実銃

2020/12/13

【実銃】AK弾を使える最新アサルトライフル「CZ BREN 2」

 

 チェコのCZ BREN 2は、バランスと操作性においてトップクラスの性能を持つアサルトライフルである。この銃はチェコ軍で制式採用された5.56mm×45仕様がスタンダードだが、新たにAK用の7.62mm×39を使用するモデルもラインアップされ、なんとフランスの特殊部隊GIGNが採用しているのだ。今回はその銃をご紹介しよう。

 


 

CZ BREN 2 7.62mm×39 14"

 

CZ BREN 2 7.62mm×39 14"

  • 口 径:7.62mm×39
  • 全 長: 657mm(ストック折畳時)
  • 840-884mm(ストック展開時)
  • バレル長:357mm(14インチ)
  • 重 量:3,000g
  • 装弾数:30発

 

 イラク戦争やアフガン紛争などを経て、西側諸国が使用する5.56mm×45NATO弾の欠点(威力や射程の不足など)が露呈したことから、AK用の7.62mm×39や7.62mm×51NATOなど旧来の弾薬が再び注目された。そんな中で、.300ACC Blackout (7.62mm×35)といった新しいカートリッジも生まれている。これは確かに優れたものだが、使用銃がまだ少ないことから調達性が低く高価であるという欠点もある。
 そこで、AK用の7.62mm×39なら世界中で使用され安価なことから、これを使わない手はないということで西側諸国の銃器メーカーが自社のラインアップに組み込む動きもある。チェコのCZ BREN 2もその一つだ。

 フランスの軍・警察特殊部隊は装備の採用においては比較的柔軟で、国家憲兵隊の対テロ特殊部隊GIGNは上記の理由と信頼性の高さから、BREN 2 7.62mm×39を採用したのである。

 

CZ BREN 2 7.62mm×39 14"

ピカティニーレールはアッパーレシーバーの4面に配置

 

CZ BREN 2 7.62mm×39 14"

ボルトリリース、マガジンキャッチ、セレクターなど操作系はすべてアンビになっている
 

CZ BREN 2 7.62mm×39 14"

テイクダウンして、ロアレシーバーの内部を見る。マガジンハウジングの後方にはトリガーユニットが配置されている

 

BREN 2でようやく完成形に

 

 CZUBは1992年の民営化以降、旧来のVz 58の後継アサルトライフルとしてCZ 805 BRENを開発し、2011年にチェコ軍に制式採用された。ほぼ同時にスコーピオン EVO 3も発表され、新生CZのイメージアップに寄与した。ところが2015年には早くもチェコ軍の要求から、CZ 805 BRENの改良型であるBREN 2が制式採用されたのである。それまでにBRENはかなりの数が納入されていたはずだが、それらもすべてBREN 2に置き換えており、おそらく費用面で高くついたはずで気になる。CZUBの公式見解は「軍の要請によるもの」だが、「BRENに致命的な欠陥があった」という関係者の話を聞いたこともある。その真相とは…。

 ともあれ、BREN 2はかなり優れたアサルトライフルである。BRENに比べ500g近い軽量化を果たし、コッキングハンドルはボルトから独立したタイプに、さらにストックも改良されるなど正常進化を遂げている。リコイルもしっかり抑えられていて、非常にコントロールしやすいのもいい。

 

CZ BREN 2 7.62mm×39 14"

ストックを折り畳んだ状態でもエジェクションポートは塞がれず、射撃可能

 

CZ BREN 2 7.62mm×39 14"

フォールディングストックはエルゴノミックデザインがなされ、頬付けしやすい。テレスコピック機能もあり、前後長を調整できる。ラバーバットプレートは衝撃吸収構造で、リコイルの抑制に一役買っている

 

 BREN 2はチェコ軍をはじめハンガリー軍でも採用され、同国でライセンス生産されている。HK416ほどメジャーではないものの、まずまずの成功作と評価でき、バリエーション展開もなされている。後編ではそのバリエーションと共に、実射してその感触をレポートしよう。

 

「CZ BREN 2」の実射レポートはこちら

 

TEXT & Photos: 櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)

Special Thanks to CZUB
https://www.czub.cz/

 


 

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この記事は月刊アームズマガジン2021年1月号 P.126~133より抜粋・再編集したものです。

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