2021/01/14
【実銃】AR-15をカスタムしたスナイパーライフルとPCC
新進気鋭のガンメーカー「BLACK RAIN ORDNANCE」はさまざまなAR-15カスタムを生み出し、注目を集めている。今回はその中でもAR-15をカスタムすることで生み出したスナイパーライフルとピストル・キャリバー・カービンを紹介しよう。
※このレポートは月刊アームズマガジン2019年11月号に掲載されたものを再編集したものです
目次
ラインアップ
Fallout-10
Standard Issue .308
パーツ構成
- 削り出しレシーバー
- 18インチ・クロモリバレル
- 15インチ・ハイブリッドM-LOKハンドガード
- BRO-M30A .308サイレンサー
- ブラックナイトライド・ボルトキャリアーグループ
- GIタイプトリガー
- Luth-AR製MBA1ストック
- Accu-Tac製SR-5バイポッド
高精度を誇る.308プレシジョンライフル
AR系ライフルを語るとき、5.56mmと並んで代表的な口径が.308口径AR-10型だろう。「Fallout-10」は、同社の完成品ラインアップのなかで.308口径カスタムARの代表的モデルであり、高精度なセミオートマチック・ライフルだ。
警察特殊部隊では従来からのボルトアクション・ライフルに加えてAR-10タイプのセミオートマチック・ライフルを配備し、それらのコンビネーションによる狙撃任務遂行を計画している。頻発する銃乱射犯や、アーマーなどで武装した犯罪者などに対抗可能で、速やかな対処が可能な火器として求められているのであろう。ブラックレインのFallout-10 .308も、そうした流れのなかで考えることができるだろう。
この銃も前編で紹介したサイレント・キャプチャード・スプリングを内蔵している。そのため雑音もなく、また他の.308口径ライフルと比較してもリコイルがとてもマイルドであることに気付かされる。狙撃におけるセミオートマチック・ライフルの優位性は、その連射性にあり、一発目を発射後もサイティングのズレが少なければ、ただちに第二射へと繋げることができるだろう。同社が製造するクロモリバレルとブラックナイトライドBCGが内蔵され、高精度と高い信頼性を支えている。
Ion-9
Standard Issue SBR 9mm
パーツ構成
- 削り出しレシーバー(サイド・チャージング式)
- 8.75インチバレル
- 10インチ・スリムハンドガード
- KAK製フラッシュ-カン・マズルデバイス
- GIタイプトリガー
- Magpul製MOEグリップ
- SOPMODストック
9mm用新設計レシーバーを採用
近年注目されているのがAR-15を9mm拳銃弾口径したピストル・キャリバー・カービンであろう。ブラックレインでは9mm口径カスタムARとして「Ion-9」をラインアップしている。多数の民間人を含む都市戦闘環境を考えたとき、アサルトライフル弾の貫通力過剰は以前から課題であった。また、特殊な弾を使用するPDWは高価で地方の警察機関では適していない。近年は弾薬の改良なども進み、9mm弾が性能、コストパフォーマンスともに見直されたこともあって、アメリカ人にとって馴染み深いAR-15をベースとして9mm口径化、単純なストレートブローバックを採用したPCCが誕生したわけだ。
ブラックレインの「Ion-9」は、9mmPCCの流れのなかにあって、専用に設計された7075 T6アルミニウム製レシーバーを中心として高品質なパーツを多用したハイグレードモデルとして一線を画している。注目したいのはレシーバー左側面に設けられたチャージングハンドルだろう。ハンドルはボルトとは別パーツであり、ボルトに連動して前後に動くことは無いので、不注意で怪我をする心配はないだろう。また、マガジンは民間・法執行機関を問わず普及しているグロックのものを、そのまま流用できる点も大きなセールスポイントだ。
まとめ
さまざまなAR-15カスタムを生み出すガンメーカー「BLACK RAIN ORDNANCE」。どのライフルも完成度の高さが感じられる撃ちごたえと工夫を感じた。特にIon-9は小型で取り回しやすく確実な撃ちごたえで近年の9mmSMGと比較しても甲乙つけがたい。また、作動はすこぶる快調でジャムが無く、フォアグリップの過熱もわずかであったことからも、ブラックレインのレベルの高さを感じることができた。今後のブラックレインの発展に期待したい。
TEXT:笹川英夫
Special Thanks:
Mr. Clinton Caperton(Black Rain Ordnance)
Mr. Russell Burnside
この記事は月刊アームズマガジン2019年11月号 P.38~45より抜粋・再編集したものです。