エアガン

2021/08/24

東京マルイ「コンパクトキャリーガスガンLCP&ボディガード380」【毛野ブースカの今月の1挺!】

 

 「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今回は東京マルイのコンパクトキャリーガスガン『LCP』と『ボディガード380』だ。

 

前回の「今月の一挺」はコチラ

 


 

 

 東京マルイから発売されたコンパクトキャリーガスガンシリーズはLCP、ボディガード380は発売以来人気が衰えることがない。コンパクトとは思えない優れた実射性能の高さや外観のリアルさもさることながら、小さくて愛くるしいデザインとサイズに心を惹かれている方も多いはず。かくいう筆者も発売を楽しみにしていて、LCP、ボディガード380はともに発売と同時に購入した。
 

 

東京マルイのコンパクトキャリーガスガンLCP。アメリカのルガー(Ruger)のLCPをモチーフにしており、LCPは「ライトウエイト・コンパクト・ピストル」の略称。実銃の口径は.380ACP、装弾数は6発。グラスナイロン製フレームにスチール製スライドのコンビネーション。作動方式はダブルアクションオンリー。ちなみにルガーP08のルガー(Luger)とLCPのメーカーであるルガーはまったくが関係ない

 

 今回、LCP、ボディガード380ともに「コンパクトキャリーガスガン」という新たなカテゴリー名で発売されている。現在、実銃ではコンパクトサイズにカテゴライズされるハンドガンは「コンパクト」「サブコンパクト」「マイクロコンパクト」「マイクロ」の4つにクラス分けされている。東京マルイのLCPとボディガード380はマイクロクラスに属している。マイクロクラスは通称「ベスト(=vest)ポケットピストル」と呼ばれるコルト25やブローニングベビーよりも大きく、同じ口径のワルサーPPK/SやP230、モーゼルHSc、ブローニングM1910、コルト380オートなどよりもやや小さい。まさに今風なサイズなのだ。

 

東京マルイのコンパクトキャリーガスガン・ボディガード380。スミス&ウェッソンのM&Pボディガード380をモチーフにしており、同社のフルサイズオートマチックピストルであるM&P9をダウンサイジングしたかのようなデザインが特徴。実銃の口径は.380ACP、装弾数は6発。作動方式はダブルアクションオンリー。ステンレス製スライドとポリマー製フレームのコンビネーション。実銃ではフレーム前部にクリムゾントレースのレーザーサイトがインストールされているのだが、東京マルイはダミーとなっている。LCPとはマイクロクラスのライバル同士だ

 

 マイクロクラスのコンパクトハンドガンをエアガン化する場合、問題となるのがその小さいサイズだ。エアコッキング式だとシリンダーやピストンが小さくならざるを得ないため充分なエア容量を得ることができない。ガスブローバック式ではスライド内にブローバックエンジンを搭載するのが難しく、搭載できたとしても小さいマガジンでは安定した作動を得るだけのガス容量を確保するのは厳しい。電動式は存在しないものの、小さなフレーム内にメカボックスやバッテリーを組み込むのは、技術的なブレイクスルーが起きない限り無理だろう。そうなるとガス容量が少なくても充分な初速や命中精度が確保でき、メカニズム的にもシンプルでコンパクトにできる固定スライドガス式は選択肢としては妥当だ。
 こうしたサイズ上の制約もあってか、マイクロクラスのコンパクトハンドガンは、ボディガード380が他社からエアコッキングガンとして製品化されているものの、LCPは製品化されることはなかった。そういった意味で東京マルイのLCPは非常に貴重な存在であり、トイガン化を待ち望んていた方も多いはずだ。

 

マガジンを並べたところ。左がLCP、右がボディガード380。ダイキャスト製マガジン本体部分は共通でマガジンバンパーのみ機種にあわせたものが付属している。装弾数は10発

 

 固定スライドガス式のメカニズムは、トリガーと連動したハンマーがガス放出バルブを叩いてガスを放出する。基本的にトリガーはダブルアクションで、ハンマーが露出しているものは1発ずつハンマーをコックしてシングルアクションでも撃てる。チャンバーへのBB弾の装填方法によって2種類に分類できる。ひとつはトリガーを引くと同時にインナーバレルが後退し、マガジン内のBB弾をラバーチャンバーに装填するもの。もうひとつはインナーバレルは固定されており、トリガーと連動したプレートがマガジンに設けられたノズルを前進、ラバーチャンバーにBB弾を送り込むというもの。LCPとボディガード380は後者を選択している。両方式ともにトリガーと連動したハンマーがガス放出バルブを叩いてガスを放出する。基本的にトリガーはダブルアクションで、ハンマーが露出しているものは1発ずつハンマーをコックしてシングルアクションでも撃てる。
 

