2018/09/11
GLOCK WORLD 最新バージョン 「Gen5」の 特徴【2018年10月号掲載】
グロックのジェン5(Gen5/第5世代)シリーズは、2017年に発表されたグロックの最新モデルである。ジェン5はこれまでのグロックの良さを受け継ぎながら、FBIが彼らのエージェントが使用する次期サービスオートを選ぶためのコンペティションで提示した要項に沿う形で開発された。FBIは、これまで.40S&W弾を使用するグロック23及びグロック22を使用してきたが、近代的ホローポイント弾頭を持つ9mmパラベラム弾のほうが.40S&W弾よりも優れているという理由から、新たに採用する9mmサービスオートを探していた。彼らの要項は現在の法執行機関が求めるもっとも優れたサービスオートを明文化したものでもあり、ジェン5のグロックはG17M/G19MとしてFBIに制式採用され、米海兵隊の一部も同様に採用を開始した。ジェン5はまさに今もっとも優れたサービスオートであると言えるだろう。ジェン5化は今後すべてのグロックシリーズに行なわれていくはずだ。
写真右がジェン5。スライドの先端部分が丸められ、ホルスターに収めやすくなっている
フィンガーグルーブがなくなったジェン5のフロントストラップ。手のサイズが合えばフィンガーグルーブはグリップのコントロールの助けとなるが、合わない場合には正しいグリップを阻害する。フィンガーグルーブなしのフロントストラップは、FBIによる要項の1つに含まれていた
ジェン5での大きな変化がスライドストップのアンビ化である。左利きシューターにも対応するためのアンビ化もFBIの要項に含まれていた
写真下がジェン5のフレーム。アンビ化のためにスライドストップのデザインが変更され、破損の可能性が高かったスプリングが改良されている
最新のジェン5のみならず、冒頭でも述べたとおり、グロックは今、もっとも成功しているサービスオートだと言って差し支えがないだろう。今ではH&KのVP9、S&WのM&P、CZのP10C、スプリングフィールドのXDMなど、数多くのポリマーフレーム&ストライカーファイア方式を組み合わせたサービスオートが市場にあり、それぞれにグロックに勝る利点を持つものも多い。だが、先駆者であるグロックと比べると、これらグロック以外のサービスオートをすべて足した数よりも、グロックの生産数のほうが多いと推測されるからだ。グロックは、優れた基本設計とともに幅広いバリエーションを備え、価格は5万円程度。他社がグロックを追い抜こうと様々な新型モデルを生み出し、それぞれに優れた面を備えているが、総合的に見てグロックを超えられるものはまだ現れていないのが現状だといえる。
TEXT&PHOTO:SHIN
この記事は2018年10月号 P.56~61より抜粋・再編集したものです。