2026年2月号

2025/12/27

タナカ S&W M27 “The .357 Magnum” 4インチ 二ッケルフィニッシュ

S&Wは1979年にモデル27の3.5インチと5インチモデルの製造を終了し、これらを4インチに集約した。これは単なるコストダウンを目的としたものではなく、Nフレーム 357マグナムのポジションを再構築する意思があったのだと推測する。

 

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▲S&W 357マグナム 4インチリボルバーの最高峰として、S&Wはモデル27-2を1979年に再設定した。今回、タナカはそれを再現している。

 

 S&Wは1979年にモデル27-2の3.5インチバレルと5インチバレル仕様の生産を終了させ、4インチ仕様に集約させた。同時にモデル29-2の6.5インチバレルを6インチ仕様にするなど、大きな変化をこの年に実行している。このタイミングではダッシュナンバーの変更はおこなわれていない。
 なぜこのようなバレル長の変更が実施されたのだろうか。
 ひとことで言ってしまえば、それは“生産性の改善”が図られたということだ。バレル長の変更という部分だけを見ていると、どうしてそれで生産性が上るのか、と思えてしまうが、これはかなり大きな影響があることだと思われる。

 

▲カウンターボアード(リセスド)シリンダー
スイングアウトしたシリンダーが綺麗に映り込むミラーポリッシュドフレームもこのモデルの魅力だといえる。


 S&Wがモデル27の原型である“357 Magnum”を製品化したのが1935年のことだ。世界初の357マグナムリボルバーで、カスタムメイドのような受注スタイルを採用、発注者はバレル長を3.5インチから8.75インチまで、0.25インチ刻みに選択でき、且つサイト、トリガー、ハンマー、グリップも希望するデザインを選択することができた(選択肢はかなり限られていたと思うが)。
 そしてオーナーは自らの銃の仕様をS&Wの顧客台帳に登録する。それゆえこの銃は“Resistered Magnum”(登録済マグナム)とも呼ばれた。これは一種のオーナーズクラブのようなものだろう。
 しかし、この“0.25インチ刻みで選択可”というスタイルはメーカーにとってはかなり面倒な話だったようで、結局1939年にはこの販売スタイルをやめて、売れ線だったバレル長のみに集約した。
 その後、アメリカも第二次大戦に参戦、戦時生産体制下でモデル27の生産販売は中止になったが、戦後に再開、小改良を加えて生産が続き、1957年にナンバー制がスタート、“27”のモデルナンバーが振られた。

 

▲テーパードバレルのシェイプが魅力的だ。同時にフレームトップとバレルリブ上に刻まれたチェッカリングもモデル27だけの特徴となっている。


 S&Wがそんなモデル27の3.5インチモデルと5インチモデルの生産供給を1979年にやめたのは、徹底したコスト削減の一環だったと思われる。
 1970年代のS&Wが、バレルを原材料から加工していたのか、それともバレル専業メーカーからバレルをブランク材という形で購入していたのかは明らかにされていない。しかし、おそらくバレルブランク材として購入していたのだろうと推測する。その場合、購入形態にもよるが、3.5インチとか5インチという他機種で採用されていないバレル長にするには、少し長いバレルブランクから必要な長さに切って加工する必要がある。
 しかし、これを4インチとか6インチという汎用的なバレル長に集約させてしまえば、切り落とさなければならない無駄が省ける。そうすることによって、徹底的にコストダウンを図ったのではないだろうか。
 3.5インチはモデル27にとってある意味で象徴的なバレル長であった。それを4インチ化するのは、S&Wの社内でも、ある種の葛藤があったに違いない。もう46年も前のことではあるが…。

 

▲グルーブドトリガーとトリガーガードも絶妙なカーブを描いている。


 但し、S&Wは効率化やコストダウンといった目的だけでモデル27を4インチにしたのではなく、この時にNフレームの357マグナムリボルバーとしての存在感を再設定したのではないだろうか?
 357マグナムを撃つリボルバーとしては、4インチバレルの方が僅かではあっても、パフォーマンスは向上する。正確な重量差のデータはないが、0.5インチ分フロントヘビーとなって射撃時のマズルライズも低減するはずだ。
 S&Wは1980年に新たなLフレームリボルバーを投入した。モデル586、686がそれだ。その発売に先駆けてモデル27のスペックを刷新したのだろう。S&Wは357マグナムリボルバーのハイエンドモデルとして、モデル27を再設定し、Nフレーム、Lフレーム、Kフレームのそれぞれのポジションを明確化させたのだと思う。わかりやすく言えば、モデル586 4インチに負けない“魅力的なモデル27”を作った、ということだ。

 

▲ワイドハンマーとハンマーノーズ。いまどきのリボルバーでは味わえない魅力がそこにある。


 タナカが製品化したM27 4インチ ニッケルフィニッシュは、カウンターボアードシリンダー、ピンドバレルという27-2の特徴を維持している。この2つの特徴は1982年に27-3へ移行した時に消えた。
 すなわち、タナカのM27 4インチ ニッケルフィニッシュは1979年から1981年までのモデル27の再現ということだ。この選択は実に正しい。

 

▲3.5インチも魅力的なバレル長だが、4インチには別の良さが感じられる。


 タナカのM27, M28は2024年に登場、それ以降、数々のバリエーションを展開してきた。モデルガンとしての再現性や内部メカの完成度は完璧で、この美しい仕上げのM27 4インチもその魅力を存分に味わえる製品だといえる。

 

タナカ
S&W M27 “ザ.357マグナム”4インチ ニッケルフィニッシュ

全長:235mm
重量:約610g(カートリッジ込)
装弾数:6発
主要材質:ABS樹脂(ニッケルメッキ)+亜鉛ダイキャスト
仕様:7mmキャップ使用発火式モデルガン
Nフレームスクエアバット
価格:¥42,680(税込) 357マグナム発火カートリッジ6発付属
2026年1月中旬発売予定
お問い合わせ先:タナカ
https://www.tanaka-works.com/

 

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