2022/07/28
世界初の機械式・可変プリコック機構を搭載「C.A.T.」の魅力を徹底解説!
AIRSOFT97が企画・全面監修した「C.A.T」とは?
「撃つ・駆る・愛でる」エアガンならではの“楽しさ”を追求した製品として生まれたC.A.T.。電子トリガー、電子制御系カスタムが浸透してきた業界に新たなる一石を投じた「最後の機械式電動ガン」の特徴と魅力をかすみんがレポートする。
C.A.T.開発ストーリー
海外製エアガンの販売・カスタムでお馴染みのAIRSOFT97が企画・全面監修を行なった海外製電動ガンの新ブランド、C.A.T. Airsoft(Combat Artisan Tactical)。TITANやPERUNなどの高性能電子制御系カスタムを得意とするAIRSOFT97が、あえて電子を使わない、機械式の可変プリコッキング機構を独自開発。射撃性能もさることながら、「指に伝わる機械的なフィーリング」を重視した製品である。
沖縄に本社を構えるAIRSOFT97は、以前から地理的な関係で中国や台湾など様々な海外メーカーへ技術協力していた経緯もあり、とあるメーカーから「何か新しい付加価値を持つエアガンを作れないか?」という相談を受けたのが、C.A.T.誕生のきっかけとなった。そこでAIRSOFT97のサワ氏は提案した。
「例えばあの素晴らしいPSG-1を、セクターギアを工夫してピストンの後退量を調整できるようにしてはどうだろう? 現代の技術とノウハウがあればもっと面白い銃になるのではないか?」
1995年に発売された東京マルイのPSG-1といえば電子制御を使わずプリコッキング射撃を行ない、命中精度やレスポンスの良さを実現した画期的な製品だった。ただ、プリコッキングの調整ができないためセッティングやバッテリーの選択にかなり縛りがあった。あらためて現代の技術を駆使すればそんな機械的プリコッキングの欠点も克服できるのでは、というアイデアだ。
サワ氏のアイデアをもとにAIRSOFT97で開発がスタート。同社技術班のアイデア、アキバ店でのお客様のニーズやサバゲーマーとしての要望等、多くの意見を持ち寄って練り上げたコンセプトは以下の通りだ。
- セクターギアによるプリコッキング調整のためテイクダウン&分割メカボックス方式とする
- 分割メカボックスは通常サイズの汎用的なレシーバーに収まるようにする
- 内部パーツのほとんどは汎用品を使用する
- ストックはオフセットでき、ピカティニーレール仕様で折りたたみ機構
- リア配線、バッテリー収納性に優れたストック
- 電子トリガーを使わないので、物理的なトリガーフィーリングを重視
- 流行りのバーティカルアングルグリップに適合したデザイン
C.A.T.の特徴と魅力
従来のエアガンは、実銃をベースにしたり、モチーフにしたりすることで開発されている。しかし、C.A.T.で大きく異なるのはそのルーツとなるプロセスで、実銃をルーツとしていない点である。実銃は反動をコントロールしたり耐久性を持たせることを前提としているのに対して、電動ガンは反動をコントロールするなどの制約がないことから自由にデザインでき、その結果、持ち運び、保管しやすいもの作り出せることとなった。サバゲーマーやエアガンユーザーの「リアルに寄り添った」電動ガン、それがC.A.T.である。
- 撃つ楽しさ
C.A.T.はトリガーを引いた瞬間、指から得られるフィードバックと、そしてパンッっという心地よい音と標的にすっと伸びる弾道を楽しめるのが特徴。これは機械式可変プリコッキング機構による最大の恩恵だ。様々な使用条件で最適なプリコッキング量の調整が可能なMAPセクターギアにより「モーターが回った後に発射される」タイムラグ感を排除。さらに、マイクロスイッチトリガー機構を採用し、撃つ瞬間にカチッと指に伝わる感触と2ステージトリガーのような繊細なトリガーワークを可能にしている。
- 駆る楽しさ
スリムなRASとバーチカルグリップにより高いハンドリング性を発揮。そしてストックベースをピカティニーレール仕様にすることで高さを3段階に調整可能。オフセットさせることでパララックスを少なくし、CQBエリアで抜群の使い心地を発揮する。そしてストックを折りたためばバックパックに収納でき、公共交通機関での移動や保管時に邪魔にならない。
- 愛でる楽しさ
最大の魅力は何と言ってもMAPセクターギアだ。銃をテイクダウンし、ツールを使ってカチカチと操作しながらプリコッキングの調整を行なう作業はまさにメカ好きの心をくすぐる。ストックはモジュール化されているので、目的に応じてフレキシブルに組み換え可能。内部パーツに関しても、ほぼ市販のカスタムパーツの組み合わせが可能だ。自分だけのC.A.T.をチューニングすることも可能で、かつ分割メカボックス仕様なので様々なセッティングを試しやすく、カスタムユーザーにも嬉しい作りになっている。
C.A.T.ラインアップ
現行ではフラッグシップモデルの「Legend」シリーズと、スタンダードモデルの「Explorer」シリーズがラインアップ。各シリーズとも10インチ及び8.5インチが用意されている。
LegendではAR-15系のグリップ角度に基調されたレーシーな切削レシーバーデザイン。エクステリアの格好良さもさることながら、C.A.T.のメカの真髄、機械式・可変プリコッキング機構によるピストンの後退を直接見ることができるので、メカ好きにはたまらない意匠になっている。
Explorerでは一般的なARレシーバーに控えめな刻印に、対比としてMOE K2タイプグリップのバーティカルな意匠に沿った大きく切削されたボクシーなRASデザインがエッジを効かせている。
さらなる高みを目指すC.A.T.カスタム
AIRSOFT97では箱出しでも高性能なC.A.T.のさらなるカスタムも行なっている。C.A.T.専用メニューの「C.A.T.Ultimate」と、限界までレスポンスを追求した「ブラシレスパッケージ」である。
- C.A.T.Ultimate
内部構成パーツをカスタム品にアップグレードし、安定性と耐久性を向上。インナーバレルはステンレス製の飛鋭®改に換装し、優れた命中精度を長期にわたり維持。ハイプレッシャーシリンダーヘッドで特に0.25gBB弾を使った時の弾道特性を改善しつつ、ピストンの衝撃を緩和することでメカボックスを保護。またスイッチ焼け防止のSBDやヒューズもセットになっており、より高い性能を長く安心して使うことができる。
- ブラシレスパッケージ
日本を代表するシューター、マック堺氏の要望により、スティールチャレンジ用に製作した特別仕様のC.A.T.から生まれたハイレスポンスカスタム。電子制御のようなフワフワと軽い引き心地ではなく、しっかりとしたトリガーフィーリングでかつ速射に対応したセッティングを目指した。今人気のOption No.1製プラグインブラシレスモーターに換装し、レスポンスを劇的に向上。機能付与型FET、PERUN AB++を組み込むことでプリコッキングの微調整を容易にするうえ、FETによりスイッチ部分の電気ストレスを低減。そして軽いプルの国産マイクロスイッチに交換。軽やかなトリガータッチでもカチッとメリハリのある速射が可能になった。
まとめ
海外製電動ガンの進化はめざましい。日々新しい製品が生まれる中で、それに触れ、もっと「楽しいエアガンはないか?」と考え、検証を重ね、企画・開発し、より良いエアガンを生み出すべく、これからもAIRSOFT97には発信し続けてほしい。
この記事は月刊アームズマガジン2022年9月号 P.90~93をもとに再編集したものです。