2020/11/01
ARROW ARMS「GLOCK1911 .45AUTO Ver.ガスブローバックガン」【毛野ブースカの今月の1挺!】
「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今月はARROW ARMSのガスブローバックガン『GLOCK1911 .45AUTO Ver.』をご紹介!
ガバメントモデルのクローン
かつてはガバメントモデルといえばコルト製だった。しかし、パテントが失効して以降、スプリングフィールドアーモリーやキンバー、AMTといったガンメーカーがガバメントモデルのクローンを市場に投入し、クオリティや実射性能などの高さ、バリエーションの豊富さで、コルトの独壇場だったガバメントモデルの市場を奪ってしまった。こうしたガバメントモデルのクローンの中でも話題になったのが、スミス&ウェッソンが発売したSW1911だった。スミス&ウェッソンお前もか…と発売当時は嘆きや揶揄する声が聞こえた。やがてコルトやスミス&ウェッソンと並ぶアメリカを代表するガンメーカーであるルガー(スタームルガー)もガバメントモデルのクローンを世に送り出した。誕生から100年以上経ってもガバメントモデルは特にアメリカ市場で人気があり、魅力的なオートマチックピストルであることが証明された。
ぱっと見では単なるガバメントカスタムのようだが、よく見るとロゴマークや刻印がグロックと同じという不思議なハンドガンだ
こうして実銃メーカーがこぞってガバメントモデルのクローンをリリースする中、数年前にネット上で流出した画像が話題になった。それはグロックのトレードマークが入ったガバメントモデルだった。マークや刻印に加えて、グリップまでマットブラックに仕上げられてブラックアウトされた外観は、まさにグロックを彷彿とさせるものだった。サイズ、口径違いだけでバリエーション展開されてきたグロックがついにガバメントモデルのクローンに手を出したのか、とネット上では騒然となった。しかし実際には存在せず、グロックがガバメントモデルを作ったらこうなるのかなと想像して巧妙に合成された画像、つまりジョークネタだったのだ。
グロックピストルをイメージしてロゴや銃の名称、生産国名が入れられたスライド左側。スライド前部にはリーフカットはなく、グロック34のようにストレートにカットされている
「GLOCK1911 .45AUTO Ver.」とは
ARROW ARMSから発売された「GLOCK1911 .45AUTO Ver.」は、このジョークネタにインスピレーションを受けて、グロックが作ったガバメントモデルをイメージしたARROW ARMSのオリジナルガスブローバックガンだ。一見すると実銃が存在しそうなほど外観に破綻がなく、違和感がまったくない。スタンダードな5インチモデルをベースに、樹脂製のスライドやフレーム、アウターバレル、バレルブッシング、リコイルスプリングプラグはマットブラック仕上げ。ここまではごく一般的なガバメントモデルのディテールやカラーリングだ。
仕様弾を表す刻印は.45ACP弾仕様をイメージしている
しかし、スライド側面に目を移すと一般的なガバメントモデルと様相が違う。この銃の最大の特徴は、グロックをイメージさせるロゴマークや仕様弾を示す刻印が施されていることだ。これはセンスの問題なのだが、ロゴマークや刻印がグロックを想わせるように絶妙に配置されている。ロゴマークや刻印がないと通常のガバメントカスタムなのだが、それらが施されるだけでイメージが一変する。加えて、通常だとスライド前部にリーフカットが入っているのだが、グロック34のようなストレートタイプにすることでグロックのイメージに近づけられている。
スライド右側にもグロックのロゴが入れられている
滑り止めのシボ加工が施されたロゴマーク入りのグリップもマットブラック仕上げ。ロングトリガーやアンビサムセーフティ、ビーバーテイルグリップセーフティ、デルタリングハンマー、マガジンウェルなどのカスタムパーツも抜かりなく装備されている。もちろんガスブローバックガンとしての機能も充実しており、単なるネタだけで終わっていない。
もともとガバメントモデルだからナンでもありなのだが、ここまでロゴマークや刻印、パーツの組み合わせが整っていると本物があってもおかしくはない。初回ロットのみ防水加工が施されたナイロン樹脂製ハードケースが標準装備されるとのこと。これだけでも充分に価値がある。ネタとしてだけではなく、ハンドガンが欲しい方にもお薦めしたいユニークな1挺だ。
ロングトリガーはノンホールタイプ。スライドストップ、マガジンキャッチはノーマルタイプ
リアサイトはカスタムガバメントの定番のノバックタイプがチョイスされている
中央にグロックのロゴが入ったマットブラック仕上げのグリップ。グリップスクリューはヘックスタイプ。メインスプリングハウジング一体型のマガジンウェル付き
防水加工が施されたナイロン樹脂製ハードケースが初回ロット限定で付属する
スピーディーでキレのあるブローバック。実射性能も安定しており、サバイバルゲームのサイドアームとして最適
[プロフィール]
アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴35年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで24年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。
Twitter:@keno_booska