトM45A1ブラック
オーソドックスなバレルブッシング付きのスライドにはセレーションが追加されている。最新モデルらしくピカティニースペックのアンダーレール付き。スライドストップはノーマルタイプ。ノンホールタイプのトリガーはシングルアクション
シグザウエルP226 E2
スライドのセレーションは後部のみ。アンダーレールはネイビーシールズ採用のMk25はピカティニーだがRタイプはユニバーサルスペック。フレーム左側にデコッキングレバーとスライドストップが設けられている。トリガーはシングル/ダブルアクション
U.S.M9ピストル
スライド上面が大きくカットされてバレルが露出しているM92Fシリーズのスライド。アンダーレールはM9には標準装備されていない。スライドストップは操作しやすい位置に設けられている。トリガーはシングル/ダブルアクション
コントロールレバー
ハンドガンに限らずアサルトライフルでもセーフティやスライドストップ、マガジンキャッチなどが左右どちらでも使える「アンビタイプ」が主流になっている。左利きの方でも違和感なく使えるだけではなく、グリップを持つ手を替えた時も使いやすい。今回揃えたハンドガンの中で完全アンビなのはHK45とFNX-45だけだ。
グロック19 Gen.4
最新のGen.5ではスライドストップがアンビになったが、Gen.4まではアンビではないので右側はスッキリしている。マガジンキャッチは左右入れ替えできない。グリップ上部には親指が添えられる窪みとレストが設けられている
M&P9
スライドストップ、サムセーフティともにアンビタイプ。マガジンキャッチは左右入れ替えはできない。フレーム後部/グリップ基部はえぐりが深く、かつテール部分が延長されてハイグリップしやすくなっている
HK45タクティカル ブラック
スライドストップ、マガジンキャッチ、セーフティ/デコッキングレバーともにアンビタイプ。セーフティ/デコッキングレバーは下げるとハンマーがデコックでき、上げるとセーフティがかかる。コックアンドロックも可能
FNX-45タクティカル
HK45同様、スライドストップ、マガジンキャッチ、セーフティ/デコッキングレバーともにアンビタイプ。セーフティ/デコッキングレバーは小ぶりだが、衣服等に引っ掛かりにくく操作角度が小さいので操作に支障はない
ハイキャパD.O.R
今回集めたハンドガンの中でガバメントモデルは唯一グリップセーフティが標準装備されている。セーフティは本来は左側だけだが、カスタムパーツに換装することでアンビ化できる。ただしマガジンキャッチ、スライドストップはアンビ化できない
コルトM45A1ブラック
ハイキャパD.O.R同様、アンビセーフティを標準装備。セーフティはハンマーがコックされた状態(コックアンドロック)のみかかる。グリップセーフティはグリップを握らないと解除できない。カスタムパーツを使うことで使いやすくできる
シグザウエルP226 E2
フレーム左側にスライドストップやマガジンキャッチ、デコッキングレバーが集中しているため右側はスッキリしている。どのパーツもアンビ化できない。左右のグリップ形状が異なるので、手を入れ替えた時に気になるかもしれない
U.S.M9ピストル
スライド後部に設けられたセーフティ/デコッキングレバーはアンビタイプ。フレーム右側にトリガーバーが露出しているため、スライドストップはアンビ化できない。ただしマガジンキャッチは左右入れ替えができる
グリップ
最近のハンドガンの特徴は射手の手にあわせてグリップが調整できることだろう。とはいえ調整できる範囲は限られておりグリップ自体の大きさが重要となる。握った状態でトリガーに指をかけられるか、しっかり握れるか確かめたい。ここでは手の小さい女性に握ってもらい、グリップした感じを比較してみた。
グロック19 Gen.4
グロック特有のグリップアングルはガバメントモデルなどに慣れている方には違和感を覚えるかもしれない。Gen.4になって滑り止めのテクスチャーが改良されて握りやすくなり、交換式バックストラップにより手にあわせやすくなった

