2020/11/20
【前編】スナイパーライフルの魅力【RUGER PRECISION RIFLE “RPR”】
遠距離のターゲットを1発で仕留めることのできるスナイパーライフル。しかしそれなりの精度を持ったボルトアクションライフルと性能の高いスコープを揃えるとなると、最低でも5000ドル以上は覚悟する必要がある。そこで今回ご紹介するのは、ルガー ファイアアームズ社のライフル、RUGER PRECISION RIFLE “RPR”。
この高性能かつ画期的なスナイパーライフルを通じて、スナイパーライフルと長距離狙撃についてレポートしていこう。
※このレポートは月刊アームズマガジン2018年9月号に掲載されたものを再編集したものです
スナイパーライフルは高価
ロングレンジ スナイピングの魅力というのは奥が深い。
何せ、それなりのライフルとスキルさえあれば、1,000m先のターゲットにさえ必殺の一撃をお見舞いすることができるのだから、その醍醐味たるやもはや筆舌に尽くしがたいのである。
ただし、その醍醐味を味わうにはそれなりの投資も必要になってくる。精度の高いボルトアクションライフルは、ファクトリー製でも2,000ドル、カスタムなら軽く3,000ドルを超えてしまうし、それにあわせた高性能スコープも2000ドルから3000ドルは覚悟しなければならないというのが現実である。それもそうだ。1,000m先のシルエットターゲットに必中弾を送り込むには、最低でも1MOA、もしくはサブMOA(1MOA以下という意味)の精度が必要となってくる。
MOAとは
ご存知の方も多いと思うが、改めて説明しよう。
MOAというのは、ライフルの精度を数値で表す際に使われる単位で、1MOAは100ヤード(91.44m)先のターゲットに1インチ(2.54cm)内で集弾できる精度を持つ、という意味になる。つまり、1,000ヤード(914.4m)なら10インチ(25.4cm)に集弾できるということになる。
一般的なシルエットターゲットの幅は18インチ(45.7cm)なので、1MOA以内の精度を持っていれば1,000ヤードでのスナイピングでもヒットできる可能性は充分にあるということなのだ。
現実には、風や気温、湿度、光線の加減、角度、スコープの性能といった数々の要素が複雑に作用するため、ライフルの精度だけが重要ではないが、少なくとも基本中の基本は一定以上の精度を持ったライフルからスタートする必要がある。
HOG SADDLEを使ってのスナイピングは、現代スナイパーにとって必須のテクニックとなっている。このまま長い時間の待機も可能だし、ターゲットを見失うこともない。これもいいお値段がするのだが……
廉価にして高性能なライフル
RUGER PRECISION RIFLE “RPR”
- 口径: 6.5mm Creedmoor
- バレル長: 24インチ
- 装弾数: 10+1
- セーフティ:マニュアル
- 全長: 43.25インチ/46.75インチ(ストック伸縮時)
- 重さ: 10.8ポンド
どんなスナイパーライフルも4,000ドルや5,000ドルの値段。到底、手が届かない……そこに現れたのが、トラディショナルなハンティングライフルや.22口径セミオートライフル、リボルバー、セミオートピストルのメーカーとして手堅い人気を持っているルガーファイアアームズ社がリリースした「RUGER PRECISION RIFLE“RPR”」である。このモデルがリリースされたのは2015年のこと。その姿は幅広いバイヤーたちの度肝を抜いたといっても過言ではなかった。
- まったくの新設計レシーバー
- 新機軸が加えられたボルト
- ARスタイルのハンドガード
- フルアジャスタブルのフォールディングストック
という新デザインを投入した上に、1MOAを軽く達成できるという精度の高さを備えていたからだ。その上で2015年当時の価格はMSRPで、なんと驚きの1,399ドル。どの口径も1MOA以下の精度を持ったこのライフルは、発売後1年を待たずに長いウェイティングリストを持つ製品となった。
それではこのライフルの細部を紹介しつつ、スナイパーライフルは何故、長距離を精密に狙撃できるのかを解説していく。
Text & Photos: Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2018年9月号 P.68~75より抜粋・再編集したものです。