エアガン

2021/06/23

ハイキャパ5.1を塗装する【東京マルイ】

 

 ハンドガンにおいてもいわゆるデザートカラーは一定の需要があり、グロックやSIG SAUERなどのメーカーもしっかりバリエーション展開している。そこで、不動の人気を誇る東京マルイ「ハイキャパ5.1」にもぜひデザートカラー版が欲しくなり、製品がないのなら作ってしまおう、ということで塗装してみることにした。今回はその様子をご紹介しよう。

 

ハイキャパ5.1の分解方法はこちら

 

 


 

ベースガン

 

 

  • 全長:220mm
  • 重量:894g
  • 装弾数:31発
  • 価格:税込¥16,280

 

 

 ベースガンは東京マルイ「ハイキャパ5.1 ガバメントモデル」。デザートカラーは単調になりがちなので、メリハリを出すためFN SCARなどの配色を参考に3種類のデザートカラーを用いて塗装仕上げを目指す。

 


 

塗装工程を確認

 

 パーツごとに塗装すると作業性がいいので、ハイキャパは分解し塗装するパーツを取り分けて洗浄する。塗装しないパーツは紛失しないように保管しておこう。
 なお、今回は分かりやすくするためパーツごとに作業過程を解説しているが、実際には各パーツとも並行して下地処理、塗装を行なった。例えば同じ塗料を使うパーツはなるべく同じ段階で塗装し、塗装し乾燥させている間に別の作業をするなど、工程を整理すると効率がいい。

 

塗装面に油分が残っていると塗膜が剥がれやすくなるので、塗装するパーツは中性洗剤で表面の油分を除去し、洗剤分を水ですすいでよく乾燥させておこう

 


 

スライドの下地処理と塗装

 

  • 平面出し

 

 製品のスライドはツヤ消し塗装で分かりにくいが、側面および斜めにカットされた部分の表面を少しヤスリで削ってみると、樹脂成型品に見られるヒケ(へこみ)が出てくる。ヒケはツヤあり塗装では目立つので、表面をヤスリがけして平面を出すことに。

 

この作業にはヤスリスティック(ハードタイプ#400→#600)を使用。なお、ヒケが深い場合は瞬間接着剤で埋め、硬化させてから削り出すといい。ヒケが概ね消えたら、紙ヤスリ(#600)に当て木をして研磨する

 

  • 下地塗装

 

 平面出しが終わったら、塗料の食いつきをよくする下地塗装を行なう。

  • まずプライマーの染めQ「ミッチャクロンマルチ」(2回吹き付け)
  • 乾燥後にサーフェイサーのソフト99「ボデーペン プラサフ」(1回、吹きすぎ注意)

 塗装するパーツは、基本的にこの下地処理を行なっている。

 

 

 

サーフェイサーを吹いたところ、マズル部分にパーティングライン(成型時にできる金型の分割線)が見つかったので、ヤスリやセラミックブレードで削り落とす。サーフェイサーの塗膜が剥がれた分はもう一度軽く吹いておいた

 

  • 本塗装

 

  • ガイアノーツ「ガイアカラー ライトカーキ」
  • GSIクレオス「Mr.カラー オレンジ」

 の2種類の塗料で調色し、エアブラシでスライドを塗装。発色するまで塗装→乾燥を繰り返し塗り重ねる。開口部や下側などを塗り忘れないように注意しよう。

  • ホルツ「カーペイント クリア」で乾燥後にクリアーコート(2回)

 その後、布で軽く磨いてツヤ出ししよう

 

 

 


 

バレル周りの塗装

 

  • 下処理&下地塗装

 

メッキ仕上げのアウターバレルは、パーティングラインの段差があるのでヤスリで削って修正。今回はそのまま削ったが、リムーバーなどでメッキを落とすとより作業しやすい

 

削った後、確認のためサーフェイサーを吹いたら、処理した部分が目立ったので、瞬間接着剤を盛り付けて硬化後ヤスリがけして均すことに

 

アウターバレルは円柱状なので、ヤスリで削る際は平らな面を作らないよう、表面の曲率に合わせて削り出すようにするといい

 

  • 本塗装

 

アウターバレルの削った部分にサーフェイサーを吹いたら、ガンショップ・インディのスプレー塗料「コヨーテブラウン」で塗装。しっかり発色するまで塗り重ねる。「カーペイント クリア」でコートし乾燥後、布で軽く磨いた

 

インナーバレルの先端を目立たなくするため、下地にプライマーのみ吹いてから塗装した。ここは黒が一般的だが、今回はアウターと同色で塗装

 

 


 

シャーシなどの塗装

 

亜鉛ダイキャスト製のシャーシやグリップセーフティも下地はプライマーのみ。こちらも「コヨーテブラウン」で塗装した。スライドとの勘合部は、厚塗りすると動きが悪くなるので注意

 

リコイルスプリングガイドとハンマーはスポンジヤスリなどで足付け(表面を軽く削り塗料の定着をよくする)を行なった後、プライマーを吹いてからガンショップ・インディ「ダークパーカー」で塗装

 

トリガーも同色で塗装した

 

 


 

グリップの塗装

 

 グリップ部分は下地塗装の後、GSIクレオス「Mr.カラーパンケーキブラウン」と「Mr.カラー つや消しホワイト」を調色し、エアブラシ塗装した。

 

 

滑り止めのシボ(でこぼこ)に塗り残しがないよう、角度を変えながら吹く

 

リコイルスプリングハウジングやグリップセーフティも、下地塗装してからグリップと同色でエアブラシ塗装する

 

実銃では金属の部分(スライドやバレルなど)と質感の差をつけるため、実銃ではポリマーのグリップはツヤ消し仕上げに。ここはガンショップ・インディ「クリアパーカー」でコートする

 

 


 

ネジの塗り分け

 

トリガーガード前側の六角ネジのモールド(ダミー)を、GSIクレオス「Mr.リトルアーモリーカラー アルマイトブラック」で筆塗りして塗り分け、アクセントに

 

さらに別パーツ感を出すため、タミヤ「スミ入れ塗料 ブラック」でスミ入れした

 

 


 

フロント/リアサイトを換装

 

 「ハイキャパ5.1 ハイブリッド トリチウムサイト」(税込¥9,680 問ライラクス)にフロント/リアサイトを交換。サイトが収まるアリ溝は塗膜でタイトになっているため、ハンマーやマイナスドライバー(先端をテープで覆って傷つけないように)を使い、センターに収まるよう少しずつ叩き込んでいく。

 

 


 

細部の仕上げと組み立て

 

 ひと通り塗装仕上げしたハイキャパのパーツ群。分解とは逆の手順で組み上げていこう。塗膜のせいでスムーズに可動しない場合は、摺れる部分の塗膜を少しずつヤスリで削り、様子を見ながら調整しよう。

 

 


 

完成

 

 仕上げたパーツを組み上げたら、デザートカラーバージョンのハイキャパ5.1は完成だ。

 

 

アウターバレルとインナーバレルを同色で塗装することで、一体感が出ている

 

エジェクションポートから見えるアウターバレルがアクセントに

 

トリガーガードにモールドされたダミーの六角ネジは、塗り分けたことで別パーツのように見える

 

 塗装は若干ハードルは高いものの、自分の好みカラーリングや、他の人とは違うものが欲しい場合の一手段だ。今回使用した塗料はセラコートのような強度はないが、使ってエッジが剥がれていくのも「味」になる。ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか?

 

 

塗装・解説/國谷忠伸

作例監修・分解組立/毛野ブースカ

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年6月号 P.64~69より加筆・再編集したものです。

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