2019/12/30
UZI 短機関銃 木製ストック【無可動実銃の魅力】
イスラエル初の国産兵器の開発経緯
イスラエルという国は中東において敗北を知らない屈強な国だ。第二次世界大戦後パレスチナに建国したイスラエルは、敵対するアラブ諸国から国土を防衛するため、大量の武器を必要とした。
世界中のユダヤ人からの援助で兵器を買い集める中で、チェコスロバキアとの繋がりができ、チェコ側から短機関銃ZK476の売り込みがあった。これを採用することになったが、直前でチェコが完全な社会主義国家となり、ソ連に同調してアラブ支援に回ったことで自体が一変する。
そこでイスラエルは、チェコが残していったサンプルのZK476をベースにUZIを自主開発することとした。
イスラエルで開発された最初の兵器で世界中にその名を轟かせたサブマシンガンであるが、その名を付けられた開発者のウジール・ガル氏は非常に謙虚な性格であり、武器の展示会などでも「ガル」としか名乗らず、「ウージー」の名は口にしなかったといわれている。
UZI 短機関銃 木製ストック付
(複数在庫品、#9679432)
- 全長:640mm
- 口径:9mm×19
- 装弾数:20/25/32発
- 価格:¥100,000
逆境から生まれたスーパーSMG
第一次中東戦争に勝利したイスラエルであったが、軍の内情は散々たる状態であった。世界中からかき集められた雑多な装備が溢れ、兵站や整備の面で問題を引き起こしていたのだ。そのため国内での兵器製造と兵器体系の整備が急務となり、国産第1号の銃器となったのがUZIだ。
上部カバーを外すと、全長を短縮することなくバレル長をかせぐためにボルトがバレルを包み込ませた構造が確認できる。レシーバー側面のリブは、レシーバーの強度を上げるためと、砂塵が侵入しても確実に作動させるための工夫でもあった
大型化されたバレルカラーは整備性が高く、過酷な環境でも確実に素早くバレル交換を行ない戦力の低下を防ぐ
マガジンハウジングも兼ねる垂直に近い角度のグリップには、後部にグリップセーフティも装備され、落下しても暴発が防げる
操作性を上げるために大型化されたコッキングハンドルはサイトピクチャーを確保するため王冠のような形状になった
最初期型から採用された木製ストックには2種類あり、上部が窪んでいるバージョンは後期型にあたる
建国当初の貧弱な工業力でも量産が可能なUZIのレシーバーは、製造コストを下げて製造しやすくすることを目的としており、口径はそれまでのステン短機関銃と同じ9mmが選ばれ、シンプルブローバックのオープンボルト方式が継承された。鉄板からのプレス形成の本体は円筒型レシーバーではなく、四角形の箱型レシーバーを採用し、L型構造ボルトが銃身を包むような設計をしている。マガジンはピストルグリップにハンドガンのように挿入する方式が取り入れられ、片手操作のバランスを向上させる目的があった。これは、兵力の劣るイスラエル軍が夜襲を掛ける際に、暗闇の中でのマガジン交換を容易にするためである。また当初は、劣勢の戦況での使用ができるように、銃剣の装着やライフルグレネードの発射まで想定されていた。
元々はチェコのZK476やVz23をコピーした即席兵器としてスタートしたが、戦争状態と実戦教訓を取り入れた独自開発にしたことでUZIは完成されたサブマシンガンとなり、21世紀になった現在でもその信頼性の高さから紛争地帯や第三国での運用が続けられるほど成功を収めている。
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TEXT:IRON SIGHT
撮影協力:東京サバゲパーク
この記事は月刊アームズマガジン2020年2月号 P.108~109より抜粋・再編集したものです。