2020/09/13
EULEN2019で出会ったSEKの猛者【サバゲースナップショット・番外編】
「月刊アームズマガジン」編集部でも指折りのギアフリーク、サバゲ野郎一番星の中のひとことsakayaが、取材先で出会ったサバゲ野郎を毎月紹介していく『サバゲースナップショット』。
今回も感染拡大を防ぐためなるべく取材を自粛しているから、過去に取材した分からのピックアップなんだ。写真は昨年のものなんだが、ちょいと男前なスタイリングを見つけたので、特別に紹介しようと思うんだ。
それが「EULEN2019」で出会ったFさんだぜ。EULENとは、European Law Enforcement Networkの略で、現代ヨーロッパの警察組織の装備をまとっての撮影会イベントの名前でもある。ポリスメンといえば、アメリカLEが人気だが、どっこい、ヨーロッパにも粋で鯔背なLE野郎がたくさんいるんだぜ!
Fさんが再現しているのは、ドイツ地方警察特別出動コマンド、通称SEKさ。いわゆるSWATのことだな。ドイツの特殊部隊といえば、連邦警察の誇る対テロ部隊GSG-9が有名だが、地方警察(州警察)のSEKも重武装でインパクトがあるんだよな。こちらのイメージは南バイエルン州の部隊なんだそうだ。
さて、
それじゃあギアを見ていこう。
被服の上下はUF PRO(スロベニアのギアメーカー)で、STRIKER XT GEN.2 COMBAT SHIRTと、STRIKER XT GEN.2 COMBAT PANTSを着用している。UF PROはヨーロッパメイドにこだわったギアメーカーで、欧州各国の軍や法執行機関に納品実績を持つ。特にドイツLEでは使用例のほとんどが同社の製品であり、米軍特殊部隊におけるCRYE PRECISIONを想像してもらえばわかりやすいだろう。特徴的な膝のデザインなど、動きやすさと安全面が見事に調和している。コイツはサバゲでも効果的に使えそうだぜ。
メインのアーマーだが、こいつはいわゆる官品のウクライナ製レプリカなんだ。多くの場合、官品は民間に流通していない。日本でもそうだよな。こういったショルダーアーマーやグローインプロテクターを見ると、「月刊アームズマガジン9月号」でオレが紹介したFirstSpearが米LEでは主流なんだが、同じ部位に装着するものでも、大陸が違えば設計思想が異なってくるのがおもしろいよな。
SEKのパッチはほとんど国内で流通していない。そこで、PVCパッチを除く布製パッチはすべてSEK装備仲間が刺繍屋さんにオーダーして一から作ったものだ。こういった仲間の繋がりってのもいいもんだよな。
このグローインプロテクターには、横長のユーティリティポーチ(ドイツ連邦軍、LE御用達のLindnerhof Taktikの製品)とダクトテープが装着されている。ダクトテープがぶらぶらしないように工夫されている点に注目だぜ!
それじゃあ細かいポイントに迫ってみよう。
オレが一等驚いたのは、目にカラコンを入れていることなんだ。いわゆるコスプレでは当然のことなのかもしれないが、ヨーロッパのLEを演じる上で、ここまでリスペクトを持っているということに素直にシャッポを脱ぐぜ。ただ装備を集めるだけでは至れない境地だよな。
また、このヘルメットバイザーはDEFENDER GEAR製のレプリカだ。カバーが帽体にのみ装着されているが、バイザー用のカバーもあるんだぜ。残念ながら、オレには国内での流通を見つけられなかった。すまねぇ。そして、ヘルメットカバーは一見マルチカムに見えるが、SEKが採用しているのはSlocamという珍しいスロベニアの迷彩で、生地を現地からの取寄せしているんだ。
お次はフロントのマグポーチに挿入された止血帯と、その横にあるX26テーザーガンだろう。しかもグリップ下部が予備カートリッジで延長されているタイプだ。こういった小物をどう配置するかでスタイリングの仕上がりが変わってくる。クロスドロウするために利き手と反対側に装着する例もある。勉強になるなぁ。
そしてSEKの肝ともいえるMP7だが、このバイザーヘルメットを被っていても使える、バイザー用ストック、FABディフェンス 実物 ARSストック H&K MP7対応は要チェックだぜ。このストックは、ヘルメットを被るLEをやるなら避けては通れないポイントなんだ。このイスラエル製ストックを国内で取り扱いしてくれるレプマートには感謝しかないぜ。このストックを個人輸入しなくてもいいだけで、重武装なLEを始めやすく感じられるはずさ。そして特に気になったのは、マガジンの長さなんだ。SEKではMP7のマガジンは30連を使用している。わざわざエアガンの40連マガジンを切断加工して短縮しているそうだ。これによりBB弾発射機能は失われるがSEKとしての説得力が増すって寸法さ。
さて、
そろそろ背中の装備を見ていこう!
ホルスターはなんと2挺分!
BLACKHAWK!のCQCと、SAFARILANDの6004という大盤振る舞いなんだぜ。セカンダリーの6004にはH&KのSFP9が挿入されている。バイエルン州の一般警察官にSFP9支給の決定を受けフライング気味に導入したが、保守的なSEKの隊員は以前からのグロック17を使い続けているそうだ。そしてギアキーパーには、ASPのカフカッターを下げている。プラスチックカフを切断するのに使う小物で、こういった装着方法も覚えておくといいよな。
最後にPETZLのグローブをぶら下げているITW タックリンクと、キッチリと畳まれたダンプポーチ、フラッシュバンポーチのフラップにも注目してみよう。向きやフラップの位置といった、おざなりになりそうな細かいところまで気を配る。ドイツ人のピシーッと決まったスタイリングを再現するには、やはり細部に気を配るのが重要なんだと気付かされるよな。米LEに比べると露出や情報も少ない欧州LEだが、極めていくとここまで見事な出来栄えになるんだな。オレもまだまだ精進が足りないなぁと自戒する日々だぜ!
さて、今年も12月5日(土)に「EULEN2020」が予定されているそうだ。見学だけでもOKらしいから、まずはEULEN2020で情報収集してみてくれよな!
『サバゲースナップショット』は毎月第2土曜or日曜に更新予定!
次回の更新もお楽しみに!
【プロフィール】
sakaya(酒屋)
かつてはサバゲ番長、現在はサバゲ野郎一番星のなかのひと。
アームズ編集部でも無類のナイロン好き。
業界で一等輝く一番星になる日を夢見て、西へ東へ。