2020/11/15
【実銃】オープンボルトSMG「UZI」「PM-63」とは
今から半世紀ほど前、東西冷戦期に生まれた2挺のS M G……イスラエルのUZIとポーランドのPM-63は、オープンボルト方式を採用しシルエットもなんとなく似ているが、それぞれ異なる個性を放つ。今回、この2挺を用意できたので比較レポートしよう。
IMI UZI
- 口 径:9mm×19
- 全 長:470mm/650mm(ストック伸張時)
- バレル長:264mm
- 重 量:3.8kg
- 装弾数:20/25/32/40/50発
UZIは第二次大戦後に建国されたばかりのイスラエルで、同国初の国産兵器として1950年に開発された。レシーバー周りやストックなどにプレス加工のパーツを多用して生産性が高められているのが特徴で、オープンボルト方式を採用。シンプルブローバックで、拳銃弾としては比較的威力がある9mm×19パラベラムを使用する。それゆえボルトも大きめで重量があり、発射サイクルも遅め。ボルトはマズルジャンプ抑制などの意味合いから前方に配置され、レシーバー内のバレルを覆い囲むようなデザインとして、バレル長を確保しつつ全長は抑えられている。
銃本体はコンパクトながら重量は約3.8kgとアサルトライフル並みだが、それゆえリコイルが抑えられ発射速度の遅さと相まってフルオートでのコントロールがしやすい長所がある。信頼性が高く扱いやすいこともあって、世界各国の軍や法執行機関で採用。バリエーションも多く、現在でも製造が続けられている息の長いSMGである。
グリップ後部にはグリップセーフティ、側面にはマガジンキャッチがある。左手でマガジンを掴みつつ親指でマガジンキャッチを操作すると、素早く抜くことができる
フィールドストリッピングも簡単。上からマガジン、レシーバーカバー、ボルト、バレルリテイニングナット、バレル、本体(レシーバー)。抜き出したバレルは意外と長く感じられる。ボルトはバレルに覆い被さるようなデザインで、コンパクトさと良好な重量バランスに寄与している
PM-63 RAK
- 口 径:9mm×18マカロフ
- 全 長:333mm/583mm(ストック伸張時)
- バレル長:152mm
- 重 量:1.6kg
- 装弾数:15/25発
PM-63は東欧ポーランドで、いわゆるPDW(Personal Defense Weapon)として1960年代に開発された。各部に手間のかかる削り出し加工を採用するなど、プレス加工を多用したUZIとは対照的な面もある。SMGの一種ではあるが、一般的なSMGのようにボルトを内蔵せず、オートピストルのようにスライド全体が動くことから、マシンピストルと呼ぶほうがしっくりくる。こちらもオープンボルト方式で、スライドをコッキングし後退した位置でホールドされ、射撃可能状態となる。
使用弾は、上記の9mmパラベラムよりは威力は小さいが、スチールコアを内蔵し貫通力の高い9mm×18マカロフで、リコイルが比較的マイルド。折畳式のストックとフォアグリップを備え、畳んだ状態ではピストルのようにコンパクトで、展開すれば安定した射撃ができる。トリガーを軽く引くとセミオート、一杯に引くとフルオート射撃ができる。
上側がカットされレシーバー前部からはみ出したマズル部は、発射ガスを上方に逸らしマズルジャンプを抑えるコンペンセイターに近い機能を持つ。また、このマズル部を壁など硬いところに押し当てるとスライドが後退し片手でコッキングすることもできる。そのため、近接戦闘などで相手を突き刺す、といった用途には使えない
マガジンキャッチはグリップの下(赤枠部)にある。マガジンを引き抜きやすくするため、マガジンボディの前方下端にベロ(青枠部)が付いている
2つのSMGはどちらともオープンボルト方式であり、後のSMG開発にも大きな影響を与えた。後編のレポートでは実射を行ない、その両銃の魅力を体感していく。ぜひご覧いただければ幸いだ。
この記事は月刊アームズマガジン2020年12月号 P.120~127より抜粋・再編集したものです。