M&P9
ガバメントモデルに近いグリップアングルを採用したM&P 9。ラウンドフォルムのグリップは手の小さい方でも握りやすくハイグリップしやすい。パームスウェルを交換することでより手にフィットさせることができる

HK45タクティカル ブラック
「スパイダーマングリップ」と呼ばれる独特な滑り止めとフィンガーチャンネルが特徴のHK45。バックストラップは交換できるものの、.45ACP弾が10発装填できるマガジンの影響でグリップは大きめなので手の小さい方にはつらいかもしれない

FNX-45タクティカル
.45ACP弾が15発装填できるマガジンを使うわりには太くはないものの、やはり手の小さい方は握りにくいかもしれない。ただし、エッジの立った滑り止めは効果的で、バックストラップを交換することで手にあわせられる

ハイキャパD.O.R
ハイキャパシティマガジンにあわせて左右の幅が広げられているものの、絶妙なデザインによりシングルスタックとの違いを感じさせない。シングルアクショントリガーなので手の小さい方でもトリガーに指が届きやすい

コルトM45A1ブラック
今回集めたハンドガンの中で唯一のシングルスタックモデル。ポリマーフレームにはない利点としてグリップやメインスプリングハウジングをカスタムパーツに交換することで自分の手にあわせてカスタマイズできる

シグザウエルP226 E2
E2ではエルゴノミクスデザインのグリップが採用されて握りやすくなった。P226Rはグリップが交換できるが、E2では交換できない。P226はダブルカアラムマガジンの9mmオートの中では比較的握りやすい部類に入る

U.S.M9ピストル
ひと昔は当たり前だったメタルフレームと木製や樹脂製のグリップパネルのコンビネーションは今となってはクラシカルだ。ダブルカアラムマガジンなのでやや太めだが、ラウンドフォルムのデザインと厚みを抑えたグリップパネルにより握りにくくはない

サイト
モダンオートのほとんどは前後サイトにホワイトドットが入った「スリードットシステム」を採用している。さらにFNX-45タクティカルのように前後サイトを外さずにマイクロドットが装着きるモデルも登場している。今後はマイクロドットが装着できるかどうかも選択基準のひとつになっていくだろう。
グロック19 Gen.4
誕生当時から一貫してシンプルなロープロファイルの前後サイトを採用しているグロックシリーズ。フロントはホワイトドット、リアは凹型のホワイトライン
M&P9
カスタムサイトのようなM&P9の前後サイト。リアサイトは緊急時のコッキングショルダーとしても使える。フロント、リアともにホワイトドットが入れられている
HK45タクティカル ブラック
ノーマルに比べて大型化されてコッキングショルダーとしても使えるリアサイト。前後ともホワイトドット入りで、サイレンサー装着時でも狙える
FNX-45タクティカル
マイクロプロサイトを装着しても機能するようにハイプロファイルな前後サイトが装着されている。このモデルのみサイトを外さずにマイクロプロサイトが装着可能
ハイキャパD.O.R
狙いやすさを追求した東京マルイオリジナルデザインの前後サイト。フロントのみホワイトドット付き。リアサイトを外すことでマイクロプロサイトが装着できる
コルトM45A1ブラック
カスタムサイトで有名なノバックサイトが標準装備されておりサイティングのしやすさ、視認性の高さはトップクラス。前後ともにホワイトドットが入っている
シグザウエルP226 E2
数種類のバリエーションの中から前後ともホワイトドット入りがチョイスされている。ロープロファイルで携帯時に衣服等へ引っ掛かりにくく実用的なサイトだ
U.S.M9ピストル
M9は今回集めた中で唯一前後とも固定式(実銃はリアサイトのみ交換できる)のサイトとなっている。フロントサイトのみホワイトドットが入っている
この記事は月刊アームズマガジン2022年9月号 P.37~39をもとに再編集したものです。