2021/05/12
【七転八起カスタム】パーツ交換で電動ライフルの性能を向上させよう!!
インナーバレルとチャンバーパッキンを交換しよう!!
アームズマガジン編集部の若手編集員が試行錯誤しながらカスタムする企画「七転八起カスタム」。今回は前回分解したG&Gアーマメントの「CM16 DST」のインナーバレルとチャンバーパッキンを交換し、組み立ての解説を行っていく。
パーツ比較
作業に入る前に、取り外した部品とこれから組み込む部品を観察し、比較してみよう。前編でも述べた通り、どういった作りをしているか、どんな部品で構成されているのかをよく見ておくと、分解と組み立て工程の理解度が高まるうえに、技術力向上の助けにもなり、失敗を予防することができる。
チャンバーパッキン
ゴムの硬度はBB弾の保持と回転に大きな影響を与えるものだ。注意していただきたいポイントなのだが、チャンバーパッキンは硬~柔で優劣が決まるものではなく、BB弾の重さによって適応する硬度が異なるだけという点だ。
たとえば硬いものは0.25gや0.28gといった重量弾に適した特性を持っており、柔らかいものは0.20gのBB弾に適している。この特性を理解しておくと、ホップパッキンの選びの助けになるだろう。
ひと昔前のことだが、海外基準のパワーに合うように海外製電動ガンには硬めのチャンバーパッキンが用いられていた。そのため、日本に輸入する際に行う初速調整によってトータルバランスのズレが発生し、本来の性能を出し切れないものもあった。近年ではきちんとバランスを調整した日本仕様の海外製電動ガンも発売されている。
今回は使用する東京マルイのパーフェクトヒット バイオBB 0.2gに適した東京マルイの純正パーツを組み込んでいく。
交換方法
グリスを薄く塗る
まずは新しく取り付けるチャンバーパッキンの外側にシリコングリスを薄く塗っていく。パッキンの内側にグリスを塗ってはいけない。誤って塗ってしまったら、拭き取っておこう。これはゴムを馴染ませるために行なう。シリコングリスがなければ、シリコンオイルスプレーでも代用可能だ。また、パッキン内部に少量の油分が入り込んでも、組み上げた後にBB弾を百発ほど発射すれば、弾と共に油分が飛んで弾道が安定するようになる。
インナーバレルを組み立てる
シリコングリスを薄く塗ったチャンバーパッキンをインナーバレルに取り付ける。バレル下部に彫り込まれた溝とパッキン内部の突起を合わせてスライドし、最後までしっかりと押し込む。
前編でも解説したように、インナーバレルの溝とチャンバーパッキンの突起は位置決めのために作られている。凹凸をしっかり合わせて組まないと、実射した際に弾があらぬ方向に飛んでいくことになってしまう。
続いてテンションアームを組み上げていく。東京マルイ純正チャンバーパッキンには新品のクッションゴムが付属している。劣化が見られない場合は古いものを使い続けてもよいが、少しでも劣化していれば交換をオススメする。スプリングとクッションゴムが取り付けにくいのなら、少量のシリコングリスを塗って固定してもよい。
写真を参考にして、チャンバーボディ上部よりホップアーム一式を組み込む。スプリングが付いている方を銃口側(前方)に向けるのが正しい位置となる。
▶七転八起ポイント
・スターロックワッシャーの固定のコツ
スターロックワッシャーの内歯が支柱を噛みこんで固定する構造になっている。取り付けにはややコツがあり、ワッシャーの中心部と支柱を合わせて、ワッシャーの両端を指で押し込むと上手くいく。
▶七転八起ポイント
・ねじ止めのコツ
ねじ止めの際は調整ダイヤルを少しばかり押し込んでやると歯車の歯が噛み合いやすい。ネジは完全には締めこめない構造となっており、空回りをするようになる。手ごたえが変わったあたりで締め込みをやめよう。
チャンバーパッキンの位置確認
これにてチャンバー&インナーバレルの組み立ては完了だ。しっかりと作動するか、ホップアップ調整ダイヤルを動かながら、チャンバー内部を覗いてみよう。
ダイヤルをアップ方向に回し、チャンバーパッキンの突起が徐々にせり出してくるのなら正常な作動状態だ。ダイヤルを回しても変化がない、最初から突起がせり出している、突起の位置がズレているといった場合は、ギアの噛み合いやチャンバーパッキンの取り付け位置を再確認する。
レシーバーを結合
▶七転八起ポイント
・前方配線の電動ガンで注意すべき点
レシーバー組み立ての際に起こりやすいのが配線の噛み込みだ。下記の写真のようになってしまった場合、レシーバーを動かして配線を逃がそう。レシーバー内側面には配線を逃がす窪みが作られているものもあるので、配線の流れをよく観察する。
観察と実射テスト
それでは、ノーマルとカスタム状態の実射データを比較していこう。
今回は無風状態の室内で20mの距離から10発づつ射撃し、検証を行った。
ノーマル状態
- ノーマル時のチャンバー内部
- 実射データ(ノーマル)
- 平均初速:83.4m/s(0.70J)
- 集弾性:90mm(20m)
※東京マルイ製0.20gバイオ弾を使用
インナーバレル&ホップアップパッキン交換後
- チャンバー内部
- 実射データ(カスタム)
- 平均初速:84.6m/s(0.71J)
- 集弾性:75mm(20m)
※東京マルイ製0.20gバイオ弾を使用
実射データを比較すると、カスタムによる性能変化は顕著に表れたといえる結果になった。インナーバレルとチャンバーパッキンを交換したことで、気密性が高まり、初速も僅かに上がっている。弾道もノビのある素直なものに変化しており、照準通りに弾が飛んでいくので、射撃時のストレスも感じない。
今回はチャンバーパッキンとインナーバレルを交換するだけという、気軽に行えるカスタムを紹介した。メカボックスに手を加えずとも、これだけの性能を引き出せるので、カスタム入門としてちょうどいい作業ではないだろうか。
▶七転八起ポイント
- 今回のカスタムを最大限に活かすために
カスタムによりCM16の集弾性は飛躍的な進歩を遂げた。しかし、この性能を100%発揮するには高品質なBB弾を使用する必要がある。タイトバレルの内径は6.03mmと純正品より小さくなっており、製造公差が大きいBB弾だと詰まってしまうことがあるのだ。
月刊アームズマガジン2021年5月号ではBB弾の特集記事を掲載している。現在市場に出回る国産・海外メーカー製のBB弾を集め、徹底検証を行った。銃の精度を高めるにはBB弾の選定が不可欠だ。ぜひ、月刊アームズマガジン5月号の特集記事をご覧いただきたい。