LCP、ボディガード380ともにスライドを固定しているネジを外せば簡単にスライドが取り外せる。構造そのものはシンプルだ

 

 LCPとボディガード380は共通のプラットフォーム(システムベース)をもとに、それぞれの外装をまとっている。なのでトリガーやハンマーのメカニズム、インナーバレル周辺、マガジン本体は共通だ。インナーバレル長は66mm、ホップアップは固定式。スライドを外す必要はあるがホップアームをスライドさせることでホップアップのかかり具合を微調整できる。スライド固定ガス式ならではの初速の安定性とあいまって短いインナーバレルとは思えないほどよく当たり、よく飛ぶ。そして作動音、発射音も静か。実射した際の派手さはないもののエアガンとしての実用性は充分すぎるくらい。装弾数は10発と少ないが、このクラスとしては妥当だろう。
 

フレーム左側に露出しているトリガーの動きと連動したローディングプレートによってマガジン上部に設けられたノズルを前に押し出してラバーチャンバーにBB弾を送り込む。メカニズムそのものは古典的なものだ

 

 メジャーなオートマチックピストルに比べてホルスターのラインアップは少なく入手が難しいが、東京マルイから純正ホルスターとマガジンポーチが発売されており、ホルスターに入れて遊びたい方にはうれしい。個人的にはマガジンポーチを単体で販売してほしいのだが…。

 このクラスのハンドガンをサバゲーにおいてガチで使うには勇気がいるが、ワンメイク戦をやったら面白いかもしれない。命中精度が高いのでシューティングマッチにコンシールドキャリー部門で出場するシューターが出てくるかもしれない。アイデア次第ではかなり遊べそうだ。私もそろそろLCPとボディガード380を使って遊ぼう。

 

フレーム内部を左斜め上から見たところ。インナーバレル、ローディングプレート、マガジン、インナーハンマーの位置関係がわかる。コンパクトなボディにメカニズムが凝縮されている

 

マガジンを外してフレーム内部を右斜め上から見たところ。フレーム後部にある三角形状のパーツがインナーハンマー。ラバーチャンバーの上にホップアームがあり、前後にスライドさせることでホップのかかり具合を微調整できる

 

LCPとボディガード380が昨年の5月に発売された直後に購入したブレードテックのクリプトホルスター。インジェクションモールド(射出成型)されたポリマー樹脂製で、IWBタイプでアペンデックスポジションに装着する。リアルサイズのLCPとボディガード380がぴったり収まる

 

マイクロクラスという名にふさわしいちっちゃくてかわいいLCP。衣服などに引っ掛からないようにエッジが丸められた、いわゆるスナグフリーデザインを取り入れており、コンシールドキャリーを前提にした、今風のカタチをしたハンドガンだ

 

私が握ると小指が完全に余ってしまう。フィンガーレスト付きマガジンバンパーがないとツライ。グリップは意外と握りやすいが、正直、両手で撃つよりも片手で撃ったほうが撃ちやすい

 

今回、LCPやボディガード380同じ口径.380のマイクロクラスのスライド固定ガス式として1988年に発売されたヨネザワの「AMT 380バックアップ」にゲスト出演してもらった。実銃は映画『ターミネーター』で有名なハードボーラーロングスライドを作ったAMTによるもので、コルト25オートのような外観が特徴だ。当時の価格は1,980円。左側はカッコいいが、右側はトリガーが窪んでいたり、固定用のネジが露出していたりとちょっと残念な仕様

 

作動方式はダブルアクションオンリーで、トリガーと連動してインナーバレルが後退してBB弾をラバーチャンバーに送り込むタイプ。トリガーを引くとプラスチック製のインナーバレルが後退しているのがわかるだろうか

 

グリップとマガジンバンパーはスモーククリアの樹脂製。マニュアルセーフティはトリガー近くまで延ばされており、トリガーバーを直接ロックする

 

マガジンはいわゆる割り箸型。装弾数は6発。マガジンキャッチはフレーム下部にあるヨーロピアンタイプ。ガスタンクはフレーム内に設けられている

 

まさに手のひらサイズのAMTバックアップ。スプリング以外はインナーバレル、ガスタンクも含めて樹脂製。そのため重さは110gしかない。今見ると非常にチープだが、手にすると愛くるしくて、ついつい空撃ちして遊びたくなる

 

東京マルイのLCP、ボディガード380とAMT 380バックアップを並べたところ。30年以上前に作られたものとはいえ、まさに隔世の感がある

 

 

 

[プロフィール]

 

アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴36年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで25年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。

 

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