実銃

2020/03/19

USアーミーの放出実銃!SIG SAUER「M17」最新情報

昨年12月、SIG SAUERからUSアーミーに納入した制式ハンドガンM17のサープラス(軍の放出品)が限定数リリースされるという発表があった。コレクターやガン好きの間では、あらゆる思惑や憶測が飛び交い、なぜこんなに早くサープラスが発生したのかの懸念さえも話し合われている。運良く友人のひとりがこのサープラスM17を手に入れたので、さっそく借り出してレポートさせてもらった。

 

注目の軍放出品実銃 SIG SAUER「M17」の概要はコチラ

 


 

これがパッケージングだ。17連×1、21連×2のマガジンは新品だ。上の“CERTIFICATE OF AUTHENTICITY”というのは、由来証明書という意味だ。ここには写っていないが、スタンダードプレッシャーアモ用のやや弱リコイルスプリングとガイドロッドも同梱されている

 

SIGからの正式発表は以下のようなものであった。

 

●限定3,000挺の予定で、USアーミーに納入され、実際に訓練に使われ、海外の部

隊にも送られたM17をサープラスとしてリリースすることになった。

 

●これらすべてのサープラスは、すべて完全な状態であるが、実際に現場の手を経ているので、その状態には差異がある。支給番号が入って、使い込まれている個体もあれば、ホルスターに入っていただけで新品のような個体もある。

 

●これらのM17がSIGに戻され、サープラスとしてリリースされる背景には、ミリタリーがもともとの要求事項としていたコントロール類(トリガー、テイクダウンレバー、スライドリリース、セーフティレバー、バックプレート)のスペシャルカラー(コヨーテタン)を、新たな納入品からは一般パーツと同じブラックにすることを決めた、という契約変更が関わっている。SIGとしては、これまでに納入した分のパーツ交換をするよりも、初期型のものを回収して、新しいM17と交換するという方法を選んだ。

 

●よって今回の限定サープラスは、シリアルナンバー、スライドのマーキングやミリタリーパーツナンバー等は支給されたそのままであり、外観は手を入れないながらも、メンテナンスが必要な個体はSIGがオリジナルに戻してリリースすることになる。

 

●サープラスのリコイルスプリングは、ミリタリー用のより強力な弾薬(一般の+P仕様)に対応しているので、付属品としてスタンダードプレッシャー弾薬用のやや弱めスプリング/ガイドロッドを同梱してある。

 

 これらは新しくなった制式採用M17が展示してあったショットショーのSIGブースで、担当者に直接確認したので、間違いのない情報である。このほか、スライドの独特なPVDコーティングの色も微妙に変化しており、これもミリタリーから何らかの指示があったと思われる。

 

この特徴的なコヨーテタンフィニッシュが施されたテイクダウンレバー、トリガー、スライドリリース、マニュアルセーフティは、今後納入されるモデルからブラックフィニッシュに代わることが決まった

 

スライド内の比較。左がM17のものだ。軽量化の切削がされていないのでP320/M17にあるストライカー横のリアサイトプレイトを止めている2つのボルト穴がない。ストライカー/ファイアリングピンを抜き取ると大きなボルトが1本出てくる

 

 いずれにしろ、実際にミリタリーで支給され使用されたM17を手に入れることができるのだから、これほどうれしいことはない。パッケージングもミリタリーに納入されるものと同じで、17連マガジンが1本、21連マガジンが2本とSIG発行の“実物証明書”までが同梱されている。

 

なんとも黒く汚れたグリップは、迫力満点だ。ランヤードホールも傷だらけだ

 

【アームズマガジンウェブ編集部レビュー】

 契約に伴う仕様変更のために、SIGに戻されたM17を放出するとは、SIGもなかなか戦略的である。ミリタリー仕様としていた部分が民間用と共通とされるということは、この初期型M17には今後相当な価値が見込まれるだろう。歴史的価値もある1挺の実射シーンを、明日12時に公開予定だ。

 

 

TEXT&PHOTO:HIRO SOGA

編集部レビュー:アームズマガジンウェブ編集部

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2020年4月号 P.108-115より抜粋・再編集したものです。

 

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