2021/12/16
詳しく!! 電動ガンのバッテリーを長持ちさせるコツとその理由
バッテリーを長持ちさせる方法を詳しく解説
電動ガンのパワーソースとして用いられているバッテリー。繰り返し充電が可能であり、ガスガンと比べてランニングコストに優れる便利なものだが、扱い方を間違えるとすぐに劣化し電力が弱ってしまう。半年ほどバッテリー放置してしまい、充電ができなくなってしまったというユーザーもいるのではないだろうか。
前回は簡単にバッテリーを長持ちさせるコツを列挙したが、今回は何故長持ちするのかを詳しく解説していこう。
バッテリーを長持ちさせるには?
バッテリーは適切な管理と保管によって寿命が大きく変わる。適切な管理というと難しそうなイメージを思い浮かべるかもしれないが、知識や技術を要するようなことをするわけではないので安心してほしい。バッテリーの種類ごとに取り扱い方法を解説していく。
■リチウムポリマーバッテリー(Li-Po)の扱いかた
- その1:充電する際は必ずLi-Po対応充電器を使用する。
リチウムポリマーバッテリーにニッケル水素バッテリーやニッカドバッテリー専用の充電器を使用すると、過充電を引き起こしてしまい最悪の場合バッテリーから出火してしまう。
- その2:充電時はバランス端子を充電器に差し込む
- その3:バランス充電機能やリポチェッカーで調子を整える
バッテリーにはセルと呼ばれる蓄電部が複数個備わっており、充電中は各セルに一定数の電力が振り分けられて充電される。リポバッテリーのセルはバランスが偏りやすいので、定期的なセルチェックが欠かせない。
- その4:満充電(100%)よりも腹八分目(80~95%)の状態で保管する。
リチウムポリマーバッテリーは周囲の環境温度によって電圧が上がる特性がある。例として気温35℃の室内に15分程度放置するとリポバッテリーの電圧は0.1V上昇するという検証結果があり、この温度上昇によって電圧が安全規定値を上回る可能性がある。腹八分目まで充電して保管するのはこういった温度変化による安全マージンを稼いでおくためだ。
※保管時電圧の目安
7.4Vのリチウムポリマーバッテリーは満充電時に最大8.4V程度の電圧になる。これは2セル構成の場合、各セルが4.2Vとなっている状態だ。安全に保管するためには各セルが3.8V程度になっていることが望ましい。満充電後は0.8V分の電力を消費するために、少しだけ電動ガンの射撃を楽しんでみるのも良いかもしれない。
- その5:電動ガンの動きが悪くなったら直ちに使用をやめる
電動ガンを射撃していて、急にレスポンスが悪くなったり、フルオート射撃のサイクルが遅くなったらすぐに射撃を中止し、バッテリーを電動ガン本体から取り外そう。こういった不調はバッテリーの容量が残り少ない状態であるというサインであり、これを無視して使用を続けると最低使用電圧(使用限度)を下回る電圧降下を起こし、バッテリーが故障してしまう。
※最低使用電圧の目安(この数値以下になるまで使わないこと)
- 7.4V 2セルのリポバッテリーの場合:1セルあたり3.2V以下
- 11.1V 3セルのリポバッテリーの場合:1セルあたり3.2V以下
※ハイテック・マルチプレックス・ジャパン製リポバッテリーの基準となっております。
※サバイバルゲームの休憩時間中などにバッテリーをリポチェッカーに接続し、電圧の数値や残りの容量を確認すると安心してゲームを楽しむことができる。
■ニッケル水素バッテリー(Ni-MH)の扱いかた
- その1:充電前には必ず放電を行う。
ニッケル水素バッテリーにはメモリー効果という特性があり、バッテリー内部に電力が残っている状態で充電を始めると蓄電容量の上限が頭打ちになり、満充電してもバッテリー本来の容量まで電力を蓄えられなくなる。
※放電を行わずニッケル水素バッテリーに充電を繰り返した場合、1回目の蓄電容量(100%)→2回目(70%)→3回目(40%)と徐々に蓄えられる電力が少なくなってしまう。
ハイテック・マルチプレックス・ジャパン製のX1 NANOプレミアムはニッケル水素バッテリーとリポバッテリー両方の充電に対応している。ニッケル水素バッテリーの放電モードを設定すると、自動的に電力を放出してくれる。安全面から完全放電はせず、僅かな電圧が残った状態で放電は完了となる。
- その2:急速充電機能を使用する。
ニッケル水素バッテリーを充電する場合、7~8時間ほどの時間をかけて行う『オールナイト充電』と、大きな電流を流して1時間程度で充電が完了する『急速充電』の2種類方法がある。一般的に急速充電は電池を痛めると思われがちだが、ニッケル水素バッテリーの場合はむしろ急速充電のほうが相性が良く、効率的かつバッテリーの性能を最大限引き出せる充電方法となっている。
- その3:バッテリーが弱ってきたらサイクル充電を行う
充電・放電を繰り返すとバッテリーは徐々に蓄電能力が低下し、弱ってくる。しかし、サイクル充電(リフレッシュ充電)と呼ばれる特殊な充電方法を行う事によりバッテリー内部を活性化し、復活させることができる。
『リチウムポリマーバッテリーとニッケル水素バッテリーの保管方法』
最後にバッテリーを長持ちさせる保管方法を解説しよう。
- その1:リチウムポリマーバッテリーは必ずリポバックに入れる。
リポバッテリーは内容物を包む外装がラミネートで作られているので傷や衝撃に弱い。何かの拍子に傷つけてしまい外装が破けると発火する恐れがあるので、防火性のリポバックに入れておくのが安全だ。
- その2:保管場所の温度や湿気に気を付ける
充電の項目でも解説したが、リチウムポリマーバッテリーは周囲の外気温度によって電圧が変化する特性がある。0℃~25℃の温度が保たれた室内というのが理想的な保管場所だ。湿度が高い場所ではバッテリーの自然放電量も増えてしまうので、バッテリーの傍に除湿剤(乾燥剤)を置いておくとよい。
- その3:バッテリーの調子を定期的にチェックしよう
サバゲーに行かない日が続いても、バッテリーだけはひと月に一度はにチェックしよう。リチウムポリマーバッテリーならリポチェッカーを繋いで残量とバランスをチェックを行い。ニッケル水素バッテリーの場合は自然放電量も多いので、放電と充電を行い満充電にしておく。
バッテリーを長持ちさせるためにはある程度手をかけて世話をしてやる必要があり、やや面倒な物だと思われる方もいるかもしれない。しかし電動ガンのパワーソースとしてバッテリーは無くてはならない存在だ。バッテリーコンディションによっては電動ガン自体の性能低下を招くこともあるので、正しい知識を身に付け適切に取り扱うことが大事だ。
免責事項
ニッケル水素バッテリー、リチウムポリマーバッテリーは使用方法を誤ると液漏れ、発火、破裂及び火傷や物への変形、引火の原因となる事があります。火災、死亡事故に至る危険性を持つことを十分に理解して慎重にお使いください。また、本記事はハイテック・マルチプレックス・ジャパン様の監修を受け、注意を払ったうえで作成を行っておりますが、バッテリーという科学的性質を持つ物体を取り扱う以上、絶対に安全という保証は致しかねます。よって本記事を参考に行われた如何なる行為におかれましても株式会社ハイテック・マルチプレックス・ジャパン様と株式会社ホビージャパン及びアームズマガジン編集部、ライター当人は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
監修 Hitec Multiplex Japan(ハイテック・マルチプレックス・ジャパン)
TEXT 津軽太郎