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2020/12/17

カラシニコフAK-47の歴史【カラシニコフ博物館】

 

 AK-47自動小銃、通称、カラシニコフは世界中で最も知られたアサルトライフルの一つであろう。その開発者の名を関する「カラシニコフ」社は現在も新進気鋭の銃器を開発し、全世界の注目を集めている。

 では、そもそもAK-47はどういった経緯で誕生したのだろうか? 今回はその歴史に改めてスポットライトを当て、カラシニコフ博物館を舞台にその歴史についてレポートしていこう。

※このレポートは月刊アームズマガジン2020年5月号に掲載されたものを再編集したものです

 

 


 

カラシニコフAK-47の誕生

 

 戦車兵として第2次大戦に参加したカラシニコフ軍曹(当時)は、戦場で負傷し後送された病院で自動火器の設計に興味を持ったのが誕生の始まりだ。彼はわずか3 ヶ月あまりで最初の銃器を設計したという(この1番目のモデルは現存してないようだが、基本構造は2番目のものとごく近いものであったという)。彼の熱意に満ちた銃器設計に、軍当局は彼をモスクワ航空研究所のワークショップに移し、研究を続けさせた。そこで完成したのが、このサブマシンガンである。

 


 

カラシニコフ
試作サブマシンガンType.2

 

 

 1942から43年にカラシニコフ博士が生み出した独創的なサブマシンガンであり、ディレイド・ブローバック機構を備えているようだ。これはは軍によるテストを受けたが、既存のPPSh-41やPPSより複雑で高価であることが指摘され採用には至らなかった。しかし、技術面では一定の評価が与えられており、カラシニコフ自身にとっても銃器設計の学習と経験の機会を得られたことで、銃器デザイナーとしての基礎が築かれた時期の一挺と言えるだろう。

 


 

スダエフ
AS-44プロトタイプ(1944年モデル)

 

 

  • 口径 : 7.62mm×39
  • 重量 : 4.9kg

 

 1944年にアレクセイ・スダエフにより開発された試作アサルトライフル。ソ連のアサルトライフル開発史において重要なモデルである。1943年に採用された新型中口径弾薬7.62mm×39弾を使用し、限定的ながら生産されている。
 AS-44は、従来からのソ連銃器のデザインを踏襲しつつ、ドイツ軍のStG-44と同じティルトボルト式を採用していたが、最終プロトタイプではディレイド・ブローバックとなっている。射程や精度で既存のサブマシンガンを上回り、次世代の自動火器として高い評価を得たが、一方で重量が問題となった。改善が模索されるなか、1945年にスダエフは若くして病床に伏し、翌年に死亡する。このためAS-44の開発は中止してしまった。そこで、ソ連軍制式アサルトライフル第1世代のトライアルは1946年5月に開始されたのである。

 


 

カラシニコフ
AK-46

 

 

  • 口径:7.62mm×39
  • 重量:4.1kg
  • 有効射程:800m

 

 カラシニコフは、1945年よりデグチャレフ工場で試作アサルトライフルの設計を開始し、AK-46を生み出した。これがトライアルと参加し、ルカビシュニコフ、コロボフ、バルキン、デメンチェフらと競合することになったが、初期ののトライアルではバルキンとデメンチェフの案が支持され、カラシニコフ提出のAK-46は低い評価しか得られなかったという。だが、いくつかの改良を経て迎えた1946年12月の評価試験で、第2位の評価を得たAK-46は、さらなる試験のために選ばれている。

 AK-46はショートストローク方式であり、これはシモノフSKS小銃やSKSを参考にしたカラシニコフSKK試作小銃に近い。また、ボルトの閉鎖には2つのロッキングラグによるローラーロッキング式が採用されており、これはM1ガーランドよりヒントを得たとも言われている。

 このAK-46の開発を経て設計された銃こそが、AK-47である。

 


 

AK-47の誕生

 

 

 AK-47は1948年にトライアルを勝ち抜き、限定的な先行量産が開始された。軽量かつ耐久性に優れたアサルトライフルを目標に、ガスオペレーション+ロータリーボルトという堅実なメカニズムを採用している。その基本設計の優秀さは、70年を経た現在でも使用されて続けていることが証明している。

 


 

AK-47の改良型

AKMの誕生

 

 

  • 口径:7.62mm×39
  • 重量:3.4kg
  • 有効射程:1,000m

 

 AKMはAK-47の改良型として1959年に制式化された。AK-47 では諦めざるを得なかったプレス加工によるスタンプド・レシーバーが、技術力の向上によって復活している。また、最も知られている通りマズルの上部が斜めにカットされ、フルオート射撃時の安定性が大きく向上している。また、ロアハンドガードにリブ(突起)や、樹脂製グリップのチェッカリングなどが追加され、握りやすくなっている。

 ソ連工業力が頂点にあったと言われる70年代初頭に生産されたAKMは、ソ連時代におけるAKシリーズのなかでも最高の完成度を誇ると言われ、精度や耐久性の面で他の年代のモデルより優れていると言われている。

 

 こうして誕生したAK-47、そしてAKMはソ連軍に採用されたのち、信頼性を維持しつつより優れたグルーピングと生産性を求めて、イジェフスク機械製作工場(イズマッシュ)においてさまざまな次世代アサルトライフルの試作が行われた。

 次のレポートではその近代化への足跡を解説していこう。

 

ソ連のアサルトライフル近代化の足跡はこちら

 

Report:笹川英夫

Special thanks

  • Ms.Dilya Khaliullina
  • Mr.Anton Kislyakov

 


 

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この記事は月刊アームズマガジン2020年5月号 P.124~131より抜粋・再編集したものです。

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