2019/12/12
SIG SAUERの進化を辿る 〜P320-M17 vs P226R〜
世界でも有数な銃器メーカーであるSIG SAUER。実はアサルトライフルとハンドガンを製造するメーカーはSIG SAUERを含めて数社しかなく、その製品群は各メーカーの銃器開発に多大な影響を与えている。
ここでは「SIG SAUERの進化を辿る」と題して最新モデルとクラシックモデルとの比較を通してSIG SAUERの銃器の特徴を探ってみた。
P226はP220をベースとし、米陸軍によって1984年に行なわれた1911ガバメントモデルに次ぐ次期ピストルの選別を行なう「XM9サービスピストルトライアル」に向けて開発された。
P226シリーズもレール付きモデルやドットサイト装着が可能なモデルが登場し、現在でもバリエーション展開を続けており、P320シリーズと異なる魅力を持っている。
開発が行なわれた1970年代当時としては最新の製造技術を持ってデザインされており、特徴的であったのはマニュアルセーフティを持たず、コックされたハンマーを安全
に倒すためのデコッキングレバーを持つのみという当時としては大胆なデザインであった。
シングルアクションからダブルアクションへと戻すにはデコッキングレバーを操作する。P320シリーズに比べ、シューターは複数のトリガープル、そしてデコッキングレバーの正しい操作を学ぶ必要がある。
一方のP320は2014年に発売された最新モデルであり、ポリマー製グリップを持つ、ストライカーファイア・セミオートマチックピストル。幅広いバリエーションを展開しており、その中でもP320MHSはM17 (フルサイズ)、M18(キャリー)の米軍採用番号とともに配備されることになった。
P320-M17の特徴はモジュラリティ―にある。異なるサイズのスライド、グリップフレームを組み合わせることができ、さらに異なる口径へと変更することも可能だ。
どちらも9㎜パラベラム弾を使用するショートリコイル作動、ブローニングタイプロッキングシステムを持つコンバットハンドガンだ。大きく異なるのはフレームの材質と、そのトリガーメカニズムにある。
P320-M17はストライカーを使用したシングルアクショントリガーを持ち、シアをサムセーフティで固定することにより安全性を確保している。対してP226ではダブルアクション&シングルアクショントリガーを持ち、デコッキングメカニズムによってダブルアクションでの初弾での運用を行なうことで安全性を保っている。
【アームズマガジンウェブ編集部レビュー】
現代でも色褪せない魅力を放つP226と、最新のP320-M17。この二挺を並べると、ライフルと同じく時代の進化を感じさせる。ハンドガンでも柔軟に時代の要求に応えるのはもちろんだが、今もって進化を続けているP226の輝きもまた魅力的なのである。
Text&Photo:Shin
編集部レビュー:アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2020年1月号 P.48-51より抜粋・再編集したものです。