エアガン

2020/12/15

【実射】9mmリボルバー「S&W M940」の実力とは

 

 9mmパラベラムを撃つことができるリボルバー「S&W M940」は1991年から8年間のみ製造された異色のスナブノーズリボルバーだ。ポケットやレッグホルスターにも収まり、メインのサイドアームである9mmピストルと口径を共有できるこのリボルバーは、バックアップガンに最適といえる。今回はこの銃と共にポケットキャリーに最適な銃を実射し、比較レポートする。

 

S&W M940に関する詳細はこちら

 


 

S&W M940

上からSIG SAUER P365、S&W M640、S&W M940

 

 今回の実射は、ゲストとして同じJフレームの.38Spl口径 M640とお気に入りのマイクロコンパクトSIG SAUER P365を迎え、9mm vs. .38 Spl vs. セミオートという3本立てで、その精度や威力テストを行なってみた。

 使用する9mmアモは、ポリスのデューティアモとして広く使われているSpeerのGold Dot G2147グレインと、同じく制式採用の多いFederal 147グレイン HST、そして.38SplはFederalの158グレインJHPとした。

 はたして、それぞれどのような撃ち味を見せてくれるのだろうか?

 

リコイルの違い

 

 撃ってみると、M940のリコイルのキツさが露見した。弾頭の重さは、9mmが147グレイン、.38Splが158グレイン。一見すると.38Splの方がリコイルが強そうだが、実際にはプレッシャー(いわゆる腔圧と呼ばれるチャンバー内で瞬間的に上昇する圧力)が高い9mm口径の方が銃口の跳ね上がりマズルライズが大きいのだ。元々今回のテストアモである147グレイン弾頭のカートリッジは、その威力なりにリコイルがキツイことでも知られている。

 

  • 【実射】S&W M940

 

S&W M940

9mm口径という先入観で撃つと、びっくりしてしまうほどのリコイルが襲ってくる

 

  • 【実射】S&W M640

 

S&W M640

.38Splのリコイルはマイルドで撃ちやすい

 

威力テスト

 

 そして威力テストとして、2リットルのソーダ3本を並べ、7ヤードの距離から9mm、.38Splで撃ってみた。結果は歴然としており、9mmで撃った方は、中央のボトルが2mほども弾き飛ばされるなど、その優れた威力を見せつけた感があった。.38Splの方も軽々と3本を貫通しているが、その泡の飛ばし方、ボトルの破裂具合など、9mmと比べるとやはりおとなしい結果だ。

 

  • 【実射】S&W M940

 

S&W M940

かなりの水勢だ。ボトルは2m以上も跳ね上がった

S&W M940

9mm 147グレインの破壊力。最後尾の1本を除き破裂している

 

  • 【実射】S&W M640

 

S&W M640

大きく泡が散っているが、その勢いはやや慎ましい

S&W M640

.38Splの方は、貫通はしているが、突き抜けた、という感じだ

 

 また、比較用に持ち込んだSIG SAUER P365ではあったが、これは双方を比べることに無理があるという結論に達した。M940と比較してみると、その理由がよく分かる。

 

  • 大きさ的にはほぼ同じ。
  • 厚みはシリンダーの分M940の方が分厚い。
  • 装弾数は10+1対5発。
  • フルロード時の重量は、645g(P365)対 693g(M940)。M940はフロントヘビーなので、より重く感じる
  • トリガーの引きやすさは、ダントツでP365に軍配。機構的に比べる次元にはないので、当たり前のことだが。

 

S&W M940

S&W M940とSIG SAUER P365を並べて撮ったもの。大きさはほぼ同じだが、M940の方が重く、装弾数は半分以下ということになる。どちらが優れているかは、実射して比較するまでもない

 

まとめ

 

 重さやトリガーの引きやすさ、リコイルを考えると、S&W M940は劣っているかもしれない。だが、唯一にして最重要のアドバンテージは、トリガーを引けば必ず発射できるという信頼性の高さである。

 最後の頼みの綱として、全幅の信頼がおける5発。これがM940の真骨頂だ。製造中止されてから20年以上たつM940だが、やはり身近に置いておきたい1挺なのだ。

 「月刊アームズマガジン1月号」ではこのS&W M940の詳細なレポートが記されている。精度テストの模様も多くの写真と共に解説したので、ぜひお手に取ってご覧いただければ幸いだ。

 

Text & Photos: Hiro Soga

 


 

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この記事は月刊アームズマガジン2021年1月号 P.110~117より抜粋・再編集したものです。

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