2025/12/19
レッドダットサイト ハンドガン

Text & Photos by Hiro Soga
Gun Professionals 2020年10月号に掲載
現代のタクティカルライフルにおいては、RDS(レッドドットサイト)の装着はもはやスタンダードとなっている。この流れはハンドガンの世界にも波及し、スライドに直付けする“マイクロドットサイト”はかなりポピュラーになってきた。ただし、ハンドガンのRDSはこれまでのアイアンサイトからの移行にいくつかの障壁があり、賛否両論があることも事実だ。今回は様々な視点から、“RDSハンドガン”に迫ってみる。
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Glock 19 Gen5 MOS(上)
Glock 19 Gen3 カスタム(下)
RDSの魅力
M4やAR-15といったブラックライフルの世界では、“リフレックス サイト”と呼ばれる通常赤いドットを狙点とするオプティック(光学機器)サイト、またはそれに準ずるスコープに、アイアンサイトが駆逐されてしまった感がある。ミリタリーやLE(ローエンフォースメント)の現場でも、もはやRDS(レッドドットサイト)が装着されていないライフルを見る機会の方が少なくなってしまった。
ハンドガンの分野でもスライドに直付けするタイプのRDSが登場、今ではほとんどのメーカーが“Optic Ready”(オプティック レディ:簡単にRDSを装着できる)モデルをカタログに載せており、急速にポピュラーになってきている。しかし、まだまだアイアンサイトにこだわっている人が多いというのも事実だ。私の周りにも、プロフェッショナルであればあるほど、またシューティングのスキルが高いほど、アイアンサイトにこだわっている人が多い。
彼らとの長い付き合いの中で得た情報や知識、そして私が競技射撃やタクティカルトレーニング等から学んだ事柄を総括すると、RDSを装着した際のアドバンテージと、アイアンサイト派の主張の争点は、以下の3つに集約することができる。
- Speed (スピード)
- Accuracy (精度)
- Reliability(信頼性)
この他にも、サイズや重量の増加、雨天での使用不可などをRDSの弱点とする向きもあるが、密閉型(発光点の前後にレンズがあり、異物が入り込むことがない)のマイクロドットサイトもいくつかリリースされている現在においては、やや説得力に欠けるといえよう。
スピード (素早いターゲットの捕捉)
異なった距離において、人間の目がフォーカス(いわゆるピントを合わせる)できるのは、1点だけだ。以前PPC競技に打ち込んでいたころは、「フロントサイトにフォーカスしろ」と教えられたものだが、アイアンサイトの場合、我々普通シューターの目は[リアサイト(R)]-[フロントサイト(F)]-[ターゲット(T)]の順にフォーカスしてサイトピクチャーを形成していく。これがとことん訓練されたシューターだと、フロントサイトとターゲットの間をフォーカスが瞬時に移動してトリガーを引いているのだが、普通レベルのシューターなら、R-F-Tと移動したフォーカスを、さらにもう一度フロントサイトに戻してからトリガーを引くことになるのが通例なのだ。それに比べRDSでのゴールは、両目を使うという前提で、ターゲットにフォーカスしている利き目に、サイト内にあるドットを両手で持ちあげてきて、ドットが当てたいポイントに重なった瞬間にトリガーを引く、というものだ。これは言葉にするとわかりにくいが、以下の要領で練習してもらうと、ストンと納得してもらえると思われる。
- 10m先にシルエットターゲットを置く。
- シューティングスタンスを取る。ハイレディ(肩の高さでガンを身体に引き付け、腕を伸ばせば撃てる状態)。
- 両目はワイドオープンのまま、ターゲットにフォーカスしておく。
- 脳内ブザーを鳴らし、瞬時にターゲットをポイントする。
- 最初のうちはドットが見つからないのが普通で、とにかくポイントしたらガンを動かすのではなく、自分の頭を動かしてドットがどこにあるか確認する。
- 何回か繰り返すと、ドットがレンズ内のどの方向に外れているか(例えば、右上場外が50%、真上場外が30%、左上場外が10%など、)、自分のポイント癖を理解して、修正しながら練習を繰り返し、自分の効き目と両腕のコーディネーションを身体に覚え込ませていく。
- 慣れてきたらホルスターからのドロウをプラスして、練習を重ねる。
- ドットを探さずに済むようになってきたら、RDSのフロントサイト側レンズ面をマスキングテープなどでふさいでしまう。
- これも両目を完全に開けたまま、同じようにガンをポイントし、ヘッドショットを狙って撃つ。これは利き目でRDSのレンズを通してターゲットを見て狙うのではなく、両目のコーディネーションでターゲットにフォーカスしつつ、狙ったところに当てる練習になる。
この9番目までのトレーニングを問題なくこなせるようになると、RDSの方がより速いブレイキングポイント(ターゲットをとらえてから、トリガーを引くまでの時間)を持つことがわかってくる。アイアンサイトならR-F-T-Fと4回(もしくは最後のFを除く3回)のフォーカスが必要なところ、RDSはターゲットにフォーカスしたままなのだから当然だ。さらには、自分に対する脅威であるターゲットの小さな動きも細かく観察できることになるので、大きなアドバンテージとなる。今どきのトレーニングでは、アイアンサイトの場合でもターゲットにフォーカスするよう教えられるが、そうなるとリアサイトの残像はさらにぼやけてしまうため、シューターの練度にもよるが、正確なショットを放てる可能性をも削ってしまうことになる。


